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【案じる】と【案ずる】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「案じる」(読み方:あんじる)と「案ずる」(読み方:あんずる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「案じる」と「案ずる」という言葉は、どちらも良くない状態にならないか心配することを意味するという共通点があり、使う場面は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




案じると案ずるの違い

案じると案ずるの意味の違い

案じると案ずるの違いを分かりやすく言うと、辞書に載っている現代風の読み方か、古い読み方かの違いです。「案じる」と「案ずる」は、どちらも同じ意味を持つ言葉で、現代では「案じる」の方を一般的な読み方として使用しています。

案じると案ずるの使い方の違い

一つ目の案じるを使った分かりやすい例としては、「両親の身を案じる」「母の健康を案じている」「結果発表までは案じてしまう」「先を案じると不安が尽きない」「まだ就職が決まらない息子の将来を案じる」「心から案じております」「日本の行く末を案じてやまない」などがあります。

二つ目の案ずるを使った分かりやすい例としては、「ご期待に添えますかどうか案ずるところはございますが」「突然案ずる気持ちが沸き上がってきた」「案ずることなかれ」(意味:心配しなくてよい)などがあります。

案じると案ずるの2つが存在する理由

なぜ、案「じる」と案「ずる」という二種類の語尾が存在するのか。これは、日本語の口語文法と文語文法の決まりによる違いがあるからです。口語文法とは、しゃべり言葉のことで、文語文法とは、文章で書く際の言葉という意味です。

これらの日本語文法には「活用法」という考え方があります。活用法とは、文章の流れによって単語の語尾を違和感のないように変えることを意味します。

まさしく「案じる」「案ずる」のように、最初の言葉は同じであっても語尾が違う言葉が存在するのは、活用法によって文脈に合うかたちで語尾が変えられているからです。

案じる、案ずるという言葉は「サ行変格活用」という活用法によって、語尾を変えています。サ行変格活用では、文章の流れによって語尾をサ行の言葉である「さしすせそ」を元にして変えていきます。

「案じる」「案ずる」という言葉の場合、「案」という先頭の言葉はそのままに、語尾を「未然形:じ」「連用形:じ」「終止形:じる・ずる」「連体形:じる・ずる」「仮定形:じれ・ずれ」「命令形:じろ・じよ・ぜよ」という風に変化させます。

語尾の変化の形である未然形や連用形などの名称は、その言葉がどのような文脈で使われているかの形のことを指しています。例えば「未然形」というのは「まだそうなってはいない」という意味を持ち、否定形と一緒に使われます。

つまり、案じるの未然形の表現は「案じない」となります。変化しない先頭の「案」に未然形の「じ」をつけて、最後に否定形の「ない」を付けた形です。

このように、日本語には、様々な文法上の決まりがあります。「案じる」「案ずる」というのは、両方ともこの文法で言うところの「終止形」です。

終止形というのは、言い切りの形という意味があります。文章ではなく、ひとつの単語として使う際には終止形を使います。

案じると案ずるの使い分け方

「案」の終止形には「じる」と「ずる」の二種類があります。これが「案じる」と「案ずる」の違いです。二種類の語尾がある場合、どちらを使っても間違いではありませんが、どちらか一方が、一般的に使われているものであることがほとんどです。

「案」の場合、辞書に記載されているのは「案じる」という言葉です。こちらが、現代では一般的に使用されている言葉であり、「案ずる」というのは古い言い方になります。

しかし、意味に違いはありませんし、どちらも文法的には使えるものですので、個々人の好みや文章の前後の文脈などを考えて、自由に使い分けが出来るものであると言えます。

案じるの意味

案じるとは

案じるとは、良くない状態にならないか心配することを意味しています。

表現方法は「先を案じる」「将来を案じる」「身を案じる」

「先を案じる」「将来を案じる」「身を案じる」などが、案じるを使った一般的な言い回しです。

案じるの使い方

案じるを使った分かりやすい例としては、「疲れないのだろうかと案じてしまう」「被災地の様子を案じている」「1人暮らしの子の食生活を案じている」「自分の身を案じて助けが来た」「この商談が上手くいくか案じております」などがあります。

案じるの類語

案じるの類語・類義語としては、おそれることを意味する「危惧する」、先行きを気にすることを意味する「心配する」、不安に思うことを意味する「懸念する」、恐いことを意味する「恐れる」などがあります。

案ずるの意味

案ずるとは

案ずるとは、案じるという言葉の少し古い言い方を意味しています。案ずるというのは「案ず」という言葉のサ行変格活用の終止形です。

表現方法は「案ずることなかれ」「案ずるより産むがやすし」

「案ずることなかれ」「案ずるより産むがやすし」などが、案ずるを使った一般的な言い回しです。

案ずるの使い方

案ずるを使った分かりやすい例としては、「亡き人を案ずるより未来がある人を見よう」「この問題の対策を案ずる必要がある」「なにも案ずる必要はない」「○○様のことを案ずるばかりです」などがあります。

案ずるは辞書に載っていない

意味としては、案じると全く同じものであり、文章の前後の文脈などによって使い分けることが出来るものです。辞書には「案じる」は載っていても、「案ずる」という言葉は載っていないことが多く、案ずるは現代語よりも少し古い表現です。

しかし、意味は同じであるので、「案じる」「案ずる」のどちらを使っても間違いではありません。古風な雰囲気を出したい時などには、あえて「案ずる」という言葉を使うのも良いでしょう。

他にも、例えば「案ず」という言葉の命令形を考えてみると、現代風の言い方であれば「案じろ」となりますが、古風な言い回しになると「案じよ」または「案ぜよ」となります。

この「案じよ」「案ぜよ」と同じ雰囲気を持つのが「案ずる」であると考えると、わかりやすいでしょう。

「案ずる」という言葉を使った四字熟語には「案ずるより産むが易し」という有名な言葉があります。「案ずるより産むが易し」とは、何かを始める前は不安に駆られるが、実際にやってみると意外と簡単に出来てしまったという意味です。

他にも意味が似ている四字熟語として、「案じる子は生み易い」「案じるより芋汁」「案じるより団子汁」「案じるより豆腐汁」などがあります。

案じるの例文

1.ゲームばかりして堕落しきった子供を見ていると、行く末を案じる。
2.部下の体調を案じて、今日は仕事をせずに家に帰るよう指示を出した。
3.日本の未来を案じた幕末の武士を描いた本が好きだ。
4.お元気でいらっしゃればよいがと案じております。
5.まだご連絡がないようで、いかがされたものかと案じております。

この言葉がよく使われる場面としては、心配している気持ちを堅い表現で表したい時などが挙げられます。

目上の方に向けた敬語など、ビジネスシーンでこの「案じる」という言葉をより丁寧な表現で使う場合は、例文4や例文5のように「お元気でいらっしゃればよいがと案じております」「いかがされたものかと案じております」という表現になります。

案ずるの例文

1.今の日本は案ずることがあまりにも多過ぎて疲弊してしまう。
2.やる前は心配だったがまさにまさに案ずるより産むが易しであった。
3.とにかく案ずるな。いざとなれば何とかなる。

この言葉がよく使われる場面としては、案じるという言葉を少し古風な表現で表したい時などが挙げられます。

上記の例文を見れば分かる通り、「案ずる」を「案じる」に置き換えても全く文章としての問題はありません。

「案ずる」を使う場合は「案じる」と「案ずる」の意味を知っている人からすると、古風な人間だなと思われることでしょう。

言葉の使い方の例文
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