似た意味を持つ「白を切る」(読み方:しらをきる)と「嘯く」(読み方:うそぶく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「白を切る」と「嘯く」という言葉は、どちらも知らないふりをすることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「白を切る」と「嘯く」の違い
「白を切る」と「嘯く」の意味の違い
「白を切る」と「嘯く」の違いを分かりやすく言うと、「白を切る」は一般的に使われている、「嘯く」は一般的に使われていないという違いです。
「白を切る」と「嘯く」の使い方の違い
一つ目の「白を切る」を使った分かりやすい例としては、「彼女は何も知らないと白を切る」「彼のことは見たこともないと白を切る」「彼は白を切っているが犯人で間違いありません」「その老婆は私を知らないと白を切る」などがあります。
二つ目の「嘯く」を使った分かりやすい例としては、「疑われることが怖くてつい嘯いてしまった」「彼はこの世界で一番になると嘯く」「彼女は嘯くことが多いのでみんなから信用されていません」「その男は自分は世界一の歌手だと嘯く」などがあります。
「白を切る」と「嘯く」の使い分け方
「白を切る」と「嘯く」はどちらも知らないふりをすることを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「白を切る」は一般的に使われているのに対して、「嘯く」は一般的に使われていないという点です。
また、「白を切る」と「嘯く」は基本的に同じ意味を持つ言葉なので、置き換えて使っても問題ありません。
その他の違いとしては、「嘯く」には偉そうに大きなことを言うこと、猛獣などが吠えること、口笛を吹くことという複数の意味があることです。
「白を切る」と「嘯く」の英語表記の違い
「白を切る」を英語にすると「pretend not to know」「feign ignorance」「play dumb」となり、例えば上記の「その老婆は私を知らないと嘯いた」を英語にすると「The old woman pretended not to know me」となります。
一方、「嘯く」を英語にすると「talk big」「brag」「boast」「roar」となり、例えば上記の「その男は自分は世界一の歌手だと嘯く」を英語にすると「The man bragged that he was the world’s top singer」となります。
「白を切る」の意味
「白を切る」とは
「白を切る」とは、わざと知らないふりをすることを意味しています。
「白を切る」の読み方
「白を切る」の読み方は「しらをきる」です。誤って「しろをきる」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「白を切る方法」「白を切る人」
「白を切る方法」「白を切る人」などが、「白を切る」使った一般的な言い回しになります。
「白を切る」の使い方
「白を切る」を使った分かりやすい例としては、「この件に関しては何も知らないと白を切る」「ピザを食べたのは弟だと分かって問い詰めていたが、白を切り続けられました」「証拠はもう挙がっているので白を切るのは辞めなさい」などがあります。
「白を切る」はわざと知らないふりをすることやしらばくれることを意味する慣用句で、基本的にマイナスなイメージで使われている言葉です。
例えば実際に犯行現場を見ていたのにも関わらず、誰かを庇うためや何らかの理由で、「私はそれを見ていない」などと言う場合に「白を切る」を使います。つまり、知っているのに知らないふりをする場合に使用する言葉と覚えておきましょう。
「白を切る」の語源
「白を切る」の語源は「知らぬ」です。「白を切る」の「白」とは「知らぬ」が省略した言葉で、「白」は当て字になります。これにわざと目立つような口ぶりや態度をすることを意味する「切る」が合わさり、わざと知らないふりをすることを「白を切る」と言うようになりました。
「白を切る」の類語
「白を切る」の類語・類義語としては、知っていて知らないさまを装うことを意味する「しらばっくれる」、聞かれたことに対してわざと知らないふりをすることを意味する「とぼける」、知っているのに知らないような素振りをすることを意味する「知らんぷり」などがあります。
「嘯く」の意味
「嘯く」とは
「嘯く」とは、とぼけて知らないふりをすることを意味しています。その他にも、偉そうに大きなことを言うこと、猛獣などが吠えること、口笛を吹くことの意味も持っています。
「嘯く」の使い方
「彼はそんなことがあったっけと平気な顔で嘯く」「彼女はよく嘯くのでみんなから避けられている」などの文中で使われている「嘯く」は、「とぼけて知らないふりをすること」の意味で使われています。
一方、「絶対に日本一になると嘯く」「虎が嘯けば風が騒ぎます」などの文中で使われている「嘯く」は、「偉そうに大きなことを言うことや猛獣などが吠えること」の意味で使われています。
「嘯く」は複数の意味を持つ言葉ですが、現代で使われているのはとぼけて知らないふりをすることや偉そうに大きなことを言うことの意味になります。猛獣などが吠えることや口笛を吹くことの意味は古語としての使い方なので、現代においてはほとんど使われていません。
「嘯く」の語源
「嘯く」の語源は古語の口笛を吹くことの意味です。鳥の声に似せて口笛を吹いて鳥を呼び寄せる様子が、とぼけているように見えたので、「嘯く」はとぼけて知らないふりをすることの意味でも使われるようになりました。
「嘯く」を使う上で注意しなければならないのは、「嘘をつく」という意味で使うのは誤用という点です。あくまで、とぼけて知らないふりをすることや偉そうに大きなことを言う場合に使う言葉と覚えておきましょう。
ただし、「絶対に優勝してみせると嘯く」のように、偉そうなことを言って結果的に嘘になってしまった場合などは、「嘯く」を使っても問題ありません。
「嘯く」の類語
「嘯く」の類語・類義語としては、いかにも自信ありげに大きなことを言うことを意味する「豪語する」、あちこちに盛んに言ってまわることを意味する「吹き散らす」、実力不相応な大きなことを言うことを意味する「大言壮語」(読み方:たいげんそうご)などがあります。
「白を切る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、わざと知らないふりをすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「白を切る」はマイナスなイメージで使われている言葉です。
「嘯く」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、とぼけて知らないふりをすることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、偉そうに大きなことを言うこと、猛獣などが吠えること、口笛を吹くことを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「嘯く」はとぼけて知らないふりをすること、例文4の「嘯く」は偉そうに大きなことを言うこと、例文5の「嘯く」は猛獣などが吠えることの意味で使っています。
「白を切る」と「嘯く」はどちらも知らないふりをすることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、一般的に使われているのが「白を切る」、一般的に使われていないのが「嘯く」と覚えておきましょう。