【露悪】と【偽悪】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「露悪」(読み方:ろあく)と「偽悪」(読み方:ぎあく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「露悪」と「偽悪」という言葉は、どちらも「悪く振る舞うこと」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




露悪と偽悪の違い

露悪と偽悪の意味の違い

露悪と偽悪の違いを分かりやすく言うと、露悪とは実際に悪人であることを表し、偽悪とは実際には悪人でないことを表すという違いです。

露悪と偽悪の使い方の違い

一つ目の露悪を使った分かりやすい例としては、「皮肉屋の彼は露悪趣味だと思います」「露悪的なところがありますが根はいいやつです」「露悪的な態度はやめた方がいいよ」「偽善と露悪どちらが悪質だろうか」などがあります。

二つ目の偽悪を使った分かりやすい例としては、「偽悪家を気取って悪態をつきました」「虚悪者が悪人ぶる心理に興味があります」「偽悪的な言動が多い英語講師である」「偽悪趣味がかっこいいと勘違いしている男子が多い」などがあります。

露悪と偽悪の使い分け方

露悪と偽悪という言葉は、どちらも悪態をついたり悪く振る舞うことを表していますが、意味や使い方には違いがあります。

露悪とは、欠点や悪いところを故意にさらけ出すことを意味します。露悪という言葉を自分に対して使う場合は、自分の性格の悪さをさらけ出すことを表し、他人に対して使う場合は、人や物事の欠点ばかりを指摘したり非難することを表します。

偽悪とは、実際は悪人ではないのに、うわべを悪人らしく装うことを意味します。本当は悪い人ではないのに、悪く振る舞うことを「偽悪的」といい、本当の悪人が悪ぶる様子は「偽悪的」とは言いません。

つまり、露悪と偽悪の違いは、実際に悪人であるかどうかです。露悪は実際に悪い面があったり悪人であることを表現しますが、偽悪は実際に悪い面がなかったり悪人でないことを表す言葉なのです。

露悪と偽悪の英語表記の違い

露悪を英語にすると「making a show of one’s faults」となり、例えば上記の「彼は露悪趣味だ」を英語にすると「He likes to make a show of his faults」となります。

一方、偽悪を英語にすると「pretense of evil」「pretend to be bad」となり、例えば上記の「偽悪家」を英語にすると「a person who pretends to be bad」となります。

露悪の意味

露悪とは

露悪とは、欠点や悪いところをわざとさらけ出すことを意味しています。

露悪の読み方

露悪の読み方は「ろあく」です。誤って「ろお」「つゆあく」などと読まないようにしましょう。

露悪の使い方

露悪を使った分かりやすい例としては、「露悪趣味の英語講師は昔のやんちゃ話を誇らしげに語る」「あえて露悪的に振る舞うことはないだろう」「昔は偽善家が多かったが今は露悪家ばかりである」などがあります。

その他にも、「人々は偽善を嫌うあまりに露悪趣味に向かっているようだ」「現代の露悪的ポピュリズムを論じる」「オタク的露悪趣味に毒された」「露悪趣味はダサいと思います」「露悪的な人間ほど信用できると思います」などがあります。

露悪の「露」は訓読みで「あらわれる」と読み、むき出しに現すこと、「悪」は正しくないことや良くないことを表します。露悪とは、悪い面や欠点を故意にさらけ出すことを意味する言葉です。自分や他人の悪いところをわざとさらけ出す人を「露悪家」と言い、「偽善家」と対比して使われています。

「露悪趣味」の意味

露悪を用いた日本語には「露悪趣味」があります。露悪趣味とは、自分を目立たせるために露悪を好むことです。一説には、夏目漱石の「三四郎」で扱われた造語であるとされており、露悪趣味は意図的に欠点を露出する傾向があることを表しています。

露悪の対義語

露悪の対義語・反対語としては、本心からでなくうわべをつくろってする善行を意味する「偽善」、本心や本性を隠して違ったもののように繕うことを意味する「仮面を被る」などがあります。

露悪の類語

露悪の類語・類義語としては、隠していた正体や本性を現すことを意味する「仮面を脱ぐ」、隠していたことがあらわれることや化けの皮がはがれることを意味する「馬脚を露わす」などがあります。

偽悪の意味

偽悪とは

偽悪とは、わざと悪を装うことを意味しています。

偽悪の読み方

偽悪の読み方は「ぎあく」です。誤って「ぎわる」「にせあく」などと読まないようにしましょう。

偽悪の使い方

偽悪を使った分かりやすい例としては、「彼は優しいのに偽悪的な人です」「どうして偽悪者のキャラを演じようとするのだろう」「偽悪ぶる人の心理が知りたい」「息子は偽悪的でひねくれている面がある」などがあります。

その他にも、「愛情の深すぎる人は偽悪趣味になりがちだ」「彼女は偽善者か偽悪者かどちらなのだろう」「ときどき意味の分からない偽悪的な意地悪をする」「尖ったデザインが偽悪的で気に入っています」などがあります。

偽悪の「偽」は訓読みで「にせ」「いつわる」と読み、本物らしく見せてだますことを表します。正しくないことを意味する「悪」と組み合わさり、偽悪とは、わざと悪を装い悪人であるかのように振る舞うことを意味します。

偽悪という言葉は、うわべを善人らしく見せかけることを意味する「偽善」に対してできた言葉です。根は優しいのに乱暴な言動をとったり悪ぶっていることや、良い行いをしても悪態をつくことなどを指します。

偽悪の対義語

偽悪の対義語・反対語としては、うわべをいかにも善人らしく見せかけることを意味する「偽善」、偽善を行う人を意味する「偽善者」、うわべだけの真心のこもっていない情けを意味する「無げの情け」などがあります。

偽悪の類語

偽悪の類語・類義語としては、虚勢を張り不良じみた態度をとることを意味する「突っ張り」、自分の弱い所を隠して外見だけは威勢のあるふりをするこをを意味する「虚勢を張る」、実力がないのに虚勢を張ることを意味する「からいばり」などがあります。

露悪の例文

1.90年代のサブカルには露悪的な雰囲気があって、不良やヤンキーがカッコイイとされていました。
2.露悪趣味なんて今さらダサいし、それを面白がる人々は理解できません。
3.アイドルを題材にしたアニメには、アイドルオタクを露悪的に強調している作品が多いように感じます。
4.波乱万丈位の人生を送った祖父は、露悪的な人間ほど信用できると言っていました。
5.その毒舌キャラの芸人は、何かと露悪的な表現をするところが人気のようです。
6.職場の先輩は露悪家で「こんなのどこがいいんだ」「やめちまえ」などと必要以上に乱暴な言い方をするので皆おびえているが、気を遣わなくて済むのでむしろ楽だ。
7.女性やマイノリティなどへの露悪的な表現は、以前はネットの掲示板にひっそりと書かれていたりしたが、今ではSNSに堂々と書かれていることもある。
8.彼は人より仕事ができるので、上司からも一目置かれているが、皮肉屋で露悪趣味なので私はあまり好きではない。
9.友達からおすすめされた漫画は露悪的な描写が多くて、私の趣味にはまったく合わないと思いました。
10.往年の名優の素顔を知る人に話を聞いたが、わがままで、お天気で、露悪家な一面があったというので非常に驚きました。

この言葉がよく使われる場面としては、悪いところをわざとさらけ出すことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、露悪は「露悪的」という言い回しで使われることが多い言葉です。露悪的とは、悪を露出する傾向を意味し、嫌なところや悪いところを殊更に取り上げるさまを表します。

偽悪の例文

1.親から十分な愛情を注がれずに育った子供は、偽悪家になりやすいと言われています。
2.仲間の為にあえて悪者のように振る舞う、そんな偽悪的な主人公を描いたアニメ映画が流行っているようです。
3.文化祭のクラス劇で主役に選ばれ、偽悪のヒーロー的なキャラを演じることになりました。
4.偽善者と偽悪者の特徴を、心理学の先生がわかりやすく解説してくれました。
5.小学生男子が、好きな女の子の前であえて偽悪ぶるのは何故だろう。
6.お笑い芸人は、あの人本当はいい人なんですよと言われる人も多いが、偽悪的なほうがいい人キャラよりテレビ的においしいのだろう。
7.私はSNSというのは、本心を書くよりも偽悪的に振る舞うほうが合っているのではないかと考えている。
8.中学生になり思春期真っ只中になると、偽悪趣味がかっこいいと勘違いしている男子が多く見受けられる。
9.私は当時彼のことを嫌っていたが、彼の立場からしてみれば偽悪的に振る舞うしかなかったのかもしれない。
10.彼は決して偽悪ぶっているのではなくて、本当に性根が腐っていて、どうしようもないクズなのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、実際以上に悪人であるかのように見せかけ、そのように振る舞う態度を表現したい時などが挙げられます。

例文1の文中にある「偽悪家」とは、本当は悪ではないのにあえて自分を悪であるかのように見せる人のことです。「偽悪者」とも言います。

露悪と偽悪という言葉は、どちらも「悪く振る舞うこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、実際に悪い面があることを表現したい時は「露悪」を、実際には悪い面がないことを表現したい時は「偽悪」を使うようにしましょう。

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