【益荒男】と【手弱女】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「益荒男」(読み方:ますらお)と「手弱女」(読み方:たおやめ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「益荒男」と「手弱女」という言葉は、どちらも人に対する褒め言葉を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




益荒男と手弱女の違い

益荒男と手弱女の意味の違い

益荒男と手弱女の違いを分かりやすく言うと、益荒男とは勇ましくて立派な男性、手弱女とは細身の上品な女性という違いです。

益荒男と手弱女の使い方の違い

一つ目の益荒男を使った分かりやすい例としては、「歌人たちは益荒男振りが理想のスタイルだと考えていました」「神輿を担いでで益荒男ぶりを発揮する」「二人は益荒男と手弱女でお似合いのカップルです」などがあります。

二つ目の手弱女を使った分かりやすい例としては、「何とかして手弱女の心をつかみたい」「男はたおやかな手弱女が好きです」「あざとい手弱女ぶりで男を手玉に取る」「手弱女振りの華やかな太刀を手に入れた」などがあります。

益荒男と手弱女の使い分け方

益荒男と手弱女という言葉は、どちらも男女に対する誉め言葉として使われていますが、意味や使い方には違いがあります。

益荒男とは、勇ましく立派なな男性を意味する言葉です。「堂々とした益荒男ぶり」と言えば、男らしさを褒める言葉になります。一方、手弱女とは、ほっそりとした気品のある女性を意味します。女性に対する誉め言葉なので、男性に対して使うことはできません。

短歌や長歌などの歌風を表す言葉には「益荒男振り」「手弱女振り」があります。万葉集に見られるような男性的なおおらかな歌風を「益荒男振り」と言います。これに対し、古今集以降に多くみられるようになった女性的で繊細な歌風を「手弱女振り」と表します。

つまり、益荒男は男らしさのイメージがあり、手弱女は女らしさのイメージを表す言葉なのです。

益荒男と手弱女の英語表記の違い

益荒男を英語にすると「manly man」「warrior」「solid」となり、例えば上記の「益荒男ぶり」を英語にすると「manliness」となります。

一方、手弱女を英語にすると「graceful maiden」「sylph」となり、例えば上記の「手弱女の心をつかむ」を英語にすると「get the heart of the graceful maiden」となります。

益荒男の意味

益荒男とは

益荒男とは、立派な男、勇気のある強い男を意味しています。

その他にも、「武人、兵士」「狩人、猟師」の意味も持っています。

益荒男の読み方

益荒男の読み方は「ますらお」です。「ますらたけお」「ますらおのこ」と読むこともありますが、基本的には「ますらお」と読まれています。

益荒男の使い方

「彼は一本筋が通っている益荒男です」「益荒男は男としてのレベルが高い」「経津主神は日本書紀で益荒男と称えられています」などの文中で使われている益荒男は、「立派な男、勇気のある強い男」の意味で使われています。

一方、「戦いの神となった益荒男がいます」「益荒男たちは領地を領民を守りました」の文中で使われている益荒男は「武人、兵士」の意味で、「益荒男はラーメンを食べてから狩りに出かけました」「益荒男が山で狩りをする」の文中で使われている益荒男は「狩人、猟師」の意味で使われています。

益荒男は「丈夫」とも書きますが、「益荒男」と表記されることが普通です。丈夫という熟語は、「ますらお」のほかに「じょうぶ」「じょうふ」「たけお」と様々な読み方を持つことが、「益荒男」と書くことが一般的になっている理由の一つでしょう。

益荒男とは、勇気があり堂々とした立派な男子を意味する言葉です。日常会話ではあまり使われなくなっていますが、文学作品などで心身ともに優れた強い男子を褒めるプラスイメージの言葉です。益荒男という言葉の「益」は満ちあふれること、「荒」は言動が荒々しいことを表します。

益荒男の語源

益荒男の語源は、奈良時代まで遡り、弓矢や太刀などで武装した勇者を「優男」(読み方:まさりおとこ)と呼んだことに由来します。時代とともに優男が転じて、いつしか「益荒男」と表現するようになりました。

益荒男の対義語

益荒男の対義語・反対語としては、なよなよと美しい女やか弱い女を意味する「手弱女」、気の小さい臆病な人を意味する「小心者」などがあります。

益荒男の類語

益荒男の類語・類義語としては、勇壮な男性や働き盛りの男性を意味する「壮夫」、からだが大きくてたくましい男や人格のすぐれている男を意味する「偉丈夫」、節義が固くて勇気のある立派な男性を意味する「烈丈夫」、性格や態度が男らしいことを意味する「男気」などがあります。

手弱女の意味

手弱女とは

手弱女とは、たおやかな女性、なよなよと優美な女性を意味しています。

手弱女の読み方

手弱女の読み方は、「たおやめ」のほかに「たわやめ」とも読みますが、一般的には「たおやめ」と読まれています。決して「てよわおんな」「てごめ」などと誤読しないようにしましょう。

手弱女の使い方

手弱女を使った分かりやすい例としては、「大和文化の手弱女振りを感じる庭園でした」「現代の日本に益荒男と手弱女は少ないと思う」「鵜原理想郷の手弱女平までドライブに行こう」「鵜原手弱女平遺跡の縄文土器が展示されていました」などがあります。

その他にも、「手弱女のような風情のアヤメを俳句に詠む」「美しい手弱女に出会いました」「富士山の手弱女ぶりを眺める」「手弱女桜の苗木を販売しております」「彼女は一見すると手弱女だけど、実は気が強い女だよ」などがあります。

手弱女とは、姿かたちがほっそりしていて、言動が上品な女性を意味します。現在では日常の会話で使われることが少なくなっている言葉ですが、女らしさの誉め言葉として昔から使われている表現です。

手弱女の語源

手弱女の語源は、曲がったりしなったりする意味を持つ「撓む」(読み方:たわむ)という言葉が由来になっています。この「撓」に接尾語「や」が付いたものであり、「手弱」は当て字です。

手弱女の対義語

手弱女の対義語・反対語としては、強く堂々とした立派な男子を意味する「益荒男」、しっかりした気性とすぐれた知恵をもち実行力に富んだ女性を意味する「女傑」などがあります。

手弱女の類語

手弱女の類語・類義語としては、しとやかで上品な女性やレディーを意味する「淑女」、性質のやさしい女を意味する「優女」、高貴な身分の婦人を意味する「貴婦人」などがあります。

益荒男の例文

1.いかにも益荒男な友人は格闘技にハマり、ボクシングジムを開業するまでに至りました。
2.体格では不利な日本ボクサーが世界チャンピオンになるとは、真の益荒男だと言えるだろう。
3.鎌倉時代中期の太刀である益荒男振りは、現在、美術品としての価値が世界で認められています。
4.益荒男たちは日本酒を購入し、宴を開くこともよくあったようです。
5.一昔前の益荒男は、神に豊猟の祈りを捧げてから狩りに出ていました。
6.最近転職してきた男性が立派な体格と男気溢れる性格で、女子社員たちが熱い視線を送っているのを見ると、いつの時代もやっぱり益荒男はモテると思わらざるを得ない。
7.私はお祭りでお神輿を担ぐ男たちをみて、まさに益荒男ぶりをイメージしたのでした。
8.生まれてきた赤ん坊には、益荒男のごとく強く勇ましい男の子に育ってほしいと思います。
9.彼の益荒男ぶりを極める生き方はかっこよかったが、家庭を顧みない一面もあり、奥さんはとても苦労したという。
10.格闘技イベントの会場では俺が最強だと言わんばかりに益荒男どものボルテージは果てしないほど高まっていた。

この言葉がよく使われる場面としては、勇ましく立派な男子、武士や侍、狩人や猟師を表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文3の文中にある益荒男は、勇ましくて立派な男子の意味で用いられています。例文3にある「益荒男振り」とは、刀身の身幅が広くごつい日本刀のことです。反対に、細くて優美な刀を「手弱女振り」と言います。

例文4の文中にある益荒男は武士や侍の意味で用いられ、例文5の益荒男は狩人や猟師の意味で用いられています。

手弱女の例文

1.大和撫子のマインドを持っている手弱女は、男性にモテそうなイメージがあります。
2.女に生まれた以上は、たおやかな手弱女を目指したいと思っています。
3.古文の先生が、万葉集は益荒男ぶりの歌が主流で、古今和歌集は手弱女ぶりだと言っていました。
4.先週末はハイキングで鵜原理想郷の手弱女平に行き、幸せの鐘を鳴らしてきました。
5.鎌倉時代初期の日本刀は細身で手弱女振りなものが多く、上品な美しさがありました。
6.今回のファッションのテーマは、前回の力強い女性と打って変わって手弱女ぶりをイメージしてみました。
7.私は亀に連れられて竜宮城へ行き、美しい手弱女に出会いましたが、その後玉手箱を渡されたのが運の尽きでした。
8.この写真は妻と房総半島に旅行に行った際に、鵜原理想郷の手弱女平にある幸せの鐘のところで撮ったものです。
9.京都は古都というだけあって、現代でも平安時代の手弱女のような風情を色濃く残しています。
10.女性ファッション誌の「この秋は手弱女スタイル」というコピーに興味をひかれて見てみたら、女性らしいラインを生かした上品なスタイルで私には難易度が高めだった。

この言葉がよく使われる場面としては、なよなよとした女、たおやかな女性を表現したい時などが挙げられます。

例文3の文中にある「手弱女振り」とは、内容的に優美な、表現上は技巧的で婉曲な歌風を指す言葉です。一般に古今和歌集の歌風は、手弱女振りと言われています。例文4の「手弱女平」とは、勝浦市の景勝地です。鐘付きのデザインベンチがあり、記念撮影の場所になっています。

益荒男と手弱女という言葉は、どちらも人に対する誉め言葉を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、たくましくて立派な男性を表現したい時は「益荒男」を、しなやかで品のある女性を表現したい時は「手弱女」を使うようにしましょう。

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