【冷める】と【覚める】と【醒める】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「さめる」という読み方、似た意味を持つ「冷める」と「覚める」と「醒める」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分けを参考にしてみてください。

「冷める」と「覚める」と「醒める」という言葉は、どれも熱を持った状態が収まることを表すという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「冷める」と「覚める」と「醒める」の違い

「冷める」と「覚める」と「醒める」の意味の違い

冷めると覚めると醒めるの違いを分かりやすく言うと、冷めるとは、熱い物の温度が下がることで、覚めるとは、目が覚めることで、醒めるとは、覚めるの少し古風な表現という違いです。

「冷める」と「覚める」と「醒める」の使い分け方

冷めるというのは、熱い物から熱さが失われることです。例えば、「グラタンが冷める」などのように、料理の温度が下がることを意味します。また、「お風呂が冷める」と言えば、お風呂のお湯がぬるくなることです。

また、冷めるという言葉は、気持ちや興味、関心などが弱まったり、薄まったりすることを意味することも出来ます。「友情が冷める」や「将棋への熱意が冷める」などのように使うことが出来ます。

次に、覚めるというのは、目を覚ますことです。「眠りから目を覚ます」と言えば、睡眠状態から次第に意識のはっきりした状態へ変わることを意味します。

覚めるという言葉は、睡眠から目を覚ますという使い方以外にも、正気に戻るという意味でも使うことが出来ます。例えば「酔いが覚める」という言葉を考えてみて下さい。

また、「そんなやつの言う事を信じるな。目を覚ませ」という台詞は、正気になれや、冷静になって考えてみろという意味です。

最後に、醒めるというのは、覚めるの異字体(別の表記の仕方)です。醒という漢字は常用漢字ですが、「さめる」は常用外の読み方です。そのため、醒めるは新聞などの公的な文章では使うことが出来ず、今では古風な表現になってきています。

ただし、覚めると醒めるでは少しだけ意味合いが異なります。それについては、個別の項目で説明します。

「冷める」の意味

「冷める」とは

冷めるとは、熱い物の温度が下がることや、気持ちや興味、関心などが弱くなることを意味しています。

表現方法は「気持ちが冷める」「熱が冷める」「恋愛で冷める」

「気持ちが冷める」「熱が冷める」「恋愛で冷める」などが、冷めるを使った一般的な言い回しです。

「冷める」の使い方

「ごはんが冷めないうちに食べなさい」や「テニスへの情熱が冷める」、「彼女への愛情が冷める」などのように使うことが出来ます。

「冷める」の対義語

冷めるの対義語・反対語としては、熱を受けて程よい温度になることを意味する「温まる」があります。

「冷める」の類語

冷めるの類語・類義語として、「冷える」(読み方:ひえる)があります。「さめる」と「ひえる」の違いは、さめるが「ぬるい」温度であり、ひえるが「つめたい」温度であるという違いです。「冷めた料理」は美味しくないですが、「冷えたビール」は美味しいです。

ひえるは気温が下がることを表現するためにも使われます。例えば「気温が冷える」や「冷え込む時期」という表現があります。さめるを使うと違和感のある日本語になってしまうので、間違えないようにしましょう。

また、ひえるは「うまくいかなくなること」を表現することが出来ます。例えば「国家間の関係が冷える」や「経済が冷え込む」のように使われます。さめるが「情熱が冷める」や「愛情が冷める」のように使われると似ていますが、違いがあることを意識して下さい。

冷える冷の字を使った別の言葉としては、川の水などが澄んでいて冷たいことを意味する「清冷」、身に染みる寒さのことを意味する「寒冷」、落ち着いていることを意味する「冷静」、思いやりのないことを意味する「冷酷」などがあります。

「覚める」の意味

「覚める」とは

覚めるとは、眠りから目が覚めることや、酔った状態から覚めることや、間違った考えから正気を取り戻すことを意味しています。

表現方法は「目が覚める」「眠りから覚める」「夢から覚める」

「目が覚める」「眠りから覚める」「夢から覚める」などが、覚めるを使った一般的な言い回しです。

「覚める」の使い方

例えば「目覚まし時計」の覚は、眠りから目を覚ますという意味です。また「酔い覚ましの薬」は、酔いに効く薬のことです。

さらに、「目を覚ませ」という命令表現は、普通は眠りから起きろではなく、「正気になれ」や「常識の外に目を向けろ」という意味合いで使われます。

起床することと正気になることは、一見すると全く別のことに思えます。ですが、どちらも意識を取り戻すことだと考えれば、「覚める」の二つの使い方が似ていることに気づくことが出来ます。

「覚める」の対義語

覚めるの対義語・反対語としては、目を閉じて無意識の状態になることを意味する「眠る」があります。

「覚める」の類語

覚めるの類語・類義語としては、はっきりと見えることを意味する「冴える」、寝床から起きることを意味する「起床する」、目を覚ますことを意味する「覚醒する」などがあります。

覚めるの覚の字を使った言葉としては「覚悟」、外からの刺激を感じることや、感じ取られたことを意味する「感覚」、悪事などが明るみになることを意味する「発覚」などがあります。

「醒める」の意味

「醒める」とは

醒めるとは、覚めるの古い書き方を意味しています。醒めるは覚めるの異字体(別の書き方)で、意味に違いはありません。しかし「醒める」という使い方は常用外なので、普通「覚める」と書かれます。

表現方法は「酔いが醒める」

「酔いが醒める」が、醒めるを使った一般的な言い回しです。

「醒める」の使い方

時々、「酔いが醒める」が正しく、「酔いが覚める」とは言わないという説明を見かけることがありますが、それは間違いです。「酔い覚まし」という言葉があることから、それは明白です。

覚めると醒めるには意味や使い方の違いはありませんが、表現される意味合いが微妙に異なります。

「感覚」という言葉があるように、「覚める」という言葉を使った場合には、認知機能が正常に動いているという意味合いがあります。「眠りから目を覚ます」というのは、周りの状況がはっきり判別出来るようになるという意味合いです。

それに対して、「醒める」という言葉を使った場合には、気分がすっきりしているという意味合いがあります。漢和辞典で「醒」を引くと、「星の部分によって、澄み渡った星空のようなすっきりとして気持ちが表されている」という説明が載っていることがあります。

そのように考えると、例えば飲み会の後、歩いている内に少しずつ酔いがさめてくることは、本来なら「醒める」と表現する方が適切だということが分かります。

「醒める」の対義語

醒めるの対義語・反対語としては、目を閉じて無意識の状態になることを意味する「睡る」があります。

「醒める」の類語

醒めるの類語・類義語としては、目が覚めることや、自分の誤った考えに気づくことを意味する「覚醒」、なかば目覚めて意識のあることを意味する「半醒」、世間に警告を発することを意味する「警醒」などがあります。

「冷める」の例文

1.大抵の料理は冷めると美味しくないけど、肉じゃがは物によっては冷めていても美味しい。
2.何度も怪我を繰り返すうちに、サッカーへの情熱が冷めていってしまった。
3.おいしい餌をあげないと、猫はいつも冷めた目で見つめてくる。
4.彼女と初めてデートに行ったが、あまりに食事のマナーがなっておらず、私はすっかり恋心が冷めてしまった。
5.理想的なことを話すのが苦手で、意見を述べても現実的な内容ばかりなので、冷めた人だと思われがちである。
6.ポストに高校の同窓会の招待状が届いていたが、当時いい思い出がなかった私はそのハガキに冷めた眼差しを向けた。

この言葉がよく使われる場面としては、温かい食べ物が温度を下げることや、熱意が衰えることを表現したい時などが挙げられます。

特に「さめる」と「ひえる」の使い分けに注意をしましょう。冷蔵庫で飲み物の温度を下げることを表現するのは、正しくは「ひやす」の方です。「ひえたビールは美味しい」「さめた料理は美味しくない」と覚えて下さい。

「覚める」の例文

1.目覚まし時計をセットしておいたのに、いつの間にか二度寝していた。
2.彼の鬼気迫る演説に、目を覚まされる感を覚えた。
3.いままではあの政治家のことを信頼していたけれど、これからは冷静に覚めた目で見ることになるだろう。
4.美術展の一番目立つ所に飾られていたひときわ大きな絵画の、目が覚めるような鮮やかな色彩に心が奪われた。
5.バンドマンの彼がいつか有名になることを夢見て十数年支えて来たが、彼がバンド仲間の女性とずっと浮気していたと知って目が覚めた。
6.子供の頃はディズニーランドから去る時に夢から覚めたような感覚になって少し物寂しく感じたものだ。

この言葉がよく使われる場面としては、眠りから目が覚めることや、誤った考えから目が覚めることを表現したい時などが挙げられます。どちらの「目が覚める」の意味も、意識を取り戻すという点で共通します。

例文3にある「覚めた目」というのは、「冷静な視線」という意味です。「冷める」の例文3にある「猫の冷めた目」とどう意味が違うのか、考えてみて下さい。

「醒める」の例文

1.店を出る時は酔っぱらっていたが、歩いて帰っているうちに、夜の冷たい空気で酔いが醒めてくれた。
2.まだ日が昇らないうちから目が醒めてしまったから、たまには散歩でもしようかという気分になった。
3.治療の甲斐あって強迫性障害から醒めると、見える世界がまったく変わった。
4.せっかくほろ酔い気分で楽しく家に帰ってきたのに、妻が帰りが遅くなったことを理由に怒り出したので酔が醒めてしまった。
5.アイドル熱から醒めた後、大量のライブグッズと虚しさが残った。
6.バンドでプロデビューなんて夢をいつまで見ているんだという私の忠告に友達は醒めない夢をみるものいいじゃないかと反論してきた。

この言葉がよく使われる場面としては、なにかから覚めて気持ちが晴れやかになることを表現したい時などが挙げられます。

「醒める」は常用外の表記なので、普通は使うことが出来ません。しかし「覚める」にはない心情的な意味合いを持つ点では、魅力のある言葉です。覚めるよりも醒めるの方が、表現したい状況に合っているなら、振り仮名を付すなどして使ってみて下さい。

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