似た意味を持つ「ナイーブ」と「ナーバス」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ナイーブ」と「ナーバス」という言葉は、「傷付きやすい様子」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
ナイーブとナーバスの違い
ナイーブとナーバスの意味の違い
ナイーブとナーバスの違いを分かりやすく言うと、ナイーブは生まれ持った性格として表現する時に使い、ナーバスは一時的な緊張や過敏な状態として表現する時に使うという違いです。
ナイーブとナーバスの使い方の違い
一つ目のナイーブを使った分かりやすい例としては、「そこまでナイーブではないと思っていた」「ナイーブな人の慰め方が未だにわからない」「彼のナイーブさには頭を抱えるほどだった」などがあります。
二つ目のナーバスを使った分かりやすい例としては、「彼が自分をナーバスにさせるだなんて思ってもみなかった」「ナーバスな状態が続くと勝手に涙も出てくるのだなと冷静に分析していた」「一目で彼女がナーバスであることが分かる」などがあります。
ナイーブとナーバスの使い分け方
ナイーブとナーバスはどちらも、人の心が傷付きやすい様子を意味する言葉ですが、意味合いが若干異なります。
ナイーブは、語源が「生まれたまま」を意味することから、傷付きやすい性格や性質として捉えられる言葉です。また、語源の持つ意味が転じて、上記例文の「ナイーブさには頭を抱える」のように未熟である様子も表します。
一方のナーバスは、由来が「神経」を表す言葉であることから、神経質な様子を表しますが、これは一時的な状態を指す言葉として使われることがほとんどで、不安や怒りを感じている場合にも使われています。
つまり、ナイーブは生来のものとする場合に使われ、ナーバスは一時的なものとする場合に使われる言葉であるため、常に感情の浮き沈みが激しい性格である人に対してはナーバスではなく、ナイーブを使うのが適しています。
ナイーブとナーバスの英語表記の違い
ナイーブを英語にすると「naive」となり、例えば上記の「ナイーブではない」を英語にすると「be not naive」となります。
一方、ナーバスを英語にすると「nervous」となり、例えば上記の「彼が自分をナーバスにさせる」を英語にすると「He makes me nervous.」となります。
ナイーブの意味
ナイーブとは
ナイーブとは、純粋で傷付きやすい様子を意味しています。
その他にも、飾り気がなく単純な様子、未熟な様子を意味する言葉としても使われています。
表現方法は「ナイーブな人」「ナイーブな気持ち」「ナイーブな一面」
「ナイーブな人」「ナイーブな気持ち」「ナイーブな一面」などが、ナイーブを使った一般的な言い回しです。
ナイーブの使い方
「ナイーブな感性のせいか先に進むことを中断したこともある」「ひ弱でナイーブであることは悪いことではない」「昔ほどナイーブではなくなった」などの文中で使われているナイーブは、「傷付きやすい様子」の意味で使われています。
一方、「ナイーブすぎる弟は一度交際相手に振られて現実を知るべきだ」「自身のナイーブさを自覚しているつもりだ」「歌手としてはまだナイーブだが応援したいと思っている」などの文中で使われているナイーブは、「未熟な様子」の意味で使われています。
ナイーブの語源
ナイーブは英語で「naive」と表記され、「世間知らずの」「単純な」「うぶな」「騙されやすい」といった意味で使われ、「ナイーヴ」と表記されることもあります。
もとは、「生まれたまま」を意味するフランス語の「naif」を女性名詞とした「naive」が由来となっている言葉で、「童心的」「馬鹿正直」を意味します。このようにフランス語と英語ではネガティブな意味で使われることもあるため、使う相手に注意が必要です。
今日の日本では、フランス語のナイーブの意味が転じて「素直な様子」「傷付きやすい様子」を表すようになり、「ナイーブな問題」などセンシティブという言葉と同じように使われています。
ナイーブの対義語
ナイーブの対義語・反対語としては、賢くてずるいことを意味する「狡猾」、物事によく慣れて手際よく上手にできることを意味する「熟練」、知識や技術などが発達し豊かな内容を持つことを意味する「円熟」があります。
ナイーブの類語
ナイーブの類語・類義語としては、心にけがれのないことを意味する「純真」、邪心のない心を意味する「純情」、純粋に精神的である様子を意味する「プラトニック」、飾り気がなく清らかなことを意味する「清楚」、うぶな様子を意味する「無垢」などがあります。
ナーバスの意味
ナーバスとは
ナーバスとは、神経質な様子を意味しています。
表現方法は「ナーバスになる」「ナーバスになっている」「ナーバスな人」
「ナーバスになる」「ナーバスになっている」「ナーバスな人」などが、ナーバスを使った一般的な言い回しです。
ナーバスの使い方
ナーバスを使った分かりやすい例としては、「大会が近づいているため選手全員がナーバスになっている」「試験前だからと言ってナーバスなままでは勉強に身が入らないだろう」「ナーバスな彼は機嫌が悪いのが見て取れる」などがあります。
その他にも、「ナーバスになっているのか彼女は自分を卑下し始めた」「そうナーバスになる必要はないと応援してくれた」「クレームを受けてからナーバスになっている」「ナーバスな顔をしていたのかゆっくり休むよう言われた」などがあります。
ナーバスは英語で「nervous」と表記され、「神経質な」「興奮しやすい」「びくびくして」といった意味を持つ言葉で、日本語でも同じように使われています。
上記例文の「選手全員がナーバスになっている」は緊張している状態を表し、「ナーバスな彼は機嫌が悪い」は興奮している状態を表しますが、「卑下」などの言葉と共に使われるナーバスのように不安に感じている状態を表すこともあります。
ナーバスの語源
もとはラテン語で腱を意味する「neuron」が語源となった言葉で、徐々に神経を指す言葉として使われるようになりました。さらに、「neuron」のまとまりを表す言葉として「nervous」が使われるようになり、これをカタカナ語として今日では使われています。
ナーバスの対義語
ナーバスの対義語・反対語としては、他者の気持ちなどを気にしないことを意味する「無神経」、心がゆったりとして小さいことにこだわらない様子を意味する「おおらか」、大胆で恐れを知らないことを意味する「不敵」があります。
ナーバスの類語
ナーバスの類語・類義語としては、感情などが細やかなことを意味する「繊細」、感じやすい様子を意味する「センシティブ」、感受性が強く繊細な様子を意味する「デリケート」、感情や心配りなどの繊細さを意味する「デリカシー」などがあります。
ナイーブの例文
この言葉がよく使われる場面としては、純粋で傷付きやすい様子を意味する時などが挙げられます。
例文4や例文5のように、未熟な様子を表す言葉としても使われています。
ナーバスの例文
この言葉がよく使われる場面としては、神経質な様子を意味する時などが挙げられます。
また、緊張を感じている状態を表す以外にも、怒りなどによって興奮している状態や、不安に感じている状態を表す時にも使われています。
ナイーブとナーバスは、どちらも「傷付きやすい様子」を表します。どちらを使うか迷った場合は、生まれ持った性格として使う場合は「ナイーブ」を、一時的な緊張や過敏な状態として使う場合は「ナーバス」を使うと覚えておけば間違いありません。