似た意味を持つ「偏狭」(読み方:へんきょう)と「狭量」(読み方:きょうりょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「偏狭」と「狭量」という言葉は、どちらも「度量が小さいこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
偏狭と狭量の違い
偏狭と狭量の意味の違い
偏狭と狭量の違いを分かりやすく言うと、偏狭とは度量が小さく自分の考えに意固地になるさまを表し、狭量とは単に度量が小さいことを表すという違いです。
偏狭と狭量の使い方の違い
一つ目の偏狭を使った分かりやすい例としては、「ネット上には偏狭な人が多いと感じます」「これまでの偏狭なビジネス観を捨てる」「偏狭我執でいては人として成長できません」「英語留学して自分の偏狭さに気付きました」「日本は偏狭な領土しか持たない国です」などがあります。
二つ目の狭量を使った分かりやすい例としては、「世間知らずなために狭量な人もいます」「両親の狭量な考え方には辟易してしまう」「日本は難民に対して狭量だと感じます」「心理テストで自分の狭量さを診断する」などがあります。
偏狭と狭量の使い分け方
偏狭と狭量という言葉は、どちらも度量が小さく、寛容さに欠けているさまを意味するマイナスイメージの言葉です。二つの言葉は、同じように使われていますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
偏狭とは、自分だけの狭い考えにとらわれて心が狭いことです。「偏狭な人」とは、度量が狭いために、自分の考えに意固地になってしまうような人のことです。一方、狭量とは、人を受け入れる心が狭いことを意味し、「狭量な人」とは、他人の言行を受け入れられない狭い心の持ち主を表します。
つまり、偏狭には自分の考えに固執するという意味合いがありますが、狭量にはその意味合いはなく、単に度量が小さいことを表す言葉なのです。また、偏狭は「偏狭な領土」のような使い方で、土地などが狭いことも表します。狭量という言葉は、土地や空間の狭さを表す使い方はできません。
これらが、偏狭と狭量という言葉の明確な違いになります。
偏狭と狭量の英語表記の違い
偏狭も狭量も英語にすると「narrow-mindedness」「intolerance」「illiberality」となり、例えば上記の「偏狭な人」を英語にすると「an intolerant person」となります。
偏狭の意味
偏狭とは
偏狭とは、自分だけの狭い考えにとらわれること、度量の小さいことを意味しています。
その他にも、「土地などが狭いこと」の意味も持っています。
表現方法は「偏狭な考え」「偏狭な価値観」「偏狭な人」
「偏狭な考え」「偏狭な価値観」「偏狭な人」などが、偏狭を使った一般的な言い回しです。
偏狭の使い方
「偏狭な性格のためにクラスで孤立している」「偏狭な人といるとストレスが溜まります」「彼は偏狭的な考え方をするので友人が少ないようです」「偏狭で排他的なナショナリズムを捨てよう」などの文中で使われている偏狭は、「度量の小さいこと」の意味で使われています。
一方、「偏狭な土地の活用法を考える」「偏狭な道路を拡張整備する予定です」「偏狭なオフィスをレイアウトで広く使えるようにする」などの文中で使われている偏狭は、「土地などが狭いこと」の意味で使われています。
偏狭は「褊狭」とも書きますが、一般的には常用漢字を用いた「偏狭」と表記されています。
偏狭とは、「度量が小さいこと」「土地などが狭いこと」の二つの意味があり、それぞれの意味で使われているため文脈により意味を判断する必要があります。偏狭の「偏」は本筋や中心からそれていること、「狭」は間隔や範囲が狭いことや、心にゆとりがない様子を表します。
四字熟語「偏狭我執」の意味
偏狭を用いた日本語には「偏狭我執」があります。偏狭我執とは、自分中心の狭い考えにとらわれて、それから離れられないことを意味する四字熟語です。「我執」は、人には常住不変の実体があるとする誤った考えを意味する仏語であり、転じて、自分の意見に固執することを意味します。
偏狭の対義語
偏狭の対義語・反対語としては、心が広くてよく人の言動を受け入れることを意味する「寛容」、心の広いことや度量が大きいことを意味する「宏量」、性質や態度などが穏やかでひねくれていないさまを意味する「素直」などがあります。
偏狭の類語
偏狭の類語・類義語としては、面積などが狭いことや心が狭いことを意味する「狭隘」(読み方:きょうあい)、自分の考えを執拗に押し通すことを意味する「片意地」、狭くて小さいことを意味する「狭小」、狭くて窮屈な感じがするさまを意味する「せせこましい」などがあります。
狭量の意味
狭量とは
狭量とは、人を受け入れる心が狭いこと、度量が狭いことを意味しています。
狭量の読み方
狭量の読み方は「きょうりょう」です。誤って「こうりょう」「せきりょう」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「狭量な人」「狭量な人間」「狭量な考え」
「狭量な人」「狭量な人間」「狭量な考え」などが、狭量を使った一般的な言い回しです。
狭量の使い方
狭量を使った分かりやすい例としては、「狭量な人とは一緒にいたくありません」「すぐにカッとなる自分の狭量さを反省する」「その狭量な英語教師は生徒たちから嫌われています」「幼い子どもは狭量なものです」などがあります。
その他にも、「彼のような狭量な人間にはなりたくない」「自分の見識のなさや狭量さを痛感しました」「気持ちに余裕がないと狭量的になりがちである」「我が国での言論の自由への狭量さを感じます」などがあります。
狭量とは、他人の言動を受け入れようとする心構えや性質が乏しいさまを意味します。狭量の「狭」は心に余裕がないこと、「量」は人の心や能力の程度を表わす漢字です。狭量は、心が狭いことを表現するマイナスイメージの言葉です。
「狭量な人」の意味
上記の例文にある「狭量な人」とは、 自分の思ったことや言いたいことは主張するも一方で、他人の話を聞いたり、他人を思いやることができない人のことです。「心の狭い人」と言い換えることができます。
狭量の対義語
狭量の対義語・反対語としては、度量が大きいことや心の広いことを意味する「広量」、度量の大きいことや大胆で物事に動じないことを意味する「太っ腹」、人をよく受け入れるおおらかな心を意味する「雅量」などがあります。
狭量の類語
狭量の類語・類義語としては、度量が狭いことを意味する「小量」、心が狭くこせこせしていることを意味する「けち臭い」、性質がかたくなで素直でないことを意味する「偏屈」、自分の態度や考えを改めようとしないことを意味する「頑固」などがあります。
偏狭の例文
この言葉がよく使われる場面としては、性急で心が狭いこと、土地などが狭いことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある偏狭は、「性急で心が狭いこと」の意味で用いられています。例文5の偏狭は、「土地などが狭いこと」の意味で用いられています。
狭量の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人を受け入れる心が狭いこと、度量が狭いことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、狭量という言葉は「狭量な人」という言い回しで用いられることが多くあります。例文3や例文4にあるように、狭量な人の対義語としては、「寛容な人」「おおらかな人」などがあります。
偏狭と狭量という言葉は、どちらも「度量の小さいこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、自分だけの狭い考えにとらわれている様子を表現したい時は「偏狭」を、人を受け入れられない様子を表現したい時は「狭量」を使うようにしましょう。