【体裁】と【体面】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「体裁」(読み方:ていさい)と「体面」(読み方:たいめん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「体裁」と「体面」という言葉は、どちらも「世間体」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




体裁と体面の違い

体裁と体面の意味の違い

体裁と体面の違いを分かりやすく言うと、体裁とは世間体だけでなく外見や形式も表し、体面とは世間体のみを表すという違いです。

体裁と体面の使い方の違い

一つ目の体裁を使った分かりやすい例としては、「仕上げに文書の体裁を整える」「英語の先生は体裁を気にしてばかりいます」「体裁が悪いから離婚はしません」「武士は体裁を保つために見栄を張りました」「体裁を取り繕うように言い訳する」などがあります。

二つ目の体面を使った分かりやすい例としては、「会社の体面を汚す行為により懲戒処分となりました」「これは家の体面に関わる問題です」「新人に負けてしまっては部長としての体面が保てない」「金メダリストとしての体面を保つ」などがあります。

体裁と体面の使い分け方

体裁と体面という言葉は、どちらも世間の人々が自分を見てどう思うかという「世間体」を表します。この意味で使われている上記の「体裁を気にしてばかり」「体裁が悪い」「会社の体面を汚す」「家の体面にかかわる問題」の体裁と体面は、互いに置き換えて使うことができます。

さらに体裁という言葉は、「外見や外観」「それらしい形式」「相手を喜ばせるような言動」という意味も持っています。この意味で使われている「文書の体裁を整える」「体裁を取り繕うように言い訳する」の体裁は、体面という言葉に置き換えることはできません。

二つの言葉を比べると、体裁という言葉は体面よりも多くの意味を持ち、幅広く使える言葉だと言えるでしょう。

体裁と体面の英語表記の違い

体裁を英語にすると「style」「cosmetical」「acceptability」となり、例えば上記の「文書の体裁」を英語にすると「document style」となります。

一方、体面を英語にすると「honor」「face」「prestige」となり、例えば上記の「体面を汚す」を英語にすると「lose face」となります。

体裁の意味

体裁とは

体裁とは、外から見た感じ、様子、外見を意味しています。

その他にも、「世間の人の目にうつる自分の格好」「それらしい形式」「相手を喜ばせるような振る舞いや口先だけの言葉」の意味も持っています。

表現方法は「体裁を整える」「体裁が悪い」「体裁を保つ」

「体裁を整える」「体裁が悪い」「体裁を保つ」などが、体裁を使った一般的な言い回しです。

体裁の読み方

体裁の読み方は「ていさい」の他に「たいさい」とも読みますが、一般的には「ていさい」と読まれています。

体裁の使い方

「デコレーションで体裁よく見せる」「グラフの体裁を保つ」などの文中で使われている体裁は「外から見た感じ」の意味で、「若いのに無職なんて体裁が悪いよ」「不体裁な服装はやめなさい」などの文中で使われている体裁は「世間の人の目にうつる自分の格好」の意味で使われています。

一方、「文章の体裁を整える」「レポートの体裁をなしていない」などの文中で使われている体裁は「それらしい形式」の意味で、「私の機嫌を取るために体裁を言ってきた」の文中で使われている体裁は「相手を喜ばせるような振る舞いや言葉」の意味で使われています。

体裁とは、上記の例文にあるように複数の意味があり、それぞれの意味で使われているため文脈により意味を判断する必要があります。ただし、現在では「相手を喜ばせるような振る舞いや言葉」の意味で使われることは少なくなっています。

「不体裁」の意味

体裁を用いた日本語には「不体裁」があります。不体裁とは、体裁がよくないことを表し、見かけの悪いことや外聞の悪いことを意味します。不体裁の読み方は「ふていさい」「ぶていさい」の二通りありますが、「ふていさい」と読まれることがほとんどです。

体裁の対義語

体裁の対義語・反対語としては、実際に事物に備わっている内容や性質を意味する「実質」、 物事の内容や実質を意味する「中身」などがあります。

体裁の類語

体裁の類語・類義語としては、世間に対する体裁や見栄を意味する「世間体」、外側から見た感じや表面に見える姿を意味する「外観」、内実とは違った見せかけのようすや事情を意味する「うわべ」などがあります。

体面の意味

体面とは

体面とは、人が世間に対してもっている誇りや面目、世間体を意味しています。

体面の読み方

体面の読み方は「たいめん」です。誤って「ていめん」などと読まないようにしましょう。

表現方法は「体面を保つ」「体面を気にする」「体面を汚す」

「体面を保つ」「体面を気にする」「体面を汚す」などが、体面を使った一般的な言い回しです。

体面の使い方

体面を使った分かりやすい例としては、「自分の体面を保つために他人を否定しようとする人がいます」「何かと体面を気にする人はストレスを溜めがちです」「会員としての体面を汚すような行為をしないように」などがあります。

その他にも、「父は体面を保つために大きな家を建てました」「侮辱的で体面を汚すような待遇を受けました」「体面を気にすることなくアドバイスをもらいましょう」「これは国家の体面に関わる問題です」「軍人は体面を重んじる」などがあります。

体面とは、世間の人々に対する誇りや、世間から見られる姿を意味する言葉です。また、単に「名誉」や「面目」の意味でも用いられることがあります。体面という言葉の「体」は見かけの様子、「面」は物のおもてを表す漢字です。

「体面を汚す」の意味

上記の例文にある「体面を汚す」とは、名誉を傷つけることや、面目を失うことの意味で使われる言い回しです。

「体面立方格子」は誤り

体面を用いた誤った表現には「体面立方格子」があります。正しくは「体心立方格子」「面心立方格子」であり、どちらも結晶格子の一種です。

体面の対義語

体面の対義語・反対語としては、人の性質や言動などが素直で飾り気がないことを意味する「素朴」、かざりけがなく素直なことを意味する「純朴」、質朴で訥弁であることを意味する「朴訥」などがあります。

体面の類語

体面の類語・類義語としては、世間に対する体裁を意味する「外聞」、世間や周囲に対する体面や立場を意味する「面目」、体面や面目を意味する「面子」、社会的に認められている人格的価値を意味する「名誉」、堂々としておごそかなことを意味する「威厳」などがあります。

体裁の例文

1.プレゼン資料の体裁を整えると、説得力が上がり企画が通りやすくなる気がします。
2.高校中退は体裁が悪いので何とか卒業するように、と親に言われています。
3.難しいテーマですが、どなたでも読みやすい体裁で分かりやすい文面に仕上げましたので是非ご一読ください。
4.提出書類の体裁は、必ず決められた通りに整えて期日を守って出してください。
5.体裁を言っているだけだから、彼女の話は真に受けない方がいいよ。
6.課長から明日の朝、今進行中の案件について役員説明をしなければならなくなったので、パワポでこの企画書の体裁を整えてくれないかと17:00過ぎに言われてキレそうになった。
7.あの新書は一見すると新書の体裁をしているが、中身を見てみると雑誌のようなレイアウトになっている。
8.私が若い頃は、30を過ぎているのに独身なんて体裁が悪いと余計なお世話をしてくるものがよくいたものだ。
9.私は保守的な家庭に育ったものだから、流行のファッションを着ようものなら、両親から不体裁な服装はやめなさいと言われるのがオチである。
10.昨今の大学生はろくに文章を書けないので、レポート課題を出してもレポートの体裁をなしていないものばかりだ。

この言葉がよく使われる場面としては、外から見たときの感じ、見栄、しっかりと整った形式、他人の気に入るような言動をすることを表現したい時などが挙げられます。

例文2の「体裁が悪い」とは、周囲に対する体面が保てないさまを表しています。例文5の体裁は、他人の気に入るような言動をすることの意味で用いられています。

体面の例文

1.体面を気にして虚勢を張る経営者は、売上に見合ったお金の使い方ができません。
2.部活対抗リレーでは、サッカー部とのデッドヒートの末に陸上部が一位でゴールインし、体面を保つことができました。
3.日本で英語を使う場面では体面を気にして小さい声になってしまう人も、海外では恐れずに思い切り話せるものです。
4.会社の体面を汚す行為があったとき、従業員は懲戒処分を科されることがあります。
5.体面を気にするあまり、本来の自分を見失ってしまう人もいます。
6.以前付き合っていた彼は体面を気にする人で心からくつろぐことができなかったが、最近同じ部署になったKさんはちょっと図々しいが表裏がなく正直で惹かれている。
7.会社の不祥事を内部告発したところ、会社から体面を汚す行為だと言われ懲戒処分となったが、こんな不当なことはない。
8.デザインのコンペティションでは、期待の新人に負けてしまって師匠としての体面を気にしてしまうが、一方でどこか嬉しくもありました。
9.社会では自分の体面を保つために他人を否定しようとする人がいますが、とてもみっともない行為だと思います。
10.彼女は上からはメンバーとしての体面を汚すような行為をしないようにと釘を刺されたがそんなのはお構いなしである。

この言葉がよく使われる場面としては、外から見える様子、世間に対する体裁、面目を表現したい時などが挙げられます。

例文2にある「体面を保つ」の読み方は「たいめんをたもつ」です。世間からの評価や評判を維持することを意味します。

体裁と体面という言葉は、どちらも「世間に対する見栄」を表します。さらに「体裁」は、「外から見える様子」「形式」「相手を喜ばせるような言動」の意味もあることを覚えておきましょう。

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