似た意味を持つ「上代」(読み方:じょうだい)と「下代」(読み方:げだい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「上代」と「下代」という言葉は、どちらも「流通業界の仕入れ用語」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
上代と下代の違い
上代と下代の意味の違い
上代と下代の違いを分かりやすく言うと、上代とは小売店の販売価格、下代とは小売店の仕入れ価格という違いです。
上代と下代の使い方の違い
一つ目の上代を使った分かりやすい例としては、「税抜上代はいくらになりますか」「一部商品の上代変更をお知らせします」「上代に対して下代が低ければ利益は大きくなります」「上代文学に興味があります」などがあります。
二つ目の下代を使った分かりやすい例としては、「大豆の下代が劇的に高騰している」「下代の計算は掛け率で行います」「下代価格は仕入れ先が定めています」「下代は仕入れの量により変わることがあります」などがあります。
上代と下代の使い分け方
上代と下代という言葉は、どちらも流通業界で使用される専門用語であり、卸業者や小売業者の間で使われています。二つの言葉は「商品の価格」を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
上代とは、商品を消費者に販売する際に、メーカーや卸元が設定している小売価格のことです。小売店が商品を販売する際の価格であり、明確な金額が一律で決まっています。また、上代という言葉は、日本史や文学史での時代区分の意味もあり、「上代文学」とは奈良時代までの文学のことです。
下代とは、「下代価格」とも言い、小売店がメーカーや卸元から商品を購入する際の仕入れ価格のことです。下代は取引先との関係や仕入れの量によって変わることがあり、小売店にとっては下代を低く抑えると、それだけ利益を確保することができます。
つまり、上代とは小売店の販売価格であり、下代とは小売店の仕入れ価格のことです。下代に利益を足したものが上代になると覚えておきましょう。
上代と下代の英語表記の違い
上代を英語にすると「ancient times」「retail price」となり、例えば上記の「税抜上代」を英語にすると「retail price without tax」となります。
一方、下代を英語にすると「wholesale price」「cost price」となり、例えば上記の「大豆の下代」を英語にすると「the wholesale price of soybeans」となります。
上代の意味
上代とは
上代とは、流通業界で、商品の小売価格のことを意味しています。
その他にも、「大昔、古代」「日本史、特に文学史での時代区分の一つ、主として奈良時代を指す」の意味も持っています。
上代の読み方
上代の読み方は「じょうだい」です。誤って「かみだい」「うわしろ」などと読まないようにしましょう。
上代の使い方
「上代価格に消費税は含まれておりません」「こちらの上代は税抜き税込みどちらでしょうか」「上代は拘束力のない販売価格です」「上代単価はロット数により変わります」などの文中で使われている上代は、「商品の小売価格」の意味で使われています。
一方、「人は上代に道具の使い方を覚えました」の文中で使われている上代は「大昔、古代」の意味で、「上代文学の作品には何がありますか」「上代仮名を読み解く」などの文中で使われている上代は「日本史や文学史での時代区分の一つ」の意味で使われています。
上代とは、上記の例文にあるように複数の意味がありますが、おもにビジネスシーンにおいて「商品の小売価格」の意味で用いられています。物販ビジネスにおける上代とは、仕入れ先が指定した商品を販売する際の値段のことです。
上代は定価とも呼ばれる
上代という言葉は、流通業界で仕入れを行う際の専門用語であり、「定価」とも呼ばれます。わかりやすくいうと、一般消費者がお店やインターネットショップで購入する際に目にする価格を意味します。
「上代仮名」の意味
上代を用いた日本語には「上代仮名」があります。上代仮名とは、平安時代に用いられた漢字の草体に近い仮名のことです。「上代特殊仮名遣」(読み方:じょうだいとくしゅかなづかい)とも言います。
上代の対義語
上代の対義語・反対語としては、仕入れ先が定めた仕入れ価格を意味する「下代」、卸売商が小売商に商品を売り渡す場合の値段を意味する「卸値」などがあります。
上代の類語
上代の類語・類義語としては、非常に遠い昔や大昔を意味する「太古」、文献の存する限りで最も古い時代を意味する「上古」、ある商品について製造業者などが希望する小売価格を意味する「希望小売価格」、ある品物について前もって決めてある売り値を意味する「定価」などがあります。
下代の意味
下代とは
下代とは、流通業界で、商品の仕入れ価格のことを意味しています。
下代の読み方
下代の読み方は「げだい」です。誤って「しもだい」「しもしろ」などと読まないようにしましょう。
下代の使い方
下代を使った分かりやすい例としては、「下代の出し方がわかりません」「掛け率を用いて下代を計算します」「1000円の商品で6掛けならば下代は600円です」「デザインを依頼する場合は版下代が必要です」などがあります。
その他にも、「上代と下代の差が店の利益となります」「下代と上代の計算方法を教えてください」「下代は低ければ低いほど利益は高くなります」「下代を確認する際のポイントはありますか」などがあります。
下代とは、前述した「上代」と同じ流通用語であり、仕入れ先が定めた仕入れ価格を意味します。「卸値」や「仕入価格」と同義であり、小売店と仕入れ先との間の取引価格のことです。下代は、商品を仕入れる小売店側の立場では「仕入れ原価」と呼ぶこともできます。
下代の計算方法
下代の計算方法には、上代と掛け率を用います。掛け率とは、商品の販売価格に対する原価の割合のことで、一般的にはパーセンテージで表示されます。下代の出し方は、「上代×掛け率」で求めることができます。例えば、100円の商品を仕入れる際に掛け率が30%だった場合、下代は30円になります。
下代の対義語
下代の対義語・反対語としては、製造メーカーや卸元が設定している小売価格を意味する「上代」、ある製品に対してメーカーが表示した小売価格を意味する「標準価格」などがあります。
下代の類語
下代の類語・類義語としては、卸売りの値段や卸値段を意味する「卸値」、利益を含めていない仕入れ値段を意味する「原価」、商品を仕入れたときの値段や生産原価を意味する「元値」などがあります。
上代の例文
この言葉がよく使われる場面としては、はるか昔、日本史や文学史での時代区分の一つ、商品の小売価格を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある上代は、日本史や文学史での時代区分を表しています。「上代文学」とは、古代文学の前半期である奈良時代までの文学のことです。例文2から例文5までの上代は、商品の小売価格の意味で用いられています。
下代の例文
この言葉がよく使われる場面としては、流通業界で卸売りの値段を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある原価と下代の違いは、原価は利益を含めていない仕入れ値段だけでなく製品やサービスを提供するまでにかかる費用も表しますが、下代は物品の仕入れ値段のみを意味する点にあります。
上代と下代という言葉は、どちらも「流通業界の仕入れ用語」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、小売店が商品を販売する際の小売価格を表現したい時は「上代」を、小売店が卸業者から商品を購入する際の仕入れ価格を表現したい時は「下代」を使うようにしましょう。