似た意味を持つ「名誉挽回」(読み方:めいよばんかい)と「名誉回復」(読み方:めいよかいふく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「名誉挽回」と「名誉回復」という言葉は、どちらも「名誉を取り戻すこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
名誉挽回と名誉回復の違い
名誉挽回と名誉回復の意味の違い
名誉挽回と名誉回復の違いを分かりやすく言うと、名誉挽回とは自分自身の名誉を取り戻すことのみを表し、名誉回復とは自分自身だけでなく他人の名誉を取り戻すことも表すという違いです。
名誉挽回と名誉回復の使い方の違い
一つ目の名誉挽回を使った分かりやすい例としては、「試合に勝って名誉挽回します」「名誉挽回の大勝負に気合いを入れて臨む」「次は一位に返り咲いて名誉挽回します」「このプロジェクトを成功させて名誉挽回してやる」などがあります。
二つ目の名誉回復を使った分かりやすい例としては、「失意のうちに亡くなった弟の名誉回復のために闘います」「冤罪で逮捕された男性の名誉回復を願う」「名誉回復に必要な措置を請求するために訴える」などがあります。
名誉挽回と名誉回復の使い分け方
名誉挽回と名誉回復という言葉は、どちらも失敗や失態あるいは誤解などから、失われた信用や評判を何らかのアクションによって取り戻すことを表します。二つの言葉は、ほぼ同じ意味を持つ同義語ですが、使い方には違いがあります。
名誉挽回とは、一度失われた名誉を、自らの言動によって取り戻すことを意味します。例えば、仕事で失敗をして同僚からの信頼を失った場合、次の仕事をやり遂げて再び同僚たちからの信頼を得ることを、名誉挽回と表現します。
名誉回復とは、失ってしまった名誉を以前の状態に取り戻すを意味します。前述の名誉挽回は、当事者本人の名誉を取り戻すことのみを表現しますが、名誉回復という言葉は、「弟の名誉回復のために闘う」「男性の名誉回復を願う」のように、他者の名誉を取り戻すことも表します。
つまり、名誉挽回と名誉回復は、使用される対象に違いがあります。名誉挽回は自分自身の名誉のみに使用される傾向があり、名誉回復は自分自身だけでなく他者の名誉にも用られることがあります。二つの言葉を比べると、名誉挽回よりも名誉回復の方が、幅広く使用できる言葉だと言えるでしょう。
名誉挽回と名誉回復の英語表記の違い
名誉挽回も名誉回復も英語にすると「regaining one’s honor」「restoring one’s impaired reputation」「redeeming oneself」となり、例えば上記の「名誉挽回する」を英語にすると「regain one’s honor」となります。
名誉挽回の意味
名誉挽回とは
名誉挽回とは、一度失った信用や評判を、その後の言動によって取り戻すことを意味しています。
名誉挽回の使い方
名誉挽回を使った分かりやすい例としては、「先日の雪辱を果たし、名誉挽回となりました」「以前の失態をここで名誉挽回するつもりです」「成功させて名誉挽回を図りたい」「得意の料理で名誉挽回なるか」などがあります。
その他にも、「これから名誉挽回のゲームに臨みます」「不調に陥った選手に名誉挽回のチャンスを与える」「名誉挽回するには頑張るしかない」「英語スピーチコンテストで名誉挽回できました」などがあります。
名誉挽回の「名誉」は社会的に認められている個人または集団の人格的価値を表し、「挽回」は失ったものを取り戻して元の状態にすることを表します。名誉挽回とは、失敗などで汚名を着せられた人物が、自らの言動によって名誉を取り戻すことをを意味する四字熟語です。
名誉挽回という言葉は、下がった評判や信頼を元に回帰させようとすることを表します。似た意味を持つ四字熟語には「汚名返上」があり、新たな成果を上げて悪い評判を退けることを意味します。また、名誉挽回と汚名返上を混合して、「汚名挽回」という表現されることがありますが間違いです。
名誉挽回の対義語
名誉挽回の対義語・反対語としては、それまでの地位や名声を失うさまを意味する「名誉失墜」などがあります。
名誉挽回の類語
名誉挽回の類語・類義語としては、一度敗れたり失敗した者が再び巻き返すことを意味する「捲土重来」、危機的な状況を一気によい方向に立て直すことを意味する「起死回生」、一度敗れたことのある相手を打ち負かすことを意味する「リベンジ」などがあります。
名誉回復の意味
名誉回復とは
名誉回復とは、一度失った名誉をとり戻すことを意味しています。
名誉回復の使い方
名誉回復を使った分かりやすい例としては、「遺族が故人の名誉回復のために裁判を起こした」「ロシア政府はソ連時代に弾圧した人々の名誉回復を進める」「あらぬ噂を流された英語の先生の名誉回復を願うばかりだ」などがあります。
その他にも、「名誉回復措置として謝罪広告の掲載を求めます」「一刻も早い名誉回復を願います」「ハンセン病患者の名誉回復に必要な措置を講ずる」「謝罪と名誉回復措置を求めて申し立てる」などがあります。
名誉回復とは、過ちや誤解などの理由から失った名誉を取り戻すことを意味します。「回復」は、悪い状態になったものが元の状態に戻ること、一度失ったものを取り返すことを表す熟語です。名誉回復という言葉には、少しずつ以前の良い状態に戻るというニュアンスがあります。
「名誉回復措置請求」の意味
名誉回復を用いた日本語には「名誉回復措置請求」があります。名誉回復措置請求とは、民法723条に基づく権利であり、著作権や人格権などの侵害に対して、金銭ではなく名誉を回復する措置を求めることです。具体的な名誉回復措置としては、謝罪広告を掲載させるのが一般的になっています。
名誉回復の対義語
名誉回復の対義語・反対語としては、評判の良かった人が人生の終盤で評判を落とすことを意味する「晩節を汚す」などがあります。
名誉回復の類語
名誉回復の類語・類義語としては、名声や世間体などがよくなるさまを意味する「面目躍如」、新たな成果を挙げて悪い評判をしりぞけることを意味する「汚名返上」、世間の評判が一新して高い評価を得ることを意味する「面目一新」などがあります。
名誉挽回の例文
この言葉がよく使われる場面としては、失った信用や評価を取り戻すことを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある名誉挽回と汚名返上の違いは、名誉挽回は失われた良い評価を取り戻すことを表し、汚名返上は与えられた悪い評価を取り除くことを表す点にあります。また、汚名挽回という言葉は、名誉挽回と汚名返上が混ざり合った誤用であるとする説と、正しい表現であるという説があります。
名誉回復の例文
この言葉がよく使われる場面としては、失った名誉をとり戻すことを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」とは、平成21年に定められたもので、「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律」の施行日である6月22日を指します。
名誉挽回と名誉回復という言葉は、どちらも「名誉をとり戻すこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、自分自身の名誉を取り戻すことを表現したい時は「名誉挽回」を、自分自身や他人の名誉を取り戻すことを表現したい時は「名誉回復」を使うようにしましょう。