似た意味を持つ「起承転結」(読み方:きしょうてんけつ)と「序破急」(読み方:じょはきゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「起承転結」と「序破急」という言葉は、どちらも「文章構成の方法」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
起承転結と序破急の違い
起承転結と序破急の意味の違い
起承転結と序破急の違いを分かりやすく言うと、起承転結とは四部構成を表し、序破急とは三部構成を表すという違いです。
起承転結と序破急の使い方の違い
一つ目の起承転結を使った分かりやすい例としては、「文章の起承転結に留意して読みなさい」「基本的には起承転結に沿って文章を書こう」「起承転結はプレゼンにも応用できます」「教授に起承転結でレポートするように言われました」などがあります。
二つ目の序破急を使った分かりやすい例としては、「日本の芸能から序破急の概念が生まれました」「雅楽は序破急で成り立っています」「序破急を含めた速度変化を鑑賞する」「アニメやCMにの制作も序破急が使われている」などがあります。
起承転結と序破急の使い分け方
起承転結と序破急という言葉は、どちらも文章やストーリーなどの構成方法を表します。二つの言葉は小説や舞台などにも使われていますが、意味や使い方には違いがあります。
起承転結とは、漢詩から生まれた言葉であり、四つに分けた構成法のことです。事の始まりを「起」、その展開を「承」、展開が変わることを「転」、これらのまとまりを「結」とする筋道のことです。
序破急とは、雅楽から生まれた言葉であり、三つに分けた構成法のことです。「序」は始まりの無拍子のパート、「破」は拍子が加わり、「急」は盛り上がって速度が速くなり締めくくる部分です。序・破・急という順序で緩急をつけています。
つまり、起承転結は四部構成であり、序破急は三部構成の組み立てを表します。どちらも文章や作品の構成以外に、物事の順序の意味でも用いられることがあります。
起承転結と序破急の英語表記の違い
起承転結を英語にすると「introduction, development, turn, conclusion」「construction and order」となり、例えば上記の「文章の起承転結」を英語にすると「the introduction, development, turn and conclusion of a composition」となります。
一方、序破急を英語にすると「introduction, exposition, and rapid finale」「introduction, development, and climax」となり、例えば上記の「序破急の概念」を英語にすると「the concept of introduction, development, and climax」となります。
起承転結の意味
起承転結とは
起承転結とは、文章や話の構成の仕方、また物事の順序や展開の仕方のことを意味しています。
起承転結の使い方
起承転結を使った分かりやすい例としては、「起承転結は論理的文章の構成に役立ちます」「ほとんどのアニメにも起承転結があります」「起承転結の整った話を心掛けています」「小学生でも起承転結で物語が書けるようになります」などがあります。
その他にも、「英語の作文も起承転結で書くようにしています」「作文教室で起承転結の使い方のコツを教えてもらった」「ビジネス文書も起承転結で書いた方が良いのだろうか」「ストーリーの起承転結の転が一番面白い」などがあります。
起承転結とは、もっとも基本的な文章や話の構成方法です。「起」は書き起こしで読者を話に引き込むこと、「承」は話を展開させること、「転」は視点を変えて興味を引くこと、「結」は全体をまとめること、という文章の構成の仕方を表します。転じて、物事の順序や作法の意味もあります。
起承転結の由来
起承転結の由来は、漢詩の四句からなる絶句における構成法にあります。絶句では、第一句(起句)で歌い起こし、第二句(承句)でこれを受けて発展させ、第三句(転句)で場面や視点などを転じ、第四句(結句)で全体をまとめて締めくくる構成になっています。古くは「起承転合」と言いました。
起承転結の類語
起承転結の類語・類義語としては、4行から成る漢詩の絶句の構成を意味する「起承転合」、一定の韻律をもち形式の整った文章を意味する「韻文」、基準に従った並び方を意味する「順序」、物事をくりひろげることを意味する「展開」などがあります。
序破急の意味
序破急とは
序破急とは、雅楽の楽曲構成上の三区分を意味しています。
その他にも、「芸能における速度や演出上の3区分」「能や浄瑠璃などで、脚本構成上の3区分」「すべての物事の始め・中・終わり、物事の展開してゆく流れ」の意味も持っています。
序破急の使い方
「序破急は雅楽から生まれた概念です」の文中で使われている序破急は「雅楽の楽曲構成上の三区分」の意味で、「序破急のテンポが心地よい」「日本の伝統芸能は序破急が基本パターンである」などの文中で使われている序破急は「芸能における速度や演出上の3区分」の意味で使われています。
一方、「広島で観た舞台は序破急で構成されていた」「序破急は小説作りで重要な要素の一つです」などの文中で使われている序破急は「脚本構成上の3区分」の意味で、「説明の序破急に変化をつける」の文中で使われている序破急は「物事の展開してゆく流れ」の意味で使われています。
序破急とは、日本の芸能用語であり、曲や劇の構成上の3段階を指す言葉です。もともとは雅楽の舞楽から生まれた概念ですが、能楽、連歌、浄瑠璃、剣術、茶道など芸道論で使用されています。また、構成パターンの1つとして、映画やアニメあるいはビジネスに関しても使用されています。
序破急の由来
序破急という言葉の由来は、雅楽の楽曲の三部構成にあります。「序」は緩やかな導入部、「破」は内容豊かな展開部、「急」は急テンポの終章のことです。この理念は能や浄瑠璃などの伝統芸能に入り、現在では、演劇や芸能に限らず広く物事に通じる考え方にもなっています。
序破急の類語
序破急の類語・類義語としては、三つの独立した部分から成立する一つの作品を意味する「三部作」、剣道や茶道などで修業における段階を示したものを意味する「守破離」などがあります。
起承転結の例文
この言葉がよく使われる場面としては、漢詩の絶句を組み立てる型、物事の順序や作法を表現したい時などが挙げられます。
起承転結という言葉は、もともと四行から成る漢詩の絶句の構成を指す言葉でしたが、上記の例文にあるように、文章の構成として一般的に用いられています。
序破急の例文
この言葉がよく使われる場面としては、日本の芸能に共通する理念の一つで、曲や劇の構成上の3段階をさす語を表現したい時などが挙げられます。
本来、序破急という言葉は日本の芸道用語ですが、上記の例文にあるように、ストーリーや舞台や物語の三部構成を表す時に用いられています。
起承転結と序破急という言葉は、どちらも「文章構成の方法」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、四つの構成を表現したい時は「起承転結」を、三つの構成を表現したい時は「序破急」を使うようにしましょう。