似た意味を持つ「不朽」(読み方:ふきゅう)と「不滅」(読み方:ふめつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「不朽」と「不滅」という言葉は、どちらも「滅びることなく残ること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
不朽と不滅の違い
不朽と不滅の意味の違い
不朽と不滅の違いを分かりやすく言うと、不朽とは価値が変わらずに残ることを表し、不滅とは存在が無くならずに残ることを表すという違いです。
不朽と不滅の使い方の違い
一つ目の不朽を使った分かりやすい例としては、「フランダースの犬は不朽の名作アニメです」「あなたにとっての不朽の名曲は何ですか」「アガペーは神が与える不朽の愛です」「世界中で愛される不朽不滅の名画です」などがあります。
二つ目の不滅を使った分かりやすい例としては、「あなたは霊魂の不滅を信じますか」「この愛は永遠不滅だと誓います」「努力の末に彼は不滅の栄冠を得た」「ダイヤモンドは不滅の輝きを放ちます」などがあります。
不朽と不滅の使い分け方
不朽と不滅という言葉は、どちらも永久に無くならないことや、ながく後世に残ることを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
不朽とは、いつまでも朽ちないこと、いつまでも価値を失わずに残ることを意味します。「不朽の名作」とは、どんなに年数が経っても、価値や評価が変わらないであろうと思われる傑作のことです。
不滅とは、永久に滅んだり消えたりしないことを意味します。その存在が無くならないことを表し、「愛」のような目に見えないものに対しても、「輝き」のような目に見えるものに対しても使われる言葉です。
つまり、不朽とは価値が変わらずに残ることの意味合いが強く、一方の不滅とは存在として残っていることの意味合いが強い言葉なのです。
不朽と不滅の英語表記の違い
不朽も不滅も英語にすると「immortality」「permanence」となり、例えば上記の「不朽の名作」を英語にすると「an immortal literary work」となります。
不朽の意味
不朽とは
不朽とは、朽ちないこと、いつまでも価値を失わずに残ることを意味しています。
不朽の読み方
不朽の読み方は「ふきゅう」です。不朽は誤って「ふちく」と読まれることがあるので、注意しましょう。
表現方法は「不朽の名作」「不朽の名曲」「不朽不滅」
「不朽の名作」「不朽の名曲」「不朽不滅」などが、不朽を使った一般的な言い回しです。
不朽の使い方
不朽を使った分かりやすい例としては、「時代を超えた不朽の名作を鑑賞する」「あなたにとって不朽の名作映画は何ですか」「不朽の名作から新作アニメまで揃っています」「不朽の名作漫画と言えばドラえもんでしょう」などがあります。
その他にも、「私たちの友情は不朽不滅だよね」「90年代を彩った不朽の名曲集です」「今も語り継がれる不朽の名作です」「不朽の名作がドラマ化されました」「殉教者の遺体は不朽体として安置されました」などがあります。
不朽の「朽」は訓読みで「くちる」と読み、腐ってボロボロになること、衰えて駄目になることを表します。否定を表す「不」と結び付き、不朽とは、価値を失わずに後世まで存在することを意味します。時代が移り変わっても廃れない、優れた小説や映画などに対してよく使われる言葉です。
「不朽体」の意味
上記の例文にある「不朽体」とは、日本ハリストス正教会で用いられる言葉であり、聖人の遺体を意味します。聖人は神の恩寵によって不朽のものとされ、来世の生命を先取りして得ていると捉えてるため、このように呼ばれています。
四字熟語「万世不朽」の意味
不朽を用いた四字熟語には「万世不朽」(読み方:ばんせいふきゅう)があります。「万世」は限りなく何代も続く永い世のことであり、「万世不朽」とは永久に朽ちないことを意味します。
不朽の対義語
不朽の対義語・反対語としては、次第に衰え滅びることを意味する「衰亡」、変えられることや変わることができることを意味する「可変」などがあります。
不朽の類語
不朽の類語・類義語としては、変化しないことや変わらないことを意味する「不変」、ある状態が永く変わらないことを意味する「恒久」、長く続くことや永久を意味する「長久」、永遠に変わらないことを意味する「万代不易」などがあります。
不滅の意味
不滅とは
不滅とは、滅びないこと、永久になくならないことを意味しています。
不滅の使い方
不滅を使った分かりやすい例としては、「仲睦まじい二人は不滅の恋人と言われている」「不朽不滅の永遠の魂はあると思いますか」「日本のアニメの魅力は不滅です」「物理学的勢力不滅論を実験で検証する」などがあります。
その他にも、「シューベルトは不滅の大作曲家です」「ベートーヴェンは不滅の恋をピアノで表現した」「セゾンカードの永久不滅ポイントを貯めています」「暑さや寒さに強いアイビーの花言葉は不滅です」などがあります。
不滅の「滅」は訓読みで「ほろびる」と読み、存在しているものが消えることや無くなることを意味します。打ち消しの助字である「不」と結び付き、不滅とは、滅びないことや、永久に衰滅しないことを意味する言葉です。
四字熟語「霊魂不滅」の意味
不滅を用いたに四字熟語には「霊魂不滅」があります。霊魂不滅とは、肉体は滅びても、霊魂は肉体を離れて存続するという考え方を表します。もともとはギリシャ哲学の思想の一つでしたが、宗教的にも深めら広がった考えです。
不滅の対義語
不滅の対義語・反対語としては、必ず滅びることを意味する「必滅」、滅びることや絶えてなくなってしまうことを意味する「滅亡」などがあります。
不滅の類語
不滅の類語・類義語としては、いつまでも限りなく続くことを意味する「永久」、いつまでも果てしなく続くことを意味する「永遠」、ながく続くことや長続きを意味する「永続」、果てしなく長く続くことを意味する「悠久」などがあります。
不朽の例文
この言葉がよく使われる場面としては、いつまでも朽ちないこと、滅びることなく、ながく後世に残ることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、不朽という言葉は「不朽の名作」の言い回しで用いられることが多くあります。
不滅の例文
この言葉がよく使われる場面としては、滅びないこと、永久になくならないことを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「永久不滅ポイント」とは、クレディセゾンが発行するクレジットカードなどを利用することによって、永久にポイントが貯まるというサービスのことです。例文5の「不朽不滅」とは、ながく後世まで残り、滅びることが無いことを表しています。
不朽と不滅という言葉は、どちらも「滅びることなく残ること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、価値が変わらずに残ることを表現したい時は「不朽」を、存在がなくならずに残ることを表現したい時は「不滅」を使うようにしましょう。