似た意味を持つ「論外」(読み方:ろんがい)と「言外」(読み方:げんがい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「論外」と「言外」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
論外と言外の違い
論外と言外の意味の違い
論外と言外の違いを分かりやすく言うと、論外とは論じる価値もないことを意味し、言外とは言葉に表されていない部分を意味するという違いです。
論外と言外の使い方の違い
一つ目の論外を使った分かりやすい例としては、「いわれなき差別や誹謗中傷などは論外である」「顔を見て論外と言われて悔しい」「お年寄りに席を譲らないなんて人として論外だろう」「無関係な意見は論外にして話を進めよう」などがあります。
二つ目の言外を使った分かりやすい例としては、「言外の意味をくみ取ることは不得手です」「彼が努力家であることは言外に滲み出ていた」「口調に潜む言外の意図を感じて萎縮する」「言外に含ませるだけで明言しなかった」などがあります。
論外と言外の使い分け方
論外と言外という言葉は、字面や音の響きが似ていますが、意味や使い方には違いがあります。
論外とは、議論の範囲外を意味します。また、「人として論外」などの使われ方で、論じる価値もないこと、もってのほかで話にならないことの意味もあり、現在ではこの意味で使われることがほとんどです。
言外とは、文字通り「言葉の外側」であり、直接的には言葉には表れていない部分を意味します。言葉でハッキリ示さなくても、態度や口調あるいは表情などから、自分の気持ちや意図することを相手に伝えようとすることを、「言外に含ませる」「言外に匂わす」などと表現します。
このように、論外と言外は似ていますが全く違う意味を持つ言葉なので、しっかりと区別して用いるようにしましょう。
論外と言外の英語表記の違い
論外を英語にすると「out of the question」「outrageous」「irrelevant」となり、例えば上記の「論外である」を英語にすると「be out of the question」となります。
一方、言外を英語にすると「unexpressed」「unspoken」「implied」となり、例えば上記の「言外の意味をくみ取る」を英語にすると「catch the implied meaning」となります。
論外の意味
論外とは
論外とは、当面の議論に関係のないこと、議論の範囲外を意味しています。
その他にも、「論じる価値もないこと、もってのほかで話にならないこと」の意味も持っています。
表現方法は「人として論外」「論外の男」「論外な発言」
「人として論外」「論外の男」「論外な発言」などが、論外を使った一般的な言い回しです。
論外の使い方
「今は論外な話を持ち込まないでくれ」「論外な発言が多い的外れな人だ」「個人的な事情は論外において考えよう」などの文中で使われている論外は、「当面の議論に関係のないこと」の意味で使われています。
一方、「英語が話せないのに海外に住みたいなんて論外です」「仕事が続かない論外の男に興味はない」「SNSで他人の悪口を言うのは論外でしょう」「お金の使い方にだらしない論外な人とは付き合えません」などの文中で使われている論外は、「論じる価値もないこと」の意味で使われています。
論外という言葉の「論」は、筋道を立てた話や文章を表します。ある範囲から離れた外側を表す「外」と組み合わさり、論外とは、問題における主題と関連性がないさまを意味します。また、議論される価値がないこと、とんでもない話で話題にする価値もないことの意味でも用いられています。
「論外な人」の意味
上記の例文にある「論外な人」とは、取り上げる価値がないような程度が低い人のことです。人に対する悪口にもなる表現なので、使い方には注意が必要です。
論外の対義語
論外の対義語・反対語としては、議論の中心となる問題点を意味する「論点」、人々の注意や関心の集まるところを意味する「焦点」、批判や論争など中心となる事柄を意味する「問題点」などがあります。
論外の類語
論外の類語・類義語としては、意味のないことや価値なくつまらないことを意味する「無意味」、意義のないことや価値がなくつまらないことを意味する「無意義」、とるに足らない論議を意味する「愚論」、馬鹿げていることやノンセンスを意味する「ナンセンス」などがあります。
言外の意味
言外とは
言外とは、言葉に出さない部分を意味しています。
言外の読み方
言外の読み方は「げんがい」です。誤って「ごんがい」「いがい」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「言外に匂わす」「言外に滲む」「言外の言葉」
「言外に匂わす」「言外に滲む」「言外の言葉」などが、言外を使った一般的な言い回しです。
言外の使い方
言外を使った分かりやすい例としては、「それとなく言外に匂わす」「言外に滲む下心が見え隠れする」「芸術作品から言外にある趣を感じ取る」「好きな気持ちを言外に滲ませる」「別れの意思を言外に伝える」などがあります。
その他にも、「不満であることを言外に匂わせる」「言外の言葉を含めて考える」「言外の意図が分からない病気があります」「なるべく関わりたくないことを言外に含ませる」「隠していた気持ちが言外に滲む」などがあります。
言外とは、直接的に言葉で表されていない部分を意味します。例えば、厳しい口調で「なぜ?」と聞かれたら、その言葉には「なぜ宿題をやっていないの?」「なぜミスをしたのか?」などの非難の意味が込められています。これらの言葉の表現を超えて感じ取るものを言外といいます。
「言外に匂わせる」の意味
上記の例文にある「言外に匂わせる」とは、言葉以外の態度や仕草などから、相手に自分の意図が伝わるように仕向けることを意味します。同じような表現には「言外にほのめかす」などがあります。
「言外にある趣」の意味
言外を用いた日本語には、「言外にある趣」(読み方:げんがいにあるおもむき)があります。主に芸術作品や文学作品に対して使用される表現であり、作品から感じ取れる風情やしみじみとした味わいを意味します。
言外の対義語
言外の対義語・反対語としては、言葉にしてはっきり言いきることを意味する「明言」、思ったことをはっきり言うさまを意味する「ずけずけ」などがあります。
言外の類語
言外の類語・類義語としては、表面に現れない意味を含みもつことを意味する「含意」、中に込められている意味や内容を意味する「含み」、言葉などの表面に現れない深い内容を意味する「含蓄」、それとなく知らせることを意味する「示唆」、間接的に示すことを意味する「暗示」などがあります。
論外の例文
この言葉がよく使われる場面としては、議論の範囲外、論ずるまでもないこと、問題にならないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、論外という言葉は、「論ずるまでもないこと、問題にならないこと」の意味で使われることがほとんどです。例文1にある「人として論外」とは、取り上げる価値がないようなレベルが低い人のことを表しています。
言外の例文
この言葉がよく使われる場面としては、言葉で表されていない部分、言葉で言うことの外にあるものを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「言外に含ませる」とは、はっきりと言葉にしないものの、ある意図や感情をそれとなく態度などに表すことを意味します。
論外と言外という言葉は、似ていますが意味は全く異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、論じる価値もないことを表現したい時は「論外」を、言葉で表されていない部分を表現したい時は「言外」を使うようにしましょう。