似た意味を持つ「出頭」(読み方:しゅっとう)と「自首」(読み方:じしゅ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「出頭」と「自首」という言葉は、どちらも「警察に出向くこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
出頭と自首の違い
出頭と自首の意味の違い
出頭と自首の違いを分かりやすく言うと、出頭とは犯罪事実の発覚後に警察に出向くことを表し、自首とは犯罪事実の発覚前に警察に出向くことを表すいう違いです。
出頭と自首の使い方の違い
一つ目の出頭を使った分かりやすい例としては、「指定の期日に出頭すること」「男は逮捕状が出ていることを知り、警察署へ出頭した」「交通違反で出頭通知書が届いた」「裁判所の出頭命令に応じるつもりはない」などがあります。
二つ目の自首を使った分かりやすい例としては、「痴漢と盗撮行為について警察に自首する」「事件の加害者は自首減刑で無期懲役になりました」「被害届なしで自首するとどうなるのだろう」「証拠がない場合でも自首は成立します」などがあります。
出頭と自首の使い分け方
出頭と自首という言葉は、どちらも刑事ドラマなどで使われ「警察に出向くこと」を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
出頭とは、ある場所へ本人が出向くことを意味します。特に、警察や役所など公的な場所へ行くことを指す言葉であり、警察機関に出向くことのみを指すわけではありません。上記の例文にある「出頭命令」とは「出頭要請」ともいい、裁判所が被告人に対して、指定の場所に出頭を命じることです。
自首とは、罪を犯した者が、その犯罪や犯人が発覚する前に捜査機関に自発的に犯罪事実を申告することです。自首をすると、刑を減軽されるケースがあります。取調べに対して犯罪事実を供述したり自認する自白とは区別され、自白は減刑や免除の事由にはなりません。
つまり、出頭と自首の違いは、犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚しているかどうかにあります。発覚前に警察に出向くことは「自首」になりますが、発覚後に警察に出向く場合は「出頭」と表現します。
出頭と自首の英語表記の違い
出頭を英語にすると「appearance」「presence」「attendance」となり、例えば上記の「出頭する」を英語にすると「make one’s appearance」となります。
一方、自首を英語にすると「surrender」「giving oneself up」「turning oneself in」となり、例えば上記の「警察に自首する」を英語にすると「surrender oneself to the police」となります。
出頭の意味
出頭とは
出頭とは、本人がその場所、特に役所や警察などに出向くことを意味しています。
その他にも、「他よりぬきんでること、特に、寵愛を受けて立身出世すること」「政務の要職にあること」の意味も持っています。
出頭の読み方
出頭の読み方は「しゅっとう」です。名前の苗字としての出頭は、「しゅっとう」のほかに「しっとう」「でがしら」と読まれることもありますが、名詞としての出頭は「しゅっとう」と読みます。
表現方法は「出頭を命じる」「出頭を命じられる」「出頭する」
「出頭を命じる」「出頭を命じられる」「出頭する」などが、出頭を使った一般的な言い回しです。
出頭の使い方
「警察が容疑者に出頭要請を行う」「行政処分出頭通知書が届きました」「出頭通知が届き、免停に向けた処分を受ける」「農業委員会の求めにより出頭した者に旅費を支給する」などの文中で使われている出頭は、「本人がその場所に出向くこと」の意味で使われています。
一方、「将軍の寵愛を一身にあびて出頭した」の文中で使われている出頭は「他よりぬきんでること、寵愛を受けて立身出世すること」の意味で、「差別的な発言を繰り返す政治家を、なぜ出頭に置くのか」の文中で使われている出頭は「政務の要職にあること」の意味で使われています。
出頭とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、一般的には「本人がその場所に出向くこと」の意味で用いられています。特に、役所や警察あるいは裁判所に自分で行くことを表す時に使われる言葉です。
「行政処分出頭通知書」の意味
上記の例文にある「行政処分出頭通知書」とは、交通違反の累積点数が免許の停止処分に値する数値に達した場合に、警察から郵送される書類のことです。この書類に記載されている、指定場所や日時に従って出頭しなければなりません。
「出頭家老」の意味
出頭を用いた日本語には「出頭家老」(読み方:しゅっとうがろう)があります。出頭家老とは、家老のなかでも権力を握っている者や、要務に当たる家老のことです。
出頭の対義語
出頭の対義語・反対語としては、束縛されている場所から抜け出して逃げることを意味する「脱走」、逃げて身を隠すことを意味する「逃亡」などがあります。
出頭の類語
出頭の類語・類義語としては、法廷に出ることを意味する「出廷」、その場所にのぞむことや会場や式場などに行くことを意味する「臨場」、式や行事などに参加し列席することを意味する「参列」などがあります。
自首の意味
自首とは
自首とは、犯罪事実または犯人の発覚する前に、犯人が自ら捜査機関に犯罪事実を申告し、その訴追を求めることを意味しています。
表現方法は「自首する」「自首を促す」「自首したい」
「自首する」「自首を促す」「自首したい」などが、自首を使った一般的な言い回しです。
自首の使い方
自首を使った分かりやすい例としては、「自首や出頭することで勾留を回避できる可能性があります」「歌詞を盗んで自作のものとして発表したことを自首したい」「自首する夢には、どんな意味があるのだろう」などがあります。
その他にも、「児童買春した英語教師は自首することを決めました」「自首が成立するための要件を確認する」「自首にはメリットだけでなくデメリットもあります」「弁護士が警察署へ自首同行することもあります」などがあります。
自首とは、犯人が誰であるかが捜査機関に発覚する前に、犯人が自発的に捜査機関に対し犯罪事実を申告することです。自首は、負うべき刑が減軽または免除されうる事由となります。自首という言葉の「自」は自分自身、「首」は物を申すことや、罪を白状することを表す漢字です。
「自首減免」の意味
自首を用いた日本語には「自首減免」があります。 自首減免とは、犯人が自首した場合に、その刑を減軽または免除することを意味します。この考え方は、東洋の律令法制の伝統に由来するものと言われています。
自首の対義語
自首の対義語・反対語としては、逃げることや逃げ去ることを意味する「逃走」、令状で被疑者を引致し一定期間抑留するための強制手段を意味する「逮捕」などがあります。
自首の類語
自首の類語・類義語としては、罪を犯した者が自分から名のり出ることを意味する「自訴」、自分の秘密や犯した罪などを包み隠さずに言うことを意味する「自白」などがあります。
出頭の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある場所へ本人が自分で出ること、立身出世すること、政務の要職にあることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある出頭は、ある場所へ本人が自分で出ることの意味で用いられています。これらの例文にあるように、多くは役所や警察に出向くことを表現する言葉です。例文5の出頭は、立身出世することの意味で用いられています。
自首の例文
この言葉がよく使われる場面としては、罪を犯した者が、捜査機関に発覚する前に自発的に自己の犯罪事実を申告することを表現したい時などが挙げられます。
例文5にあるように、自首の成立は刑法第42条に規定されており、捜査機関によって犯罪事実や犯人が発覚していない段階で申告しなくてはならない、などの要件が定められています。
出頭と自首という言葉は、どちらも「警察に出向くこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、本人が役所や警察などに出向くことを表現したい時は「出頭」を、犯罪者が犯罪事実または犯人が発覚する前に自ら警察に出向くことを表現したい時は「自首」を使うようにしましょう。