似た意味を持つ「講演」(読み方:こうえん)と「公演」(読み方:こうえん)と「上演」(読み方:じょうえん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「講演」と「公演」と「上演」という言葉は、大勢に向かって話しや芸をすることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
講演と公演と上演の違い
講演と公演と上演の意味の違い
講演と公演と上演の違いを分かりやすく言うと、講演は大勢に話しをすることを表現する時に使い、公演は芸を演じること自体を表現する時に使い、上演は演じている最中を表現する時に使うという違いです。
講演と公演と上演の使い方の違い
講演という言葉は、「彼の講演会はいつも満席だ」「講演で全国を行脚をする人もいる」などの使い方で、大勢に向かい話をすることを意味します。
公演という言葉は、「公演期間ともなると役者たちのオフショットがSNSに掲載される」「諸般の理由で公演が中止となってしまった」などの使い方で、演芸などを公の場で演じることを意味します。
上演という言葉は、「上演時間の合間には休憩が挟まれる」「たった2回しか上演されないのが惜しい舞台であった」などの使い方で、観客に見せるために劇などを舞台で演じることを意味します。
講演と公演と上演の使い分け方
公演と上演はどちらも舞台に関する言葉として使われる言葉ですが、前者が舞台自体を指すのに対して、後者は舞台上で演劇が行われることを指します。
そのため、「公演期間」を「公演時間」に、「上演時間」を「上演期間」に、「東京公演」を「東京上演」にそれぞれ置き換えて使うのは適切ではありません。
また、公演は演劇だけではなく、コンサートやスピーチなど無料であったりチケットがあれば誰でも見ることの出来る舞台に対して使われますが、上演は演劇のみに使います。
限られた人たちに見せる舞台に対して上演を使っていましたが、今日ではこの区別はほとんどありません。
一方、講演は、大勢に向かって話しをすることで、知見を得ることができるものに対して使われる言葉です。漫才などは演者が話しをして観客を楽しませる芸であるため、「講演」ではなく「公演」を使います。
これらが、講演、公演、上演の明確な違いです。
講演の意味
講演とは
講演とは、あるテーマに従って大勢に向かい話をすることを意味しています。
表現方法は「講演を聞く」「講演を聴講する」「講演に先立ちまして」
「講演を聞く」「講演を聴講する」「講演に先立ちまして」などが、講演を使った一般的な言い回しです。
講演を使った言葉として、「講演会」「講演家」があります。
「講演会」の意味
一つ目の「講演会」とは、1人の講師が大勢の人たちに向かって特定のテーマの話をする催しを指す言葉です。
似た催事に「セミナー」がありますが、こちらは受講する人が自主的に勉強などを行い、その内容に関して他の受講者と話しをしたり、講師はアドバイスをするのみで、受講者が主体です。
それに対して講演会は、講師が主体となり、講師から受講者への一方的な説明が行われるのみで、出席者が議論をし合うなどは行われません。
「講演家」の意味
二つ目の「講演家」とは、前述した講演会で話しをする人を指します。自らの主義や主張を話す場合には演説家とも呼ばれます。
中心となるテーマに関する知識が豊富である人が呼ばれるのはもちろんですが、テレビ出演するような芸能人を講師として呼ぶ場合もあります。
講演の類語
講演の類語・類義語としては、世間一般に知らせることを意味する「発表」、物事の意義や内容などを優しく説くことを意味する「談義」、大勢の前で自分の意見や主張を述べることを意味する「演説」などがあります。
公演の意味
公演とは
公演とは、演劇、演芸、舞踊や音楽などを、公開の場で演じることを意味しています。
そのため、限定的に行われる舞台や漫才、コンサートに対しては基本的に公演という言葉は使いません。
この場合の限定とは、誰でも応募してチケットを得ることができる物を指すわけではなく、会員限定であったり、関係者以外立ち入ることのできない学校での発表会などを指します。
表現方法は「公演する」「公演中止」「公演延期」
公演を使った表現として、「公演する」「公演中止」「公演延期」「公演アンケート」「公演名」などがあります。どれも一回一回の舞台を指すわけではなく、定められた期間に行われる舞台全てを指す時に使われます。
「東京公演」や「大阪公演」など地名を付けることで、期間の中で行われる舞台の一部を指すことができます。
公演の類語
公演の類語・類義語としては、公衆の前で演じられる落語や舞踊など芸を意味する「演芸」、広く人に知らせることを意味する「披露」、多くが見られるようにすることを意味する「供覧」、観客を集め見世物などを催すことを意味する「興行」などがあります。
上演の意味
上演とは
上演とは、観客に見せるために劇などを舞台で演じることを意味しています。
公演という言葉と違い、上演は限定的に公開する舞台に対しても使うことができる言葉です。
表現方法は「上演する」「上演される」「上演中の映画」
「上演する」「上演される」「上演中の映画」などが、上演を使った一般的な言い回しです。
「上演権」の意味
上演を使った言葉として、「上演権」があります。これは著作権に含まれる権利で、脚本などを作り上げた著作権者だけが、公で上演することができる権利を指す言葉です。
また、音楽の演奏に関しては「演奏権」と言われます。演奏と言えど、歌うことや、CDの再生も含みます。
上演の対義語
上演の対義語・反対語としては、音楽や劇などの演奏や上演を休んだり、取りやめることを意味する「休演」があります。
上演の類語
上演の類語・類義語としては、演劇やテレビなどに出て演技をすることを意味する「出演」、役者などが演技をすることを意味する「芝居」、俳優や歌手が舞台で劇を演じたり歌ったりすることを意味する「実演」などがあります。
講演の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある題目に従って大勢に向かい話をすることを意味する時などが挙げられます。
例文1の「講演会」とは、1人の講師が大勢の人たちに向かって特定のテーマの話をする催しを指す言葉です。
公演の例文
この言葉がよく使われる場面としては、芸に関する舞台を公開の場で演じることを意味する時などが挙げられます。
例文2の「芸人の舞台」や例文3の「コンサート」のように、演劇だけではなく漫才やコンサートなどにも公演という言葉を使うことができます。
上演の例文
この言葉がよく使われる場面としては、観客に見せるために劇などを舞台で演じることを意味する時などが挙げられます。
演者が舞台上で演じている間のことを指すため、一度の舞台に対して使われる言葉です。
講演と公演と上演どれを使うか迷った場合は、大勢に話しをすることを表す場合は「講演」を、芸を演じること自体を表す場合は「公演」を、演じている最中を表す場合は「上演」を使うと覚えておけば間違いありません。