似た意味を持つ「輩」(読み方:やから)と「不良」(読み方:ふりょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「輩」と「不良」という言葉は、どちらも「品行の悪い人」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
輩と不良の違い
輩と不良の意味の違い
輩と不良の違いを分かりやすく言うと、輩とは複数の悪い人達を表し、不良とは一人の悪い人を表すという違いです。
輩と不良の使い方の違い
一つ目の輩を使った分かりやすい例としては、「悪い輩とつるむのは止めなさい」「どこにでも不逞の輩はいるものです」「頭のおかしな輩に絡まれてしまった」「常識のない輩とは関わらないようにしています」などがあります。
二つ目の不良を使った分かりやすい例としては、「中学時代は不良少女とよばれていました」「クラスの不良からいじめを受ける」「不良品に対するお詫び状を発送しました」「不良率の計算方法を教えて下さい」などがあります。
輩と不良の使い分け方
輩と不良という言葉は、どちらも品行や素行の悪い人を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
輩とは、仲間である者たち、同じようなことをする者たちを総称していう言葉です。特に、素行の悪い連中を指す言葉であり、ネガティブな意味で使われています。関西方面では、ガラの悪い男性やヤクザなどをまとめて「輩」と呼ぶことがあります。
不良とは、良くないこと、悪いことを意味し、人に対しては品行や素行が良くないさまを表します。輩のように複数の人を表すのではなく、ひとりの人を表す言葉です。また、「不良品」「不良債権」などのように質や状態が悪いさまも表します。
つまり、輩は複数人を表し、不良は一人の人を表す言葉であることが、二つの言葉の明確な違いになります。
輩と不良の英語表記の違い
輩を英語にすると「party」「set」「fellows」となり、例えば上記の「悪い輩」を英語にすると「bad fellows」となります。一方、不良を英語にすると「bad」「fallen」「punk」となり、例えば上記の「不良少女」を英語にすると「a bad girl」となります。
輩の意味
輩とは
輩とは、同類の者たち、特によくない連中を意味しています。
輩の読み方
輩の読み方は複数あり、「やから」の他に「ともがら」「はい」「ばら」があります。「ともがら」「はい」は古語的な読み方になります。「ばら」は「殿輩」「奴輩」のように、人を表す語に付いて複数の意味を表します。
表現方法は「輩みたいな人」「そういう輩」「輩っぽい人」
「輩みたいな人」「そういう輩」「輩っぽい人」などが、輩を使った一般的な言い回しです。
輩の使い方
輩を使った分かりやすい例としては、「言い掛かりをつけてくる不逞の輩に気を付けよう」「やけにダサい格好の輩が多い街だな」「輩みたいな人に惹かれてしまう」「人の金を狙う輩に用心してください」などがあります。
その他にも、「ネットにもリアルにも変な輩は一定数います」「ネットスラングを乱用する輩は苦手です」「そういう輩が厄介なのです」「輩や不良に自覚はあるのだろうか」「一度、輩系ファッションをしてみたい」などがあります。
輩とは、同類の者たちや仲間を意味し、特に、良くない連中や素行の悪いグループなどを表す時に用いられています。もともとは「同じ血筋を引く人々、一家一門」を意味しましたが、現在では「族」(読み方:やから)の漢字が使われるようになっています。
「不逞の輩」の意味
輩を用いた日本語には「不逞の輩」があります。不逞の輩とは、勝手気ままに振る舞う連中や、道義に外れた行いをする者たちを意味します。
輩の対義語
輩の対義語・反対語としては、比較の対象になる相手を意味する「敵」、恨みや憎しみをいだいている相手を意味する「仇敵」、攻め寄せる側の軍勢を意味する「寄せ手」などがあります。
輩の類語
輩の類語・類義語としては、一緒に物事をする間柄を意味する「仲間」、主義や主張を同じくすることを意味する「同志」、同じようなことをする者たちを意味する「連中」、ある目的のために仲間や一味などを組むことを意味する「徒党」などがあります。
不良の意味
不良とは
不良とは、質や状態などが良くないことを意味しています。
その他にも、「品行や性質が良くないこと、その人」の意味も持っています。
不良の使い方
「不良品をメーカーに返品する」「体調不良で英語のテストが受けられなかった」「銀行はバブル後に巨額の不良債権に苦しみました」「床ずれで不良肉芽が露出した」などの文中で使われている不良は、「質や状態などがよくないこと」の意味で使われています。
一方、「不良グループが繁華街で暴れている」「不良に目をつけられた時はどうしたらよいですか」「不良漫画にはまっています」「若い頃には不良に惚れた時もあります」などの文中で使われている不良は、「品行や性質がよくないこと」の意味で使われています。
不良とは、文字通り「良くないこと」であり、物に対して質や状態が良くないこと、人に対して品行が良くないことを表します。ネガティブな意味でよく使われる言葉であり、日常生活からビジネスシーンまで様々な場面で用いられています。
「不良債権」の意味
上記の例文にある「不良債権」とは、銀行が企業に貸し出した融資のうち、元本や利子の契約どおりの回収が見込めないものを意味します。日本では、バブル期に審査の甘い融資が大量に行われたため、バブル崩壊後に不良債権となり銀行の経営を圧迫することになりました。
「不良少女」の意味
不良を用いた日本語には「不良少女」があります。不良少女とは、品行の良くない少女、社会の決まりなどにそむく行為をする少女のことです。「非行少女」とも言います。
不良の対義語
不良の対義語・反対語としては、性質のよいことを意味する「善良」、好ましい状態であることを意味する「良好」、成績や品行に優れている学生や生徒を意味する「優等生」、他の生徒の模範となる生徒を意味する「模範生」などがあります。
不良の類語
不良の類語・類義語としては、品行や身持ちの悪いことを意味する「不品行」、心がけの悪いことを意味する「不心得」、 不良青少年を意味する「ヤンキー」、虚勢を張り不良じみた態度をとる者を意味する「ツッパリ」、やくざなどの下っ端や不良少年少女を意味する「チンピラ」などがあります。
輩の例文
この言葉がよく使われる場面としては、同類の者ども、その一群の仲間、良くない連中を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「輩みたいな人」とは、不良やチンピラみたいな人のことであり、外見や言動が低劣で粗暴な様子を表します。
不良の例文
この言葉がよく使われる場面としては、質や状態などが悪いこと、品行のよくないこと、素行の悪い青少年を表現したい時などが挙げられます。
例文1の「不良」は、質や状態などが悪いことの意味で用いられています。例文2から例文5の「不良」は、品行や素行が悪いことの意味で用いられています。
例文5にある「不良」と「ヤンキー」の違いは、不良は問題行動を起こす少年のことですが、「ヤンキー」は不良少年が好むファッションをしている人や、見せかけの不良少年のことです。
輩と不良という言葉は、どちらも「品行や素行の悪い人」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、複数の悪い人達を表現したい時は「輩」を、ひとりの悪い人を表現したい時は「不良」を使うようにしましょう。