似た意味を持つ「ないし」と「ないしは」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ないし」と「ないしは」という言葉は、どちらも似通った複数の事柄のうちどちらか一つを選ぶことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「ないし」と「ないしは」の違い
「ないし」と「ないしは」の意味の違い
「ないし」と「ないしは」の違いを分かりやすく言うと、「ないし」とは書き言葉、「ないしは」とは話し言葉という違いです。
「ないし」と「ないしは」の使い方の違い
一つ目の「ないし」を使った分かりやすい例としては、「座談会を開催するにあたって3人ないし5人集めようと思います」「2万ないし3万円くらいで旅行に行きたいです」「本イベントは札幌ないし仙台で開催されます」などがあります。
二つ目の「ないしは」を使った分かりやすい例としては、「川崎ないしは横浜で公演をする予定です」「この駅が完成するまで1年ないしは2年かかるだろう」「こちらの書類は本人ないしは保護者の判子が必要になります」「費用は5000円ないし7000円になりそうだ」などがあります。
「ないし」と「ないしは」の使い分け方
「ないし」と「ないしは」はどちらも似通った複数の事柄のうちどちらか一つを選ぶことを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「ないし」は書き言葉、「ないしは」は話し言葉として使うことが多いという点です。
また、「ないし」は法律用語やビジネスの契約書において、数量などの上下前後の限界を示してその中間を省略することの意味で使うというのも違い一つになります。
「ないし」と「ないしは」の英語表記の違い
「ないし」も「ないしは」も英語にすると「or」「between」となり、例えば上記の「費用は5000円ないし7000円になりそうだ」を英語にすると「The cost will be between five and seven thousand yen」となります。
「ないし」の意味
「ないし」とは
「ないし」とは、似通った複数の事柄のうちどちらか一つを選ぶことを意味しています。その他にも、数量などの上下前後の限界を示してその中間を省略することの意味も持っています。
「ないし」の漢字表記
「ないし」を漢字にすると「乃至」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、平仮名の「ないし」を使うようにしましょう。
「ないし」の使い方
「忘年会に参加したい場合はメールないしLINEで知らせることになっている」「次回コンサートは名古屋ないし大阪で公演する」などの文中で使われている「ないし」は、「似通った複数の事柄のうちどちらか一つを選ぶこと」の意味で使われています。
一方、「このマンションが完成するには3年ないし5年かかるだろう」「この場合は第5条ないし9条を適用する」などの文中で使われている「ないし」は、「数量などの上下前後の限界を示してその中間を省略すること」の意味で使われています。
「ないし」は異なる二つの意味を持つ接続詞になります。
接続詞とは、自立語で活用がなく、先行する語や文節や文を受けて後続する語や文節や文に言いつづけ、それらのものの関係を示す言葉のことです。
「ないし」以外の接続詞としては、順接の「だから」「したがって」、逆接の「しかし」「けれども」、累加の「または」「および」、選択の「あるいは」「もしくは」などがあります。
「ないし」の文法「AないしB」
一つ目の似通った複数の事柄のうちどちらか一つを選ぶことの意味は「AないしB」の形で使うのが一般的で、AかBのどちらかを選ぶという意味になります。
例えば、「講演会は川崎ないし横浜で開催される」とすると、「講演会は川崎か横浜で行われる」という意味です。つまり、「または」「あるいは」などと同じニュアンスで使う言葉と覚えておきましょう。
二つ目の数量などの上下前後の限界を示してその中間を省略することの意味は、主に法律用語やビジネスの契約書において使う言葉です。「AないしB」とすると、「AからB」までという意味になります。
例えば「この場合には、第5条ないし第8条の規定を準用する」とすると、「第5条から第8条の全部です」という意味になります。ただし、こちらの意味は現在ではあまり使われておらず、ほぼ同じ意味の「から」を使うのが一般的になっています。
「ないし」の類語
「ないし」の類語・類義語としては、似通った二つ以上の事柄のうちどれか一つを選ぶことを意味する「または」、同類の物事の中のどれか一つであることを意味する「あるいは」、ある程度の決まった範囲を表わすことを意味する「より」などがあります。
「ないしは」の意味
「ないしは」とは
「ないしは」とは、似通った複数の事柄のうちどちらか一つを選ぶことを意味しています。
「ないしは」の漢字表記
「ないしは」を漢字にすると「乃至は」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、平仮名の「ないしは」を使うようにしましょう。
「ないしは」の使い方
「ないしは」を使った分かりやすい例としては、「こちらの書類は持参ないしは郵送とのことです」「東京ないしは埼玉で追加公演が決定いたしました」「機長はタイヤが破裂ないしは出火したのではないかと推測しました」などがあります。
「ないしは」の文法「AないしはB」
「ないしは」は似通った複数の事柄のうちどちらか一つを選ぶことを意味する接続詞です。「AないしはB」の形で使い、AかBのどちらかを選ぶという意味になります。
例えば、「ワールドカップはカタールないしはアメリカで開催される予定です」とすると、「ワールドカップはカタールかアメリカで行われる予定です」という意味になります。つまり、「または」「あるいは」などと同じニュアンスで使う言葉と覚えておきましょう。
「ないしは」の類語
「ないしは」の類語・類義語としては、似通った二つ以上の事柄のうちどれか一つを選ぶことを意味する「それとも」、どちらか一方を選択することを意味する「もしくは」などがあります。
「ないし」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、似通った複数の事柄のうちどちらか一つを選ぶことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、数量などの上下前後の限界を示してその中間を省略することを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「ないし」は似通った複数の事柄のうちどちらか一つを選ぶこと、例文3から例文5の「ないし」は数量などの上下前後の限界を示してその中間を省略することの意味で使っています。
「ないしは」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、似通った複数の事柄のうちどちらか一つを選ぶことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「ないしは」は話し言葉として使うことが多い言葉です。
「ないし」と「ないしは」はどちらも似通った複数の事柄のうちどちらか一つを選ぶことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、書き言葉として使う場合は「ないし」を、話し言葉として使う場合は「ないしは」を使うと覚えておきましょう。