似た意味を持つ「未亡人」(読み方:みぼうじん)と「やもめ」(読み方:やもめ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「未亡人」と「やもめ」という言葉は、どちらも夫のいない女性のことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「未亡人」と「やもめ」の違い
「未亡人」と「やもめ」の意味の違い
「未亡人」と「やもめ」の違いを分かりやすく言うと、「未亡人」とは死別した場合のみ使える、「やもめ」とは死別だけでなく離婚した場合にも使えるという違いです。
「未亡人」と「やもめ」の使い方の違い
一つ目の「未亡人」を使った分かりやすい例としては、「彼女は30歳で夫を亡くして未亡人となってしまいました」「子連れの未亡人はとても苦労すると思います」「未亡人になったが再婚することにしました」などがあります。
二つ目の「やもめ」を使った分かりやすい例としては、「妻が亡くなった人のことは男やもめと言います」「これからやもめ生活になると思うと先が思いやられる」「彼は10年間やもめ暮らしをしている」などがあります。
「未亡人」と「やもめ」の使い分け方
「未亡人」と「やもめ」はどちらも夫のいない女性のことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「未亡人」は夫と死別した場合にのみ使えるの大して、「やもめ」は死別した場合だけではなく、離婚した場合にも使えるというのが違いになります。
また、もう一つ違いがあり、「未亡人」は女性に対してしか使えないのに対して、「やもめ」は「男やもめ」「妻に先立たれてやもめになった」などのように、男性に対しても使えるという点です。
「未亡人」と「やもめ」の英語表記の違い
「未亡人」を英語にすると「widow」となり、例えば上記の「彼女は30歳で夫を亡くして未亡人となってしまいました」を英語にすると「She was left a widow at the age of thirty」となります。
一方、「やもめ」を英語にすると「widower」「widow」となり、例えば上記の「彼は10年間やもめ暮らしをしている」を英語にすると「He has remained a widower for ten years」となります。
「未亡人」の意味
「未亡人」とは
「未亡人」とは、夫を亡くした女性のことを意味しています。
「未亡人」の読み方
「未亡人」の読み方は「みぼうじん」です。誤って「みぼうびと」「みぼうひと」などと読まないようにしましょう。
「未亡人」の使い方
「未亡人」を使った分かりやすい例としては、「彼女は33歳という若さで未亡人になった」「未亡人になるのはとても辛いと思います」「子連れの未亡人となったが、子供たちが成人するまでは頑張っていくつもりです」などがあります。
「未亡人」とは夫を亡くした女性のことを意味する言葉ですが、近年では言葉自体が適切でないとする傾向があります。そのため、新聞やニュースなどで避けるべき言葉となっています。また、現代では女性蔑視の差別表現という認識が広まっているため、ほとんど聞くことはないでしょう。
ではなぜ、「未亡人」が差別表現だと指摘されているのかというと、夫が亡くなったのに未だ亡くなっていない人というニュアンスがあるからです。簡単に言うならば、本来なら夫が死んだのであれば妻も死ぬべきなのに、まだ死なずに生きながらえていることを意味しています。
したがって、「未亡人」は男尊女卑を意味する言葉であり、女性に対して差別的な表現なので、使うのは好ましくありません。
「未亡人」の類語
「未亡人」の類語・類義語としては、、夫に死別し再婚しないで暮らしている女性のことを意味する「後家」があります。
「やもめ」の意味
「やもめ」とは
「やもめ」とは、夫のいない女性のことを意味しています。その他にも、妻のいない男性のことの意味も持っています。
「やもめ」の漢字表記
「やもめ」を漢字にすると、女性なら「寡」「寡婦」「孀」となり、男性なら「鰥」「鰥夫」となりますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「やもめ」を使うようにしましょう。
「やもめ」の使い方
「彼女は30歳という若さでやもめになってしまった」「夫と熟年離婚をして50歳で女やもめとなりました」などの文中で使われている「やもめ」は、「夫のいない女性のこと」の意味で使われています。
一方、「彼は若くして男やもめになってしまいました」「妻と結婚生活でそりが合わず離婚し男やもめとなりました」などの文中で使われている「やもめ」は、「妻のいない男性のこと」の意味で使われています。
「やもめ」は結婚相手を失った人を意味する言葉で、男性と女性どちらに対しても使えるのが特徴です。現代では男女どちらに対しても使えますが、女性は「やもめ」、男性は「やもお」で使い分けていた時代もありました。
また、現代では女性は「女やもめ」、男性は「男やもめ」と言い分けて使うこともあります。
「やもめ」は結婚相手を失った人を意味する言葉ですが、その理由は問いません。離婚して独り身になった場合にも使えますし、結婚相手が亡くなってしまった場合にも使うことが可能です。
また、「やもめ」は現代では未婚者ではなく結婚経験のある男女を指していますが、このことわざの場合は、未婚者に対しても使うことが可能です。
「男やもめに蛆がわき女やもめに花が咲く」の意味
「やもめ」を使った有名な言葉として、「男やもめに蛆がわき女やもめに花が咲く」があります。
「男やもめに蛆がわき女やもめに花が咲く」とは、独り暮らしの男は家事がおろそかになり、身のまわりが不潔になりがちだが、女の独り暮らしはこぎれいで、周囲の男たちにもてはやされることを意味しています。
「やもめ」の類語
「やもめ」の類語・類義語としては、夫に死に別れて再婚しないでいる女性のことを意味する「寡婦」(読み方:かふ)があります。
「未亡人」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、夫を亡くした女性のことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「未亡人」は夫を亡くした女性に対してのみ使う言葉です。
「やもめ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、夫のいない女性のことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、妻のいない男性のことを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「やもめ」は夫のいない女性のこと、例文4と例文5の「やもめ」は妻のいない男性のことの意味で使っています。
「未亡人」と「やもめ」はどちらも夫のいない女性のことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、死別した場合のみ使えるのが「未亡人」、死別だけでなく離婚した場合にも使えるのが「やもめ」と覚えておきましょう。