似た意味を持つ「前倒し」(読み方:まえだおし)と「後ろ倒し」(読み方:うしろだおし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「前倒し」と「後ろ倒し」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
「前倒し」と「後ろ倒し」の違い
「前倒し」と「後ろ倒し」の意味の違い
「前倒し」と「後ろ倒し」の違いを分かりやすく言うと、「前倒し」とは予定の時期を繰り上げて予算を使ったり計画を実施したりすること、「後ろ倒し」とは予定の時期を先に延ばすことという違いです。
「前倒し」と「後ろ倒し」の使い方の違い
一つ目の「前倒し」を使った分かりやすい例としては、「公共事業費を前倒しして景気の回復を計る」「納期の前倒しをお願いすることにしました」「スケジュールの前倒しをすることはできません」「公共事業費の使用を年度前半に前倒しする」などがあります。
二つ目の「後ろ倒し」を使った分かりやすい例としては、「計画が不十分だったので開始時期を後ろ倒しにする」「仕事の都合で家族旅行は後ろ倒しになりました」「予定が後ろ倒しになりました」「ミーティングは来週金曜日まで後ろ倒しにしましょう」などがあります。
「前倒し」と「後ろ倒し」の使い分け方
「前倒し」と「後ろ倒し」は似た言葉を使っていますが、意味は全く異なっているので間違えないよう注意が必要です。
「前倒し」は予定の時期を繰り上げて予算を使ったり計画を実施したりすることを意味しており、計画などを早める場合に使います。
一方、「後ろ倒し」は予定の時期を先に延ばすことを意味しており、予定を後ろにずらす場合に使います。
つまり、「前倒し」と「後ろ倒し」は対義語表現なのです。
「前倒し」と「後ろ倒し」の英語表記の違い
「前倒し」を英語にすると「acceleration」「move up 」となり、例えば上記の「公共事業費の使用を年度前半に前倒しする」を英語にすると「move up public works spending to the first half of the fiscal year」となります。
一方、「後ろ倒し」を英語にすると「postpone」「move back」「push back」となり、例えば上記の「ミーティングは来週金曜日まで後ろ倒しにしましょう」を英語にすると「Let’s push the meeting back to friday next week」となります。
「前倒し」の意味
「前倒し」とは
「前倒し」とは、予定の時期を繰り上げて予算を使ったり計画を実施したりすることを意味しています。
「前倒し」の読み方
「前倒し」の読み方は「まえだおし」です。誤って「まえたおし」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「時間を前倒し」「1時間前倒し」
「時間を前倒し」「1時間前倒し」などが、「前倒し」を使った一般的な言い回しになります。
「前倒し」の使い方
「前倒し」を使った分かりやすい例としては、「予定を前倒しにすることは可能でしょうか」「予算使用の前倒し計画を立てました」「発売日が変更されたので納期も前倒しになりました」「新しい依頼がきたのでタスクを前倒しで実施する」などがあります。
「前倒し」は予定の時期を繰り上げて予算を使ったり計画を実施したりすることを意味する名詞です。
「前倒し」はビジネスシーンにおいてよく使われている言葉で、予算や納期に関する場面でよく使用されています。
「前倒し」は官庁用語として使われていた
「前倒し」は元々政治家や官僚を中心に使われていた官庁用語で、使われていた当初はあまり一般的ではありませんでした。しかし、政治関連などのニュースで使用されるようになり、広く一般的に使われるようになった言葉です。
「前倒し」の対義語
「前倒し」の対義語・反対語としては、予定の時期を先に延ばすことを意味する「後ろ倒し」があります。
「前倒し」の類語
「前倒し」の類語・類義語としては、期日や時間などを予定より早めることを意味する「繰り上げる」、予定を早くすることを意味する「予定を早める」などがあります。
「後ろ倒し」の意味
「後ろ倒し」とは
「後ろ倒し」とは、予定の時期を先に延ばすことを意味しています。
「後ろ倒し」の読み方
「後ろ倒し」の読み方は「うしろだおし」です。誤って「うしろたおし」などと読まないようにしましょう。
「後ろ倒し」の使い方
「後ろ倒し」を使った分かりやすい例としては、「着工時期を2週間後ろ倒しにしましょう」「部長の都合で会議時間が後ろ倒しになりました」「完成日は3日ほど後ろ倒しになりそうです」「開園日を後ろ倒しすることが決定しました」などがあります。
「後ろ倒し」は予定の時期を先に延ばすことを意味する名詞です。
「後ろ倒し」はビジネスシーンにおいての納期に関する場面で使用されています。
「後ろ倒し」は官庁用語として使われていた
「後ろ倒し」は類語である繰り下げや延期という言葉がややマイナスなイメージを持っているので、政治家や官僚が少しでもプラスにみせようと使い始めた官庁用語です。元々は官庁用語だったものをニュースなどで使い始めた結果、一般人も使うようになったと言われています。
ただし、「後ろ倒し」はまだ完全に浸透した言葉とは言えず、辞書によってはまだ記載されていないものもあるようです。したがって、安易に使う言葉ではないと覚えておきましょう。
「後ろ倒し」の対義語
「後ろ倒し」の対義語・反対語としては、予定の時期を繰り上げて予算を使ったり計画を実施したりすることを意味する「前倒し」があります。
「後ろ倒し」の類語
「後ろ倒し」の類語・類義語としては、期日や期限を延ばすことを意味する「延期」、長さや期間を延ばすことを意味する「延長」、時間や時刻をあとに延ばすことを意味する「遅らせる」などがあります。
「前倒し」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、予定の時期を繰り上げて予算を使ったり計画を実施したりすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「前倒し」はビジネスシーンにおいても使うことができる言葉です。
「後ろ倒し」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、予定の時期を先に延ばすことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「後ろ倒し」はビジネスシーにおいても使うことができる言葉です。
「前倒し」と「後ろ倒し」は意味は全く異なる言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、予定の時期を繰り上げて予算を使ったり計画を実施したりすることを表現したい時は「前倒し」を、予定の時期を先に延ばすことを表現したい時は「後ろ倒し」を使うと覚えておきましょう。