似た意味を持つ「ケチ」と「セコい」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ケチ」と「セコい」という言葉は、どちらも心が狭いような様子を表すという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
ケチとセコいの違い
ケチとセコいの意味の違い
ケチとセコいの違いを分かりやすく言うと、金品を出し惜しみすることか、上手く立ち回り自分だけ利益を得ようとすることかの違いです。どちらも良い意味で使われる言葉ではなく、心の狭い様子を表します。
ケチとセコいの使い分け方
ケチとは、むやみに金品を出し惜しむような様子を意味しています。この出し惜しむというのは、お金がある状態なのに出さない、出し渋るという状態を指しています。
本当にお金がない状態で、将来を見据えた上で出し惜しむような状態はケチではなく、倹約や節約と呼びます。あくまで、出せるものがある状態で出さない、出し渋る様子をケチと表現するのだと覚えておくようにしましょう。
また、気持ちや考えが卑しかったり、心が狭いこともケチと言います。そこから転じて、粗末なもの、価値のないものを「ケチなもの」と呼んだり、商品などの欠点を探してわざわざ口に出すことを「ケチをつける」と表現したりもします。
ケチという言葉は、主に金銭的な意味合いで使われる言葉ですが、上記のように心の奥行が狭い状態、他人に対して厳しい物言いをしたり、相手を不快にさせる発言をしたりする場合にも「ケチな人」と表現されることがあります。
決して良い意味で使われる言葉ではないので、他者に対して使用する際には、相手を無意味に傷付けないような配慮が必要です。
一方、セコいという言葉は、無意味に細かいことや、ずるいことを意味する言葉です。現代ではケチと同じように、主に金銭的な事柄に使われることの多い表現ですが、明治時代あたりでは、芸人の間で使われている言葉でした。
当時の「セコい」というのは、芸事をするには見た目が悪い、作法がなっていない、醜い、下手くそであるという意味で使われていました。また、お客さんのガラが悪いことや、景気が悪いといった意味の隠語としてセコいという言葉が使われていました。
この言葉が関西を中心に、芸人だけでなく一般にも広まるようになり、現在の金銭的な意味での、細かくずるい様子や、心が狭い様子を表す「セコい」として使われるようになりました。
セコいという言葉の語源の一説としては、狭い場所のことを「迫」(読み方:せこ)と呼んでいたことから、狭くて余裕がないことを、セコいと言うようになったと言われています。
生活にゆとりがない状態や、切羽詰まっている状態、転じて「出し惜しみする」「金銭を払わない」という意味で使われるようになりました。
セコいという言葉は、方言でもあります。徳島県などでは「せこい」という言葉は「苦しい」「疲れた」などという意味で使われたりします。方言の場合には悪い意味ではないので、勘違いをしないようにしましょう。
ケチの意味
ケチとは
ケチとは、むやみに金銭を惜しむような状態を意味しています。これはお金がある状態であるのにも関わらず、出すのを渋る状態のことを意味します。お金がない状態で出さないのは、ケチではなく、節約や倹約と呼ばれます。
ケチというのは、主に金銭的な意味合いで使われることの多い言葉です。お金があるのに出し惜しむ様子を「ケチ」と表現します。また、金銭に関わらずとも、気持ちや考えが卑しかったり、心が狭かったりする様子も「ケチ」と言い表されます。
自分の所有するもの、自分の分であるとされるものを、少しも相手に譲ろうとしない様子や、商品などの欠点をわざわざ探して口に出したりすることも、ケチと表現します。
例えば、「あの人はケチだから貸してくれないよ」「あの人はいつも商品にケチをつけるよね」などのように使われます。いずれも、人間として心が狭い、許容範囲が狭いような状態を示すのだと覚えておくようにしましょう。
ケチという言葉は、決して良い意味で使われるものではありません。他者に対して使用する際には、相手を無意味に傷付けないような配慮が必要です。
表現方法は「ケチをつける」「ケチをつけたくなる」「ケチを治したい」
「ケチをつける」「ケチをつけたくなる」「ケチを治したい」などが、ケチを使った一般的な表現方法です。
ケチの使い方
ケチを使った分かりやすい例としては、「隣人が私のゴミの出し方にいつもケチをつける」「ケチをつける人はいつもケチをつけてくるので気にしない方がいい」「部下の仕事のやり方にケチをつけたくなるが我慢をしなければならない」「ケチな自分が嫌なのでケチを治したい」などがあります。
ケチの類語
ケチの類語・類義語としては、お金を出し惜しみする人のことを意味する「渋ちん」、非常にケチであることを意味する「どけち」、倹約につとめる人のことを意味する「倹約家」、節約につとめる人のことを意味する「節約家」などがあります。
セコいの意味
セコいとは
セコいとは、細かくてずるいことや、醜い様子を意味しています。セコいという言葉も、ケチと同じように主に金銭的な意味で使われることの多い言葉ですが、本来は芸人の間で使われている言葉でした。
セコいの語源
セコいの語源としては、一説として「迫い」(読み方:せこい)という漢字からきていると言われています。これは「なにかが迫ってきている」状態を意味していて「金銭的に切羽詰まっている」「生活に余裕がない」という状況を意味していました。
そこから転じて、現在ではケチと同じように「出し惜しみをする」「出し渋る」様子を意味する言葉となりました。ケチとセコいの違いとしては、セコいはケチに加えて、ずるいという意味を含むというところです。
自分だけが得をするように手を回したり、悪知恵を働かせたりすることを「セコい」と表現したりすることもあります。
また本来の意味では「芸事が下手であること」「芸の作法がなっていないこと」「景気が悪いこと」「ガラが悪いこと」などもセコいと表現していました。様々な意味合いを持つ言葉ですが、ケチと同様に良い意味ではないので、注意して使うようにします。
方言としてのセコいの意味
例外として、徳島県などでは「せこい」という言葉は「苦しい」「疲れた」などという意味で使われます。このように方言の場合には悪い意味はないので、勘違いをしないようにしましょう。
表現方法は「セコい男」「セコい人間」「セコい考え」
「セコい男」「セコい人間」「セコい考え」などが、セコいを使った一般的な表現方法です。
セコいの使い方
セコいを使った分かりやすい例としては、「セコい男の性格は一生変わらないから付き合わない方がいい」「お金にセコい人間と一緒にいると正直疲れてしまう」「セコい考えだなと思っても本人には言えない」などがあります。
セコいの類語
セコいの類語・類義語としては、細かくケチくさいことを意味する「みみっちい」、品位に欠けていることを意味する「卑しい」、見苦しくみすぼらしい様子を意味する「さもしい」などがあります。
ケチの例文
この言葉がよく使われる場面としては、お金がある状態であるのにも関わらず、必要な金品を出し惜しむ様子を見せている場合などが挙げられます。お金を出さなくてはいけない状況であるにも関わらず、出し惜しむのを「ケチ」と言います。
計画的にお金を貯めているような場合は「節約」などと表現しますし、出す必要もないのにお金を出すような場合はただの「散財」です。
お金を出さなくてはいけない状態にあり、なおかつお金があるのに出さないのを「ケチ」と表現すると覚えておくようにしましょう。
また、心が狭い状態も「ケチ」と表現されます。自分のものを貸すことを渋ったり、自分の取り分が少しでも損なわれるのを嫌がったりする様子を「ケチな人」と言ったりします。
例文2のように「あまり良い品でない」「粗品である」と思われるものに対して「ケチな品物」と表現したりすることもあります。例文4のような表現では、相手のやる事に対して厳しい言い方をしたり、欠点を探したりする状態のことを意味しています。
どういった意味で使うにしても、良い意味の言葉ではないので、使い方には注意が必要です。無意味に他者を傷つけないよう、配慮をするようにしましょう。
セコいの例文
この言葉がよく使われる場面としては、金銭的に細かいことや、人としてずるい行いをする人のことなどを表現したい時が挙げられます。また、場合によっては景気が悪いことや芸事の作法が下手くそである様子を示すこともあります。
セコいというのは、一説には、漢字で書くと「迫い」と表記するとされています。これは切羽詰まっていて余裕のない様子を示す言葉です。そこから転じて、セコいというのは、追い詰められてずる賢くなったような状態を示しています。
また、明治時代あたりでは、例文3のように、セコいというのは芸人の使う言葉であり、芸事の作法が下手くそである様子などを表していました。その他にも、例文4のようにガラの悪い客人などについても「セコい」と表現することがあります。
金銭的なことを表現する場合だけでなく、様々な場面で使われるのが「セコい」という言葉です。セコいも、ケチと同じように良い言葉ではないので、使う際には十分に気を付けるようにしましょう。