似た意味を持つ「頒布」(読み方:はんぷ)と「販売」(読み方:はんばい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「頒布」と「販売」という言葉は、どちらも「物品を譲り渡すこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
頒布と販売の違い
頒布と販売の意味の違い
頒布と販売の違いを分かりやすく言うと、頒布とは有料無料に関わらず物を配ることを表し、販売とは有料で物を渡すことを表すという違いです。
頒布と販売の使い方の違い
一つ目の頒布を使った分かりやすい例としては、「コミケで無料頒布されていたCDです」「同人誌を頒布する方法を教えてください」「展示会でたくさんの頒布物を手に入れました」などがあります。
二つ目の販売を使った分かりやすい例としては、「部内で販売促進のアイデアを出し合う」「英語のテキストを取り揃えて販売しております」「販売管理は適切に行わなければなりません」などがあります。
頒布と販売の使い分け方
頒布と販売という言葉は、どちらも物品を人々に譲り渡すことを表しますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
頒布とは、品物などと広く配り、行き渡らせることを意味します。不特定多数の人々に広く配ることですが、有料で配る場合にも無料で配る場合にも使える言葉です。有料で配る場合、営利目的ではない神社のお守りや、コミケなどの同人誌即売会で用いられる傾向があります。
販売とは、品物を売りさばくことを意味し、売ることによって利益を得ることを示す言葉です。営利目的で顧客に有料で物を提供することなので、無料で物品を譲り渡すような場合は「販売」とは言いません。
つまり、頒布とは有料無料に関わらず物品を配ることであり、販売とは有料で物品を譲る行為を表します。これが、二つの言葉の明確な違いになります。
頒布と販売の英語表記の違い
頒布を英語にすると「distribution」「circulation」となり、例えば上記の「無料頒布」を英語にすると「free distribution」となります。
一方、販売を英語にすると「sale」「selling」「marketing」となり、例えば上記の「販売促進」を英語にすると「sales promotion」となります。
頒布の意味
頒布とは
頒布とは、品物や資料などを広く配ることを意味しています。
頒布の読み方
頒布の読み方は「はんぷ」です。誤って「りょうふ」「ぶんぷ」などと読まないようにしましょう。
頒布の「頒」は訓読みで「わける」と読み、広くわけ与えることを表します。広く行き渡らせることを意味する「布」と結びつき、頒布とは、広く分けて配り行き渡らせることを意味します。
表現方法は「頒布する」「頒布物」「頒布価格」
「頒布する」「頒布物」「頒布価格」などが、頒布を使った一般的な言い回しです。
頒布の使い方
頒布を使った分かりやすい例としては、「神社で授与しているお守りや頒布品をご紹介いたします」「コミケの頒布物を転売することは禁止されています」「郵便局の12ヶ月頒布会を楽しんでいます」「頒布と販売では目的が違います」などがあります。
その他にも、「映画の著作物にのみ頒布権が認められています」「ワインの頒布会に申し込みました」「頒布価格とは別に送料がかかります」「英語版を希望の方は有償頒布となります」などがあります。
頒布という言葉は、品物を無料で配る場合にも、有料で配る場合にも用いることができます。頒布は商売の意味合いが薄れるため、神社のお守りやお札、利益を得ることが目的ではない同人誌などに対して使われることが多くあります。
「頒布会」の意味
頒布を用いた日本語には「頒布会」があります。頒布会とは、会費制によって商品や刊行物などを定期的に配る会のことです。定期販売と違って毎月送られてくる商品が異なり、商品を事業者がセレクトして送付するという魅力があります。
頒布の対義語
頒布の対義語・反対語としては、一度配った物や使った物などをまた集めることを意味する「回収」、催促し徴収することや強制的に取ることを意味する「取り立てる」などがあります。
頒布の類語
頒布の類語・類義語としては、配って広く行き渡らせることを意味する「配布」、配って各人の手に渡すことを意味する「配布」、分配された物や配布物を意味する「ディストリビューション」などがあります。
販売の意味
販売とは
販売とは、商品を売ることを意味しています。
表現方法は「販売する」「販売を行う」「販売を開始する」
「販売する」「販売を行う」「販売を開始する」などが、販売を使った一般的な言い回しです。
販売の使い方
販売を使った分かりやすい例としては、「お近くの販売店までお問い合わせください」「販売士3級を取得すると就活で有利でしょうか」「保守料は販売管理費に該当しますか」などがあります。
その他にも、「来期から販売管理システムを導入します」「販売管理費は販売費及び一般管理費の略称です」「販売促進の為のイベントを企画する」「ネットショップは重要な販売チャネルになっています」などがあります。
販売とは、商品を顧客に売る行為のことです。販売を行う業者を販売業者と言い、販売を主たる事業として行っている業態を販売業と呼びます。販売の「販」は商売をすること、「売」は品物を渡して代価を得ることを表す漢字です。
「販売管理」の意味
上記の例文にある「販売管理」とは、販売活動に関する管理のことです。広義にはマーケティング・マネジメント全体を指すこともありますが、一般にはその一領域であるセールス・マネジメントを意味する言葉です。
「販売促進」の意味
販売を用いた日本語には、「販売促進」があります。販売促進とは、売り手が買い手の購買意欲を刺激し商品を購入させるために行う活動のことです。略して「販促」とも呼ばれ、テレビCMやダイレクトメール、懸賞や試供品配布などの方策があります。
販売の対義語
販売の対義語・反対語としては、代金を払って自分の所有とすることを意味する「買う」、買うことや買い入れることを意味する「購入」、買い入れることを意味する「購買」などがあります。
販売の類語
販売の類語・類義語としては、代金と引き換えに品物や権利などを相手に渡すことを意味する「売る」、商品を売り出すことを意味する「発売」、利益をあげる目的で物を売り買いすることを意味する「商売」などがあります。
頒布の例文
この言葉がよく使われる場面としては、広く配って行き渡らせること、広く行き渡ることを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある配布と頒布の違いは、配布はあくまで無料で配ることであり、頒布は無料の場合も代金を受け取る場合もある点です。
販売の例文
この言葉がよく使われる場面としては、品物を売ること、売りさばくことを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「通信販売」とは、消費者に対して、カタログやWebサイトなどを通じて商品を宣伝し、注文を受けて宅配便などで商品を配送する販売方式のことです。「通販」と略されることが多く、インターネットを介した通信販売は「ネット通販」と言います。
例文5の販売と発売の違いは、販売は顧客に商品を売る行為を表し、発売は商品が市場へ売り出される瞬間を表す点にあります。
頒布と販売という言葉は、どちらも「物を譲り渡すこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、有料無料に関わらず配ることを表現したい時は「頒布」を、有料で商品を譲ることを表現したい時は「販売」を使うようにしましょう。