似た意味を持つ「オートクチュール」と「プレタポルテ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「オートクチュール」と「プレタポルテ」という言葉は、「高級衣料品」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
オートクチュールとプレタポルテの違い
オートクチュールとプレタポルテの意味の違い
オートクチュールとプレタポルテの違いを分かりやすく言うと、オートクチュールは仕立服を表現する時に使い、プレタポルテは既製服を表現する時に使うという違いです。
オートクチュールとプレタポルテの使い方の違い
一つ目のオートクチュールを使った分かりやすい例としては、「オートクチュール刺繍は独学でどこまでやれるのかと調べてみる」「オートクチュールデザイナーになれるほどの独創性を培っていきたい」などがあります。
二つ目のプレタポルテを使った分かりやすい例としては、「量産のプレタポルテは元々オートクチュールのデザインでもある」「プレタポルテコレクションに興味がある」「新生のプレタポルテラインはいつから商品購入ができるのだろうか」などがあります。
オートクチュールとプレタポルテの使い分け方
オートクチュールとプレタポルテはどちらも、高級衣料品を表す言葉ですが、製作過程が異なります。
オートクチュールは、受注生産であったり注文を受けてから縫製される仕立服を指す言葉です。その他にも、一から衣料品の仕立てを行う店舗を指す言葉でもあります。
一方のプレタポルテは、品質の優れた高級既製服を指す言葉で、高級衣装店であるオートクチュールが型紙やトルソーに合わせて作った既製服だけでなく、オートクチュールのデザインを大量生産できるように改作した既製服も表します。
つまり、オートクチュールは顧客からの注文を受けて縫製された仕立服を指し、プレタポルテは型紙に沿って生産された既製服を指すという明確な違いがあり、対義語の関係にあると言えます。
オートクチュールとプレタポルテの英語表記の違い
オートクチュールを英語にすると「haute couture」となり、例えば上記の「オートクチュール刺繍」を英語にすると「the haute couture embroidery」となります。
一方、プレタポルテを英語にすると「pret-a-porter」となり、例えば上記の「量産のプレタポルテ」を英語にすると「the mass production of pret-a-porter」となります。
オートクチュールの意味
オートクチュールとは
オートクチュールとは、受注生産や注文を受けて縫製される仕立服を意味しています。
その他にも、最高級仕立服を生地選びから縫製まで行うためのアトリエを持つ店舗を表す言葉として使われています。
オートクチュールの使い方
「オートクチュール刺繍のドレスは彼女にしか似合う人がいないとさえ思えた」「オートクチュールデザインに見入ってしまう」「オートクチュールを頼めるほどの金持ちではない」などの文中で使われているオートクチュールは、「仕立服」の意味で使われています。
一方、「オートクチュール加盟店であるメゾンは一度でいいので目にしたい」「オートクチュール協会による展示会が行われるそうだ」などの文中で使われているオートクチュールは、「仕立服を製作する店舗」の意味で使われています。
オートクチュールは英語で「haute couture」と表記され、「高級服飾製作」を意味する言葉ですが、本来はフランス語であり、パリコレクション主催団体である「サンディカ」の加盟店を表す言葉として使われていました。
20世紀初頭までは基準も定まっておらず、後に、顧客の好みや希望に沿ったデザインを行い縫製するやり方が確立し区別されるようになりました。熟練した職人による手作業であることや最高品質の素材を用いた衣服であるため非常に価値の高い製品とされます。
「オートクチュール刺繍」の意味
上記例文の「オートクチュール刺繍」とは、豪華なドレスを制作するための伝統的な刺繍技法を指す言葉で、ビーズやスパンコールを生地の裏側から刺繍する手法である「リュネビル刺繍」などを用いて装飾を施します。
オートクチュールの対義語
オートクチュールの対義語・反対語としては、既に出来ているものを意味する「出来合い」があります。
オートクチュールの類語
オートクチュールの類語・類義語としては、受注生産した商品や注文があってから生産された製品を意味する「オーダーメイド」、ある程度のテンプレートと自身の希望を組み合わせて作る注文を意味する「カスタムメイド」などがあります。
プレタポルテの意味
プレタポルテとは
プレタポルテとは、品質の優れた高級既製服を意味しています。
プレタポルテの使い方
プレタポルテを使った分かりやすい例としては、「機能的なプレタポルテであれば値段を気にしない」「自分の好みのデザインをプレタポルテで見つけられるとすぐに購入してしまう」「次シーズンを最後にプレタポルテラインの休止を発表した」などがあります。
その他にも、「有名なプレタポルテブランドは長いこと愛されてきたと言える」「オートクチュールをやめてプレタポルテ専業に転換した企業も多い」「同じブランドだがオートクチュールとプレタポルテのどちらの展示会も行われているらしい」などがあります。
プレタポルテは英語で「pret-a-porter」と表記され、「既製服」を意味しますが、「ready to wear」「ready to carry」と表現されることがほとんどです。日本語ではフランス語をカタカナ読みして使っています。
既製の衣料品は別の呼称がありましたが、大量生産されるという意味だけでなく、粗悪な製品という意味で使われていたため、高級な既製服とを区別するためにプレタポルテという言葉が使われるようになりました。
そのため、既製服の質が向上した今日では既製服一般を指すようになった元の語も、日本では高級品質の既製服を表す言葉のまま使われています。
プレタポルテの対義語
プレタポルテの対義語・反対語としては、仕立て屋に仕立ててもらった家具や衣服を意味する「テーラーメイド」があります。
プレタポルテの類語
プレタポルテの類語・類義語としては、低価格かつ大量生産された既製服を意味する「コンフェクション」、商品化して大量生産した既製服を意味する「レディメイド」、ありふれている様子や手段を意味する「古手」などがあります。
オートクチュールの例文
この言葉がよく使われる場面としては、受注生産や注文を受けて縫製される仕立服を意味する時などが挙げられます。
例文3の「セミオートクチュール」とは、サンプルなどの土台となるデザインにアレンジを加えて製作される衣服を指す言葉で、特にドレスに対して使われています。
また、例文4や例文5のように、高級仕立服を生み出す店舗やブランドを表す言葉としても使われ、それらの同業者組合自体を指す言葉としても使われています。
プレタポルテの例文
この言葉がよく使われる場面としては、品質の優れた高級既製服をを意味する時などが挙げられます。
例文1の「プレタポルテ・コレクション」とは、高級既製服を展示しているコレクションを指す言葉で、世界最大と呼ばれる「パリ・コレクション」が最も有名と言えます。
オートクチュールとプレタポルテは、どちらも「高級衣料品」を表します。どちらを使うか迷った場合は、仕立服を表す場合は「オートクチュール」を、既製服を表す場合は「プレタポルテ」を使うと覚えておけば間違いありません。