同じ「かくしょ」という読み方の「各所」と「各署」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「各所」と「各署」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
各所と各署の違い
各所と各署の意味の違い
各所と各署の違いを分かりやすく言うと、各所とはあちらこちらの場所を表し、各署とは警察署や部署など「署」が付く組織のそれぞれを表すという違いです。
各所と各署の使い方の違い
一つ目の各所を使った分かりやすい例としては、「今も都内各所に防空壕が残っています」「各所に連絡をして手続きする」「関係各所と調整を行う必要があるだろう」「市内各所に設置してある消火栓を点検する」などがあります。
二つ目の各署を使った分かりやすい例としては、「指名手配のポスターが各署に配られました」「消防署マップから各署の詳細をご覧いただけます」「社内各署のスタッフと懇親を深める」などがあります。
各所と各署の使い分け方
各所と各署という言葉は、どちらも「かくしょ」と読みますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
各所とは、あちらこちの場所、いたるところを意味します。「日本各所」「市内各所」「車内の各所」のような使い方で、ある範囲のなかのいたるところを指し示すことが多い言葉です。また、「保健所」「市役所」といった「所」が付いた施設のそれぞれを「各所」と呼ぶこともできます。
各署とは、警察署や消防署などの「署」が付いた組織のそれぞれを指し示す言葉です。また、会社における部署をそれぞれ指す場合にも使われ、「社内各署の担当者からヒアリングする」などと使用されています。
つまり、各所とはあちこちの場所を指し、各署とはそれぞれの警察署や部署などを指す言葉です。二つの言葉は、意味が全く異なる同音異義語のため、互いに置き換えて使うことはできません。
各所と各署の英語表記の違い
各所を英語にすると「each place」「various places」となり、例えば上記の「各所に」を英語にすると「in various places」となります。
一方、各署を英語にすると「each station」「each department」となり、例えば上記の「各所に配られた」を英語にすると「distribute to each station」となります。
各所の意味
各所とは
各所とは、あちこち、ここかしこを意味しています。
各所の読み方
各所の読み方は「かくしょ」です。誤って「かくじょ」「おのどころ」などと読まないようにしましょう。
各所の使い方
各所を使った分かりやすい例としては、「警備員を各所に配置する」「このエレキギターは各所調整済みです」「各所で登下校の見守り活動を行っています」「各所修繕費要求単価は前年度より高く設定されています」などがあります。
その他にも、「本件の関係各所に連絡を入れる」「新たな英語教育の取組みは各所で進んでいます」「関係各所各位のご協力に御礼申し上げます」「都内各所へのアクセスがよいビジネスホテルを探しています」などがあります。
各所の「各」は訓読みで「おのおの」と読み、複数の物事が存在する状況で、それぞれを個別に指す漢字です。「所」は、何かが行われるところ、何かがあるところを表します。各所とは、それぞれの場所を意味し、いろいろの地点を指し示す言葉です。
「関係各所」の意味
各所を用いた日本語には「関係各所」があります。関係各所とは、ある事柄について関係のある複数の場所や機関それぞれのことを意味します。日常生活やビジネスシーンの中で広く使われている言葉です。
各所の対義語
各所の対義語・反対語としては、一つの場所や所を意味する「一か所」などがあります。
各所の類語
各所の類語・類義語としては、いろいろな土地やそれぞれの地方を意味する「各地」、それぞれの国を意味する「各国」、あちこちを意味する「随所」、あちこちに点在していることを意味する「点々」、いろいろの方角や場所を意味する「方々」などがあります。
各署の意味
各署とは
各署とは、それぞれの部署、それぞれの警察署や消防署などを意味しています。
各署の使い方
各署を使った分かりやすい例としては、「財務部は各署への予算管理や資金調達を行います」「各署の仕事内容を把握する」「人的資源を各署に適切に配分する」「関係各署を巻き込んで業務を進める」などがあります。
その他にも、「大阪府警本部から各署に通達がありました」「各署の管轄区域を地図で示しております」「各署との連携を密にする」「京都府警の指導のもと各署で警戒部隊の発隊式が行われた」などがあります。
各署の「署」は、役所を表す漢字であり、「警察署」「税務署」などに使用されています。また、割り振られた役目を表し、会社の中で機能ごとに区分された組織を「部署」と言います。各署とは、警察署や会社内の部署など「署」が付く組織それぞれを指す言葉です。
「社内各署」の意味
上記の例文にある「社内各署」とは、ビジネスの場において、会社の中の各部署という意味で用いられています。「社内各署に連絡する」「社内各署のスタッフに声をかける」などの使い方で、社内にあるそれぞれの組織を指し示すことができます。
各署の対義語
各署の対義語・反対語としては、その署全体や全ての署を意味する「全署」などがあります。
各署の類語
各署の類語・類義語としては、それぞれの省庁を意味する「各省庁」、めいめいテレビ局を意味する「各局」、それぞれの会社やめいめいの企業を意味する「各社」、一人一人を敬っていう言葉を意味する「各位」、一人一人を意味する「各自」などがあります。
各所の例文
この言葉がよく使われる場面としては、それぞれの場所、いたるところを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、各所の慣用的な言い回しには「関係各所」「県内各所」「世界各所」などがあります。例文3の「県内各所」は県内のあちらこちらを意味し、例文5の「世界各所」は世界のあちらこちらを意味しています。
各署の例文
この言葉がよく使われる場面としては、それぞれの部署、それぞれの警察署などを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある各署は、それぞれの警察署を意味しています。例文3の各署はそれぞれの消防署、例文4や例文5の各署はそれぞれの部署の意味で用いられています。
各所と各署という言葉は、どちらも「かくしょ」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、あちこちの場所を表現したい時は「各所」を、それぞれの部署や警察署を表現したい時は「各署」を使うようにしましょう。