【給付】と【支給】と【交付】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「給付」(読み方:きゅうふ)と「支給」(読み方:しきゅう)と「交付」(読み方:こうふ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「給付」と「支給」と「交付」という言葉は、金品を渡すという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




給付と支給と交付の違い

給付と支給と交付の意味の違い

給付と支給と交付の違いを分かりやすく言うと、給付は手続きを踏んで渡す時に使い、支給は手続きなしに渡す時に使い、交付は手続きをして金品や書類を渡す時に使うという違いです。

給付と支給と交付の使い方の違い

給付という言葉は、「給付金の受け取りを心待ちにしている」「家賃支援の給付を受ける」などの使い方で、金品や便宜を与えることを意味します。

支給という言葉は、「初出勤の日に制服が支給された」「給与の支給額の確認を怠ってしまう」などの使い方で、金品を払い渡すことを意味します。

交付という言葉は、「証明書の交付を受ける」「交付金が無ければ様々な企業が倒産しているだろう」などの使い方で、金品を渡すだけではなく申請書など書類を発行することを意味します。 

給付と支給と交付の使い分け方

給付と支給は金品を渡すことに使われますが、前者は手続きを行なった人に対し、規定に則って金品を渡すことを意味し、後者は手続きが無くとも金品が支払われることを意味します。

また、給付は金品だけではなく介護サービスなど現物も含みますが、金品以外を支給することを表す時には「現物支給」という表現にする必要があります。

一方、交付は、給付や支給と違い、書類の発行も含みます。

英語にも違いがあり、給付には「delivery」を、支給には「provision」を、交付には「transfer」をそれぞれ使用します。

これが、給付、支給、交付の明確な違いです。

給付の意味

給付とは

給付とは、金品を支給や交付することを意味しています。

表現方法は「持続化給付金」「家賃支援給付金」「給付を受ける」

「持続化給付金」「家賃支援給付金」「給付を受ける」などが、給付を使った一般的な言い回しです。

上記以外の給付を使った言葉として、「給付型奨学金」「現物給付」があります。

「給付型奨学金」の意味

一つ目の「給付型奨学金」とは、卒業後に返還する必要のない奨学金を指す言葉です。大学や専門学校などの授業料や入学金が免除、もしくは減額されますが、こちらは免除型や減免型など別の表現をすることもあります。

給付型奨学金とは違って、卒業後返還する必要がある貸与型奨学金もあり、さらに利息が付くものと付かないものに分けられています。

「現物給付」の意味

二つ目の「現物給付」とは、通勤途中の負傷および疾病によって療養する場合に支給される療養給付や、社会福祉の対人サービスなどといった、金銭以外の方法で給付されるものを指す言葉です。

具体的には、保険証を病院に提示した際の診療、検査、そして入院などの医療行為や、要支援と認定された人に対する介護サービスなどが該当します。

給付の対義語

給付の対義語・反対語としては、給与や配給などを受け取ることを意味する「受給」、物や金銭を受け取ることを意味する「受領」があります。

給付の類語

給付の類語・類義語としては、必要に応じて物を与えることを意味する「供給」、金品や技能などを相手に役立ててもらうために差し出すことを意味する「提供」、前もって必要なものを揃えて整えておくことを意味する「用意」などがあります。

支給の意味

支給とは

支給とは、金銭や物品を給与として払い渡すことを意味しています。

表現方法は「支給する」「支給される」「支給を受ける」

「支給する」「支給される」「支給を受ける」などが、支給を使った一般的な言い回しです。

支給を使った言葉として、「現物支給」「総支給額」があります。

「現物支給」の意味

一つ目の「現物支給」とは、賃金などを金銭ではなく物品で支給することを意味する言葉です。具体的には食事や、住宅や制服の貸与、その企業の製品、定期券といった交通費などの利益を労働者に支給します。

こういった現物支給がなされていたとしても、給与は必ず通貨で支払わなければならないことが原則であり、現物支給のみを労働力の対価にあてることはできません。

「総支給額」の意味

二つ目の「総支給額」とは、雇用者が労働者に対して支払う金額の合計を指す言葉で、基本給に加えて、残業手当や交通費を含みます。

また、総支給額は保険料や税金が差し引かれていない状態ですが、実際に保険料などが差し引かれて労働者が受け取る額を「手取り額」と呼びます。

支給の対義語

支給の対義語・反対語としては、品物や金銭を納めることを意味する「納入」があります。

支給の類語

支給の類語・類義語としては、相手が欲する物品や利益などを与えることを意味する「供与」、授け与えることを意味する「付与」、一定の商品を一定の地域に配布や販売をすることを意味する「配給」などがあります。

交付の意味

交付とは

交付とは、一定の手続きを踏んだ人に金銭を与えたり書類を発行したりすることを意味しています。

表現方法は「交付を受ける」「交付される」「交付する」

「交付を受ける」「交付される」「交付する」などが、交付を使った一般的な言い回しです。

交付を使った言葉として、「交付金」「交付税」があります。

「交付金」の意味

一つ目の「交付金」とは、国や公共団体が法令に基づいて他の団体に交付する財政援助のための資金を指す言葉です。民間企業の特定の投資や支出に対して支給される「補助金」とは違い、地方自治体の事業全体に対して支給されるのが「交付金」です。

具体的には、被災した地方公共団体が復興プランを推し進めるにあたって財政的に支援することを目的とした復興交付金であったり、感染症対応のための取り組みのために地方公共団体が自由に使うことの出来る地方創生臨時交付金などが挙げられます。

「交付税」の意味

二つ目の「交付税」とは、国から地方公共団体に対して交付される資金を指す言葉で、本来は地方交付税と言います。財源として足りない分として交付される普通交付税と、自然災害の被害に対応するために交付される特別交付税とに分けられます。

国が集めた所得税、法人税、酒税、たばこ税、消費税の五つから一定の割合が交付されるように定められていて、地方自治体の税収入が三割しかない状態を表す「三割自治」という皮肉な表現も生まれました。

交付の対義語

交付の対義語・反対語としては、希望や要望事項を願い出ることを意味する「申請」、金品などを受け取って納め入れることを意味する「受納」があります。

交付の類語

交付の類語・類義語としては、政府などの要請に応じて金品などを差し出すことを意味する「供出」、紙幣や証明書などを作って通用させることを意味する「発行」、金品を恵み与えることを意味する「施与」(読み方:せよ)などがあります。

給付の例文

1.給付金の受け取り対象に該当しない人たちが不正受給をしていたというニュースが話題になっている。
2.掲載されている給付規程を今一度確認してから申請書類の提出をしようと思う。
3.審査が為されて給付されることが決まったため、祖母が介護サービスを受けることとなった。
4.奨学金については、貸与型奨学金では学生が社会人になった時の生活が厳しくなるだけで人生設計にも影響が出るので、政府は給付型奨学金の拡充するべきだと思う。
5.コロナ禍で家賃支援の給付を急がなければいけないのは、住んでいる人だけでなく大家さんまでドミノ倒しのように危機が連鎖していくからだ。
6.給付事業は各市町村の自治体で行われるが、具体的な手続き方法や給付時期がそれぞれ異なることがあるので、地元の役所に事前に問い合わせてほしい。
7.コロナの持続化給付金の不正受給については、それに関わった人たちは自首をするなり、検挙されるなりして、一応騒動は収まりつつある状況だ。

この言葉がよく使われる場面としては、手続きを行った人に対して金品を渡すことを意味する時などが挙げられます。

例文3のように、金品だけではなく、申請が必要なサービスなどの現物に対しても使うことが出来ます。

支給の例文

1.災害時に消耗品を支給してもらえることもあるが、出来るだけ防災用品をまとめた袋に入れてある。
2.自宅にてリモートワークを行うことを推奨する会社は全社員に対してノートパソコンや周辺機器などを支給した。
3.児童手当の支給のおかげで子育ての大きな負担が軽減されているため、調べておいてよかったと思っている。
4.特別定額給付金の支給は徴税制度と打って変わって事務手続きが煩雑で時間がかかってしまったが、政府というのはいかに取ることだけを考えていたかわかるであろう。
5.社員になると会社の制服が支給されるのだが、いざ着てみるとサイズが合わないことがわかりすぐに取り替えてもらいたかったが、太っているような印象を抱かれやしないだろうか。
6.会社の経営状態は芳しくないのは本当のようで、この時代にボーナスが一部現物支給になるとは思いもしなかったが、そろそろ転職を考えたほうがいいのだろうか。
7.会社でのはじめての給与の支給額は手取り16万円という一般的なもので、決して多い額ではなかったが、わたしは初月給に気持ちが高ぶってしまったのだった。

この言葉がよく使われる場面としては、手続きなどなしに金品を渡すことを意味する時などが挙げられます。

例文2のパソコンや、制服、住宅の貸与も支給にあたりますが、長く使うものは消耗していくことから支給という言葉が使われています。

交付の例文

1.無事に試験に合格したため、免許証の交付を待つだけとなっている。
2.交付金の受け取り対象が先日発表されたため、該当していることを確認し、申請書の手配などに取り掛かった。
3.今では、コンビニやウェブ上で必要書類の交付を受けることができる。
4.住民票の写しなど証明書の交付は市役所に行かなければできないものだと思っていたが、マイナンバーがあればコンビニエンスストアでも申請できるそうなので、今度試してみようと思う。
5.地方交付税交付金の将来については、現在ふるさと納税のように直接地方自治体に納税を促す制度があるが、今後は地方が独自に徴税していくシステムになるのではないか。
6.運転免許証を紛失してしまったため、再交付をするために免許センターまで赴いたが、平日にも拘わらず混み合っていたため手続きに時間がかかってしまった。
7.デジタル簡易無線は、勝手に運用することはできず、あらかじめ個別で登録申請を行い無線局登録証が交付されて初めて使用できるものだそうだ。

この言葉がよく使われる場面としては、手続きを行った人に対して金品を渡したり、書類を発行することを意味する時などが挙げられます。

例文1の「免許証」や例文3の「必要書類」のような金品でないものにも使うことができるため、給付や支給という言葉に置き換えて使うことはできません。

給付と支給と交付どれを使うか迷った場合は、手続きを踏んで渡すことを表す場合は「給付」を、手続きなしに渡すことを表す場合は「支給」を、手続きをして金品や書類を渡すを表す場合は「交付」を使うと覚えておけば間違いありません。

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