似た意味を持つ「彷徨」(読み方:ほうこう)と「徘徊」(読み方:はいかい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「彷徨」と「徘徊」という言葉は、どちらも「あてもなく歩き回ること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
彷徨と徘徊の違い
彷徨と徘徊の意味の違い
彷徨と徘徊の違いを分かりやすく言うと、彷徨とは生活圏から離れた広いエリアを歩き回ることを表し、徘徊とは生活圏内の狭いエリアを歩き回ることを表すという違いです。
彷徨と徘徊の使い方の違い
一つ目の彷徨を使った分かりやすい例としては、「パリ郊外の小さな村を彷徨する」「気が付くと足の向くまま彷徨していた」「一望千里の広野を彷徨する」「知らない土地を彷徨することが好きです」などがあります。
二つ目の徘徊を使った分かりやすい例としては、「深夜の新宿を徘徊する若者が増えている」「認知症のおばあちゃんのために徘徊防止グッズを揃えました」「徘徊する祖父の靴にGPSを埋め込む」などがあります。
彷徨と徘徊の使い分け方
彷徨と徘徊という言葉は、どちらも目的や行き先のあてもなく、あちこちを歩き回ることを意味しますが、使い方には違いがあります。
彷徨とは、「彷徨する」という言い回しで、目的を持たずにさまよい歩くことを意味します。ある程度の広さがるエリアをあちこち歩き回ったり、旅先など家から離れた場所をぶらぶら歩く場面で使用されることが多い言葉です。
徘徊とは、「徘徊する」「徘徊老人」「深夜徘徊」などの使い方で、あてもなくうろうろと歩き回ることを意味します。どちらかというと、生活圏内で目的を持たずにうろついたり、比較的狭い範囲を行ったり来たりすることを表現します。また、認知症の症状として使用されている言葉です。
つまり、彷徨と徘徊は同義語ですが、使い方に違いがあります。彷徨は生活圏外の広いエリアを歩き回ることに使用され、徘徊は生活圏内の狭いエリアを歩き回ることに使用される傾向があります。
彷徨と徘徊の英語表記の違い
彷徨を英語にすると「wandering」「roaming」となり、例えば上記の「村を彷徨する」を英語にすると「wander around the village」となります。
彷徨の意味
彷徨とは
彷徨とは、あてもなく歩き回ること、さまようことを意味しています。
彷徨の読み方
彷徨の読み方は「ほうこう」です。ただし、「彷徨う」「彷徨って」「彷徨い」「彷徨く」などと送り仮名が付くと、それぞれ「さまよう」「さまよって」「さまよい」「うろつく」と読むことに注意しましょう。
彷徨の使い方
彷徨を使った分かりやすい例としては、「気分転換に海辺を彷徨する」「観光名所を彷徨しているうちに道に迷ってしまった」「考えもせずに彷徨することが好きです」「見知らぬ街を彷徨すると気分がスッキリします」などがあります。
その他にも、「初夏の野山を彷徨することにした」「気分の赴くままに彷徨するのもよいでしょう」「夜道を彷徨するのは危険だから止めてください」「川べりを彷徨していたら足をくじいてしまった」などがあります。
彷徨の「彷」と「徨」は、どちらも訓読みで「さまよう」と読み、あてもなく歩きまわることや、迷って歩きまわることを表す漢字です。同じ意味の漢字が組み合わさることで意味が強調され、彷徨とは、目的や考えなしにただ歩き回ったり、ぶらぶらとうろつくことを意味する言葉です。
「彷徨変異」の意味
彷徨を用いた日本語には「彷徨変異」があります。彷徨変異とは、同一種の生物の中で、遺伝子や染色体に関係なく環境の影響によって生じた個体の形質の変異を意味します。「環境変異」「個体変異」とも言います。
彷徨の対義語
彷徨の対義語・反対語としては、ある場所に座って動かないでいることを意味する「居座る」、一定の場所に住居を構え住みつくことを意味する「定住」などがあります。
彷徨の類語
彷徨の類語・類義語としては、所を定めずさまよい歩くことを意味する「漂白」、どこというあてもなく定まった目的もなく歩きまわるを意味する「さすらう」、あてもなくさまよい歩くことを意味する「放浪」などがあります。
徘徊の意味
徘徊とは
徘徊とは、あてもなく、うろうろと歩きまわることを意味しています。
徘徊の読み方
徘徊の読み方は「はいかい」です。ただし、「徘徊る」と送り仮名が付くと、「たもとおる」と読み方が変化することに注意しましょう。
表現方法は「夜間徘徊」「徘徊を止める」「徘徊を防ぐ」
「夜間徘徊」「徘徊を止める」「徘徊を防ぐ」などが、徘徊を使った一般的な言い回しです。
徘徊の使い方
徘徊を使った分かりやすい例としては、「深夜徘徊しているところを英語の先生に見つかってしまった」「電車内を徘徊している不審者がいます」「真夜中の徘徊者は警察に通報した方がよいのだろうか」「老いた犬が夜中に徘徊するようになりました」などがあります。
その他にも、「徘徊は認知症の行動パターンのひとつです」「徘徊防止の鍵を外から締めています」「徘徊老人は子供の迷子より多くなっています」「認知症徘徊のために開発されたGPSサービスを申し込む」などがあります。
徘徊の「徘」と「徊」は、どちらも「さまよう」と訓読みし、行きつもどりつすることや、あてもなく歩きまわることを表す漢字です。同じ意味の漢字が結び付いて意味が強調され、徘徊とは、目的もなくうろうろと歩きまわることを意味します。
徘徊は、認知症の問題行動の一つとされています。家族に黙って家を出ていき、あてもなくうろうろと歩き回る行動を指します。認知症の徘徊対策グッズには様々なものがあり、見守りカメラやGPS端末、外から施錠するための鍵などが売られています。
徘徊の対義語
徘徊の対義語・反対語としては、行かないで残ることを意味する「留まる」(読み方:とどまる)、他の人の帰ったあとまで残ることを意味する「居残る」などがあります。
徘徊の類語
徘徊の類語・類義語としては、あてもなく歩きまわるを意味する「ぶらつく」、その辺りを行ったり来たりするを意味する「うろつく」、家を出てあちこちと歩くを意味する「出歩く」、あちこち歩き回ることを意味する「ほっつき回る」などがあります。
彷徨の例文
この言葉がよく使われる場面としては、目的もなくあちこち歩き回ることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3の「彷徨」は、音読みで「ほうこう」と読みます。例文4の「彷徨って」は訓読みで「さまよって」、例文5の「彷徨く」は訓読みで「うろつく」と読みます。
徘徊の例文
この言葉がよく使われる場面としては、あちこちと歩きまわること、うろつくことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「深夜徘徊」とは、特別な事情や理由がなく、深夜に外出してうろうろすることを意味します。特に、若者が真夜中の繁華街で歩き回ったり、たむろすることを指す言葉です。
彷徨と徘徊という言葉は、どちらも「あてもなく歩き回ること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、比較的広いエリアを歩き回ることを表現したい時は「彷徨」を、比較的狭いエリアを歩き回ることを表現したい時は「徘徊」を使うようにしましょう。