似た意味を持つ「柔よく剛を制す」(読み方:じゅうよくごうをせいす)と「柳に雪折れなし」(読み方:やなぎにゆきおれなし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「柔よく剛を制す」と「柳に雪折れなし」という言葉は、どちらも柔らかい方がかえっていいことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「柔よく剛を制す」と「柳に雪折れなし」の違い
「柔よく剛を制す」と「柳に雪折れなし」の意味の違い
「柔よく剛を制す」と「柳に雪折れなし」の違いを分かりやすく言うと、「柔よく剛を制す」とは中国が由来の言葉、「柳に雪折れなし」とは日本が由来の言葉という違いです。
「柔よく剛を制す」と「柳に雪折れなし」の使い方の違い
一つ目の「柔よく剛を制す」を使った分かりやすい例としては、「柔よく剛を制すの精神を忘れないことは大切だろう」「柔よく剛を制すなので怒鳴り散らすのは辞めようと思います」「私たちは柔よく剛を制すだと思っています」などがあります。
二つ目の「柳に雪折れなし」を使った分かりやすい例としては、「私の座右の銘は柳に雪折れなしです」「彼女には柳に雪折れなしという言葉がぴったり合う」「彼は柳に雪折れなしという性格です」などがあります。
「柔よく剛を制す」と「柳に雪折れなし」の使い分け方
「柔よく剛を制す」と「柳に雪折れなし」はどちらも柔らかい方がかえっていいことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「柔よく剛を制す」は中国の古い兵法書の中に出てくる言葉が由来で、柔弱なものがかえって剛強なものに勝つことを意味しています。
一方、「柳に雪折れなし」は日本によく生えている柳の木が由来の言葉で、柔らかいものは堅いものよりかえってよく持ちこたえることを意味しているというのが違いです。
「柔よく剛を制す」と「柳に雪折れなし」の英語表記の違い
「柔よく剛を制す」を英語にすると「soft and fair goes far」となり、例えば上記の「私たちは柔よく剛を制すだと思っています」を英語にすると「We like to think that soft and fair goes far」となります。
一方、「柳に雪折れなし」を英語にすると「oaks may fall while reeds survive the storm」となり、例えば上記の「彼は柳に雪折れなしという性格です」を英語にすると「He had a personality that“Oaks may fall when reeds stand the storm」となります。
「柔よく剛を制す」の意味
「柔よく剛を制す」とは
「柔よく剛を制す」とは、柔弱なものがかえって剛強なものに勝つことを意味しています。
「柔よく剛を制す」の漢字表記
「柔よく剛を制す」を漢字にすると、「柔能く剛を制す」と表記することができます。また、「柔良く剛を制す」と表記するのは間違いなので注意しましょう。
「柔よく剛を制す」の使い方
「柔よく剛を制す」を使った分かりやすい例としては、「柔よく剛を制すというように強引な手段を取るのは良くないだろう」「柔よく剛を制すは私のモットーです」「相手をなめていたら柔よく剛を制すで負けてしまいました」などがあります。
「柔よく剛を制す」は柔弱なものがかえって剛強なものに勝つことを意味することわざですが、日常生活ではあまり使われていないため、馴染みがない人も多いでしょう。その反面、柔道の世界などではよく使われている言葉です。
「柔よく剛を制す」の由来
「柔よく剛を制す」の由来は古代中国の兵法書である『三略』で使われていた言葉です。『三略』とは略・中略・下略の3巻から成り立っており、漢の張良が黄石公から授けられたといわれています。
この『三略』の中に、「柔は能く剛を制し、弱は能く強を制す」という一文があり、これを日本語に訳すと「しなやかなものは、かたくて強いものの鋭い矛先を巧みにそらして、結局は勝利を得る」となります。
そしてこの一文が転じて、柔弱なものがかえって剛強なものに勝つことを「柔よく剛を制す」と言うようになりました。
「柔よく剛を制す」の類語
「柔よく剛を制す」の類語・類義語としては、剛強なものは滅びやすく柔軟なものは残ることを意味する「歯亡び舌存す」(読み方:はほろびしたそんす)があります。
「柳に雪折れなし」の意味
「柳に雪折れなし」とは
「柳に雪折れなし」とは、柔らかいものは堅いものよりかえってよく持ちこたえることを意味しています。
「柳に雪折れなし」の漢字表記
「柳に雪折れなし」を漢字にすると、「柳に雪折れ無し」と表記することができます。
「柳に雪折れなし」の使い方
「柳に雪折れなし」を使った分かりやすい例としては、「彼のような性格な人には柳に雪折れなしという言葉がぴったりです」「柳に雪折れなしな人は世渡り上手だと思います」「彼は柳に雪折れなしと言うべきだろう」などがあります。
「柳に雪折れなし」は柔らかいものは堅いものよりかえってよく持ちこたえることを意味することわざです。また、「柳の枝に雪折れなし」という場合もあると覚えておきましょう。
「柳に雪折れなし」は柔らかいものは堅いものよりかえってよく持ちこたえることを意味していますが、人に対して使う場合は、柔軟な心持ちでいる方が上手く対応というニュアンス使うことが多いです。
「柳に雪折れなし」の由来
「柳に雪折れなし」の由来は柳の枝です。柳はヤナギ科ヤナギ属の落葉樹の総称で、一般に湿地に多く、低木または高木で、葉はふつう互生しています。
そしてこの柳の枝は、よくしなうので雪の重みで折れることはありません。これが転じて、柔らかいものは堅いものよりかえってよく持ちこたえることを「柳に雪折れなし」と言うようになりました。
「柳に雪折れなし」の類語
「柳に雪折れなし」の類語・類義語としては、堅いものは折れやすくてむしろ柔らかいものの方がよく耐えられることを意味する「堅い木は折れる」などがあります。
「柔よく剛を制す」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、柔弱なものがかえって剛強なものに勝つことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「柔よく剛を制す」は弱い人が柔軟性で強い人に勝つ場合に使う言葉です。
「柳に雪折れなし」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、柔らかいものは堅いものよりかえってよく持ちこたえることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるよに、「柳に雪折れなし」は柔軟な心持ちでいる方が上手く対応というニュアンスで使うことが多い言葉です。
「柔よく剛を制す」と「柳に雪折れなし」はどちらも柔らかい方がかえっていいことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、中国が由来の言葉なのが「柔よく剛を制す」、日本が由来の言葉なのが「柳に雪折れなし」と覚えておきましょう。