似た意味を持つ「没交渉」(読み方:ぼつこうしょう)と「無関係」(読み方:むかんけい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「没交渉」と「無関係」という言葉は、どちらも「関わりがないこと」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
没交渉と無関係の違い
没交渉と無関係の意味の違い
没交渉と無関係の違いを分かりやすく言うと、没交渉とは接触がない様子のみを表し、無関係とは接触がない様子だけでなく関連がないことも表すという違いです。
没交渉と無関係の使い方の違い
一つ目の没交渉を使った分かりやすい例としては、「彼は研究に没頭し、世間とは没交渉状態です」「最低限の会話しかしない没交渉夫婦が増えています」「社会と没交渉にならないようにボランティア活動に参加する」などがあります。
二つ目の無関係を使った分かりやすい例としては、「自分に無関係な話には興味がありません」「デモと無関係の周辺住民が巻き込まれる」「彼とはもう無関係です」「いじめ問題に全く無関係ですむ子どもはいません」などがあります。
没交渉と無関係の使い分け方
没交渉と無関係という言葉は、どちらも「関わりがないさま、関わり合いをもたないさま」を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
没交渉とは、接触によって生じる関係がないさまや、関わりを持たないことを意味します。主に対人関係について用いられ、特定の人と関わり合いがないことを表す言葉です。また、社会や世間との交際を絶つ様子を表すこともあります。
無関係とは、互いに関わり合うことがないさまや、関係がないことを意味します。「彼とは無関係」のように人に対して接触がない様子を表すだけでなく、「無関係な話」のように関連性がない物事に対しても用いることができる言葉です。
つまり、没交渉は接触や交際がない様子を表しますが、無関係は接触がない様子だけでなく関連性がないことも表します。二つの言葉を比べると、広い意味を持つ無関係の方が幅広く使える汎用性のある言葉だと言えるでしょう。
没交渉と無関係の英語表記の違い
没交渉を英語にすると「lack of relation」「independence」となり、例えば上記の「世間とは没交渉」を英語にすると「lack of relation with the world」となります。
一方、無関係を英語にすると「unrelated」「irrelevance」となり、例えば上記の「自分に無関係」を英語にすると「Irrelevant to me」となります。
没交渉の意味
没交渉とは
没交渉とは、交渉がないこと、関わりをもたないことを意味しています。
没交渉の読み方
没交渉の読み方は二通りあり、「ぼつこうしょう」の他に「ぼっこうしょう」とも読みますが、一般的には「ぼつこうしょう」と読まれています。
表現方法は「没交渉になる」「没交渉の引きこもり」
「没交渉になる」「没交渉の引きこもり」などが、没交渉を使った一般的な言い回しです。
没交渉の使い方
没交渉を使った分かりやすい例としては、「両者の対立が深まり没交渉状態となった」「いつの間にか英語の先生とは没交渉となっていた」「夫と全く没交渉であり、離婚を考えています」「チンパンジーのメス同士は没交渉的です」「鎖国により外国と没交渉となった」などがあります。
その他にも、「長年、義母とは没交渉状態です」「お金の使い方で揉めてから没交渉となっている」「家族と没交渉中の友人を不憫に思う」「あの兄弟は20年近く没交渉になっている」「世の中と没交渉な人生を送っている」などがあります。
没交渉は「没」と「交渉」から成る言葉です。「交渉」とは、交際や接触によって生じる関係、関わり合いを表します。それがない意味を表す接頭辞である「没」と組み合わさり、没交渉とは、関係が無くなること、関わり合いを持たないことを意味します。
没交渉という言葉は、おもに人と人の関係が切れることを表現する時に用いられていますが、動物の間柄や、国同士の関係性に使われることもあります。
没交渉の対義語
没交渉の対義語・反対語としては、掛け合うことや関わり合いを意味する「交渉」、 他の人と交渉をもつことを意味する「接触」、互いに関わりのあることや血縁など深い関係があることを意味する「有縁」などがあります。
没交渉の類語
没交渉の類語・類義語としては、縁のないことや関係のないことを意味する「無縁」、全く縁もゆかりもない他人や完全に無関係な人を意味する「赤の他人」、自分には関係がなくなんの苦痛もないことを意味する「対岸の火事」などがあります。
無関係の意味
無関係とは
無関係とは、関係がないこと、その事と関わりがないことを意味しています。
表現方法は「無関係の人」「無関係を装う」「無関係です」
「無関係の人」「無関係を装う」「無関係です」などが、無関係を使った一般的な言い回しです。
無関係の使い方
無関係を使った分かりやすい例としては、「あの英語教師と私は全くの無関係です」「ビジネス上のお付き合いだけでプライベートでは無関係です」「事故は多くの無関係の人々を巻き込んだ」「無関係の第三者が商標出願できるのだろうか」などがあります。
その他にも、「難民問題は日本と無関係ではない」「英語の質問に対して無関係な話をしてしまった」「ページビューとユーザ数は無関係である」「心の美しさと貧富は無関係だろう」「高齢化社会と無関係では済まされません」などがあります。
無関係という言葉の「関係」は、二つ以上の物事が互いに関わり合うことです。そのものが存在しないことを表す「無」と結びつき、無関係とは、関係が無いこと、なんの関わりも無いことを意味します。
「無関係の第三者」の意味
上記の例文にある「無関係の第三者」とは、全く関わりのない事柄に直接関係のない者のことです。第三者という言葉だけでも当事者以外の人を指しますが、無関係を付けることで、関わりがないことを強調しています。
無関係の対義語
無関係の対義語・反対語としては、二つ以上の物事が互いに関わり合うことを意味する「関係」、ある物事に関係することを意味する「関与」、自分に関係のあることや我が事を意味する「自分事」などがあります。
無関係の類語
無関係の類語・類義語としては、自分には関係のないことを意味する「他人事」、自分とは関係のないことを意味する「余所事」、見当違いであることを意味する「とんちんかん」、おかど違いであることを意味する「筋違い」、仕事などに直接関係をもたない立場を意味する「局外」などがあります。
没交渉の例文
この言葉がよく使われる場面としては、関わり合いのないことを表現したい時などが挙げられます。
例文3や例文4のように、気がつけば長いこと会っていなかったり、いつの間にか連絡が途絶えていたり、あまり意識することなく自然と関わり合うことがなくなった状態にも「没交渉」が用いられます。
無関係の例文
この言葉がよく使われる場面としては、関係のないこと、そのことに関わりのないことを表現したい時などが挙げられます。
無関係という言葉は、対人関係に限らず、ウェブページや言葉など関連性がないことに対しても幅広く用いることができます。
没交渉と無関係という言葉は、どちらも「関わりがないこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、接触や繋がりがないことを表現したい時は「没交渉」を、接触がないことや関連性がないことを表現したい時は「無関係」を使うようにしましょう。