似た意味を持つ「抗う」(読み方:あらがう)と「逆らう」(読み方:さからう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「抗う」と「逆らう」という言葉は、どちらも人の意見や指示に従わないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「抗う」と「逆らう」の違い
「抗う」と「逆らう」の意味の違い
「抗う」と「逆らう」の違いを分かりやすく言うと、「抗う」とは敵対関係にある相手に抵抗すること、「逆らう」とは目上の人や元は味方だった人に抵抗することという違いです。
「抗う」と「逆らう」の使い方の違い
一つ目の「抗う」を使った分かりやすい例としては、「運命に抗うことはできません」「年齢に抗うなら日々の運動はとても大事だと思います」「理不尽なルールには抗うことにした」「私はそれに抗うことはできません」などがあります。
二つ目の「逆らう」を使った分かりやすい例としては、「両親の希望に逆らうことにしました」「あの人に逆らうと後悔すると思うよ」「規則に逆らうのは良くないことです」「彼女は親に逆らって大学を中退しました」などがあります。
「抗う」と「逆らう」の使い分け方
「抗う」と「逆らう」はどちらも人の意見や指示に従わないことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「抗う」は敵対関係にある相手や強い力を持つ相手に対して従わず抵抗する場合に使うのに対して、目上の人や元は味方だった人に抵抗する場合に使うというのが違いになります。
分かりやすい例を挙げるならば、政府や権力者などの強い力を持つ者に対して抵抗したい時は「抗う」を使い、上司や両親などのある程度親しい関係の人に対して抵抗したい時は「逆らう」を使うと覚えておきましょう。
「抗う」と「逆らう」の英語表記の違い
「抗う」を英語にすると「dispute」「resist」「fight against」となり、例えば上記の「私はそれに抗うことはできません」を英語にすると「I cannot dispute that」となります。
一方、「逆らう」を英語にすると「against」「defy」「rebe」となり、例えば上記の「彼女は親に逆らって大学を中退しました」を英語にすると「She dropped out of college against her parents’ wishes」となります。
「抗う」の意味
「抗う」とは
「抗う」とは、従わないで抵抗することを意味しています。
「抗う」の読み方
「抗う」の読み方は「あらがう」です。誤って「こうう」などと読まないようにしましょう。また、「抗う」は別の漢字表記で「争う」「諍う」とすることもできますが、「抗う」を使うのが一般的です。
表現方法は「自分に抗う」「運命に抗う」「老いに抗う」
「自分に抗う」「運命に抗う」「老いに抗う」などが、「抗う」を使った一般的な言い回しになります。
「抗う」の使い方
「抗う」を使った分かりやすい例としては、「私たちはこれに関して抗うことはできません」「抗うことができない現実に直面してしまいました」「消費税増税に抗うことにしました」「抗う術がないのでただ傍観するしかありません」などがあります。
「抗う」は従わないで抵抗することを意味する動詞です。主に自分に対して強制的に行われる出来事に対して、納得できずに抵抗するというニュアンスで使います。
「抗う」は「運命に抗うことはできない」「慣習に抗うことは難しい」「年齢に抗うことはできません」などのように、人だけではなく、運命、慣習、年齢など様々な場面で使うことができるというのが特徴です。
「抗う」の対義語
「抗う」の対義語・反対語としては、他からの働きに順応することを意味する「従う」があります。
「抗う」の類語
「抗う」の類語・類義語としては、外部から加わる力に対して歯向かうことを意味する「抵抗する」、従わずに文句を言ったりして反抗することを意味する「盾突く」、対抗することを意味する「立ち向かう」などがあります。
「逆らう」の意味
「逆らう」とは
「逆らう」とは、目上の人の意見などに従わないで反抗することを意味しています。その他にも、物事の自然の勢いに従わないでその逆の方向に進もうとすることの意味も持っています。
「逆らう」の読み方
「逆らう」の読み方は「さからう」です。誤って「ぎゃくらう」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「人に逆らう」「流れに逆らう」「上司に逆らう」
「人に逆らう」「流れに逆らう」「上司に逆らう」「親に逆らう」などが、「逆らう」を使った一般的な言い回しになります。
「逆らう」の使い方
「親に逆らって家業を継がないことにしました」「命令に逆らうのは許しませんよ」などの文中で使われている「逆らう」は、「目上の人の意見などに従わないで反抗すること」の意味で使われています。
一方、「風に逆らって道を進む」「運命に逆らうことはできないのだろうか」などの文中で使われている「逆らう」は、「物事の自然の勢いに従わないでその逆の方向に進もうとすること」の意味で使われています。
「逆らう」は二つの意味を持つ言葉ですが、どちらの意味でも使われている言葉です。
一つ目の目上の人の意見などに従わないで反抗することの意味は、上司や両親などのある程度親しかったり、知り合いなどの近しい関係の人に対して従わないで反抗するのが特徴です。そのため、全く関係のない強大な力を者に持つに対しては「逆らう」を使うことはできません。
もし、使いたいのであれば似た意味を持つ「抗う」の方を使うようにしましょう。
二つの目の物事の自然の勢いに従わないでその逆の方向に進もうとすること意味は、ある方向に対して逆の方向に進むことで、従わない程度は大きいというのが特徴です。こちらの意味で使う場合は人ではなく物事に対して使うのが一般的になります。
「逆らう」の対義語
「逆らう」の対義語・反対語としては、他からの働きに順応することを意味する「従う」があります。
「逆らう」の類語
「逆らう」の類語・類義語としては、長上や権威や権力などに従わないこと意味する「反抗する」、反抗することを意味する「歯向かう」、相手にさからって立ち向かうことを意味する「手向かう」などがあります。
「抗う」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、従わないで抵抗することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「抗う」は様々な場面において使うことが出来る言葉です。
「逆らう」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、目上の人の意見などに従わないで反抗することを表現したい時などが挙げられます。その他にも、物事の自然の勢いに従わないでその逆の方向に進もうとすることを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「逆らう」は目上の人の意見などに従わないで反抗すること、例文4と例文5の「逆らう」は物事の自然の勢いに従わないでその逆の方向に進もうとすることの意味で使っています。
「抗う」と「逆らう」はどちらも人の意見や指示に従わないことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、敵対関係にある相手に抵抗することを表現しちあ時は「抗う」を、目上の人や元は味方だった人に抵抗することを表現したい時は「逆らう」を使うと覚えておきましょう。