似た意味を持つ「恐悦至極」(読み方:きょうえつしごく)と「祝着至極」(読み方:しゅうちゃくしごく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「恐悦至極」と「祝着至極」という言葉は、どちらも「この上なく嬉しいこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
恐悦至極と祝着至極の違い
恐悦至極と祝着至極の意味の違い
恐悦至極と祝着至極の違いを分かりやすく言うと、恐悦至極とは相手への敬意を含んだ表現、祝着至極とは相手への敬意を含まない表現という違いです。
恐悦至極と祝着至極の使い方の違い
一つ目の恐悦至極を使った分かりやすい例としては、「部長よりお褒めの言葉をいただき恐悦至極に存じます」「奥様におかれましてはご機嫌麗しく恐悦至極に存じます」「このような栄誉ある賞を受賞し恐悦至極にございます」などがあります。
二つ目の祝着至極を使った分かりやすい例としては、「ご無事のお帰り、祝着至極に存じます」「まことにもって祝着至極にございます」「誕生日プレゼントを気に入っていただけて祝着至極です」などがあります。
恐悦至極と祝着至極の使い分け方
恐悦至極と祝着至極という言葉は、どちらも非常に喜ばしい様子や嬉しいことこの上ないことを表す四字熟語ですが、意味や使い方には違いがあります。
恐悦至極とは、「奥様にはご機嫌麗しく恐悦至極に存じます」のような使い方で、目上の人に関する喜ばしい出来事について、自分も非常に喜んでいるという意味で使う丁寧語です。また、「栄誉ある賞を受賞し恐悦至極にございます」のような使い方で、自分の嬉しい気持ちを表す謙譲語にもなります。
祝着至極とは、嬉しいことこの上ないという自分の気持ちを表す言葉です。上記の例文にある「祝着至極に存じます」は、時代劇でよく使われる言い回しです。硬い表現ですが、現代でもビジネスの場や改まった手紙などで、最上級の喜びや感謝を表現する時に用いられています。
つまり、恐悦至極という言葉には相手への敬意や恐縮の気持ちを含みますが、祝着至極には相手への敬意や恐縮の意味合いはありません。この点が、二つの言葉の明確な違いになります。
恐悦至極と祝着至極の英語表記の違い
恐悦至極を英語にすると「extremely delighted」となり、例えば上記の「恐悦至極に存じます」を英語にすると「appreciate extremely delighted」となります。
一方、祝着至極を英語にすると「supremely happy」「exceedingly happy」となり、例えば上記の「祝着至極に存じます」を英語にすると「I’m exceedingly happy」となります。
恐悦至極の意味
恐悦至極とは
恐悦至極とは、恐れつつしみながらも大喜びすることを意味しています。
恐悦至極の読み方
恐悦至極の読み方は「きょうえつしごく」です。誤って「きょうえつしきょく」などと読まないようにしましょう。また「恐悦」は「恭悦」とも書きますが、「恭悦至極」と書かれることはほとんどありません。
表現方法は「恐悦至極に存じます」「恐悦至極にございます」
「恐悦至極に存じます」「恐悦至極にございます」などが、恐悦至極を使った一般的な言い回しです。
恐悦至極の使い方
恐悦至極を使った分かりやすい例としては、「殿下にはご機嫌麗しく恐悦至極に存じます」「ご尊顔を拝し奉り恐悦至極に存じ奉り候」「上様におかれましてはご健勝のご様子、恐悦至極でござります」などがあります。
その他にも、「お褒めの言葉を賜り恐悦至極に存じます」「教授とご一緒できたこと恐悦至極に存じております」「ビジネスマナーをご教授いただき恐悦至極に存じます」「ご支援をいただき恐悦至極にございます」などがあります。
恐悦至極の「恐悦」は、 相手の好意などをもったいなく思って喜ぶことであり、多くは感謝の意を表すときに用いる言葉です。その程度がこれ以上はないというところまでいっているさまを表す「至極」と結びつき、恐悦至極とは、目上の人に関したことを非常に喜ばしく思うさまを意味します。
恐悦至極という四字熟語は、つつしんで喜ぶことであり、相手に敬意を払っていることを表す敬語です。また、自分の喜ばしい気持ちを表す謙譲語でもあります。恐悦至極は、時代劇などで耳にする昔の言葉ではありますが、現在でもビジネスシーンや改まった手紙などで用いられる言葉です。
「恐悦至極の極み」は誤り
恐悦至極の誤った使い方には「恐悦至極の極み」があります。「至極」も「極み」も同じ意味を持つ言葉なので、「頭痛が痛い」と同様の重複表現となる誤用です。「恐悦至極」に「極み」を重ねて使わないようにしましょう。
恐悦至極の対義語
恐悦至極の対義語・反対語としては、とても心残りであることや非常に悔しくてたまらないことを意味する 「残念至極」、口惜しさが尋常ではないことや非常に残念なことを意味する「無念千万」などがあります。
恐悦至極の類語
恐悦至極の類語・類義語としては、恐れかしこまりつつしんで申し上げることを意味する「恐惶謹言」、この上なく名誉に思うことを意味する「光栄至極」、めったにない巡り合わせを意味する「有難き幸せ」などがあります。
祝着至極の意味
祝着至極とは
祝着至極とは、嬉しいことこの上ないことを意味しています。
祝着至極の読み方
祝着至極の読み方は「しゅうちゃくしごく」です。誤って「しゅくちゃくしごく」「いわいぎしごく」などと読まないようにしましょう。
祝着至極の使い方
祝着至極を使った分かりやすい例としては、「兄上、お誕生日祝着至極に候」「まことに祝着至極に御座りまする」「生誕の義、祝着至極に存じ奉ります」「無事のご帰還、祝着至極に存じます」などがあります。
その他にも、「英語のテストで満点を取れたことは祝着至極なことです」「前向きな返答をいただき祝着至極に存じます」「長年の悲願成就、真に祝着至極にございます」「パソコンの使い方をマスターして祝着至極です」などがあります。
祝着至極の「祝着」は、もともと祝儀のときに着る着物を指す言葉でしたが、転じて、喜び祝うこと、嬉しく思うこと、満足に思うことを意味するようになりました。この上ないことを表す「至極」と結びつき、祝着至極とは、この上なく喜ばしく思うこと、嬉しいことこの上ない様子を意味します。
「祝着至極に存じます」の意味
上記の例文にある「祝着至極に存じます」とは、この上なく喜ばしく思います、嬉しいことこの上ありませんという意味です。時代劇で用いられるような古めかしい表現ですが、ビジネスシーンや改まった場面で用いられることがあります。
祝着至極の対義語
祝着至極の対義語・反対語としては、きわめて口惜しいことやこの上なく無念であることを意味する「無念至極」、 悔しくて悔しくてたまらないことを意味する「残念無念」、自分の行いを残念で恥ずかしく思うことを意味する「慚愧に堪えない」などがあります。
祝着至極の類語
祝着至極の類語・類義語としては、これ以上はあるまいというほど嬉しいさまを意味する「この上ない喜び」、非常にうれしい気持ちのたとえを意味する「天にも昇る心地」、喜び祝うことや祝賀を意味する「慶賀」などがあります。
恐悦至極の例文
この言葉がよく使われる場面としては、目上の人に関したことやその好意などに対して、たいそう喜ばしく思うさまを表現したい時などが挙げられます。
恐悦至極という言葉は、例文1のように時代劇や時代小説のセリフなどに用いられる一方、例文2から例文5のようにビジネスの場や改まったシーンで用いられています。
祝着至極の例文
この言葉がよく使われる場面としては、この上なく喜ばしいことを表現したい時などが挙げられます。
祝着至極という言葉は、上記の例文にあるように、最上級の喜びを表現します。例文1や例文2は時代劇などで使われるような古めかしい表現になりますが、例文3から例文5にあるように、現在でも改まった場面などで用いられています。
恐悦至極と祝着至極という言葉は、どちらも「非常に嬉しく思うさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、相手への敬意を表現したい時は「恐悦至極」を使うようにしましょう。