似た意味を持つ「加算」(読み方:かさん)と「乗算」(読み方:じょうざん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「加算」と「乗算」という言葉は、どちらも「計算の方法」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
加算と乗算の違い
加算と乗算の意味の違い
加算と乗算の違いを分かりやすく言うと、加算とは足し算を意味し、乗算とは掛け算を意味するという違いです。
加算と乗算の使い方の違い
一つ目の加算を使った分かりやすい例としては、「介護報酬の加算と減算の要件について説明します」「加算税と延滞税の違いがわかりません」「期日までに加算金を納めてください」「加算の前に乗算をします」などがあります。
二つ目の乗算を使った分かりやすい例としては、「アナログ乗算器の原理をご存知ですか」「乗算回路をトランジスタで作る」「値を乗算するには PROFILE関数を使用します」「乗算のやり方は何年生で習いますか」などがあります。
加算と乗算の使い分け方
加算と乗算という言葉は、どちらも四則演算の一種であり計算方法を表しますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
加算とは、数字に別の数字を加えて合計することを意味します。「足し算」として小学校1年生で習うもので、「+」の記号を用いて「2+4」のように表現します。この計算は2に4を加えることを意味し、計算式は「2+4=6」となります。加算の答えの「6」は「和」と言います。
乗算とは、2つ以上の数字を掛け合わせて計算することを意味します。「掛け算」として小学校2年生で習うもので、「×」の記号を用いて「2×4」のように表現します。この計算は2を4回加えることを意味し、計算式は「2×4=8」となります。乗算の答えの「8」は「積」と呼びます。
つまり、加算とは足し算のことであり、乗算とは掛け算のことです。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
加算と乗算の英語表記の違い
加算を英語にすると「addition」「supplement」「summation」となり、例えば上記の「加算と減算」を英語にすると「addition and subtraction」となります。
一方、乗算を英語にすると「multiplication」「times」となり、例えば上記の「乗算器」を英語にすると「multiplier」となります。
加算の意味
加算とは
加算とは、ある数量に、さらに別の数量を加えて計算することを意味しています。
その他にも、「足し算、寄せ算」の意味も持っています。
表現方法は「加算される」「加算を取る」
「加算される」「加算を取る」などが、加算を使った一般的な言い回しです。
加算の使い方
「過少申告加算税の金額はいくらぐらいになるだろう」「加算平均合成で高感度ノイズを除去する」「オペアンプを用いた加算回路の仕組みを解説します」などの文中で使われている加算は、「ある数量に別の数量を加えて計算すること」の意味で使われています。
一方、「加算を乗算が混ざった計算が苦手です」「加算のやり方を英語で説明してください」「半加算器と全加算器のどちらをご所望ですか」などの文中で使われている加算は、「足し算、寄せ算」の意味で使われています。
加算とは、ある数量に別の数量を加えることを意味します。基本の給料に手当を加えたり、通常のポイントにボーナスポイントが上乗せされたりすることを表す言葉です。数学では、数字に別の数字を加えて合計する「足し算」を意味し、「5+3」のような計算式を指します。
「加算税」の意味
加算を用いた日本語には「加算税」があります。加算税とは、申告納税方式または源泉徴収等による国税について、過少であったり延滞をするなど納付義務の違反に対する課税です。罰金としての意味合いを持ちます。
「加算年金」は誤用
加算を用いた誤った表現には「加算年金」があります。正しくは「加給年金」であり、厚生年金の被保険者が65歳になった時点で扶養する子供や配偶者がいる場合に、老齢厚生年金に加算される年金制度のことです。
加算の対義語
加算の対義語・反対語としては、引き算や減法を意味する「減算」などがあります。
加算の類語
加算の類語・類義語としては、一緒に合わせて計算することや合計を意味する「合算」、計算の中に含めることや数え入れることを意味する「算入」、費用などを全体の計算の中に組み入れることを意味する「計上」などがあります。
乗算の意味
乗算とは
乗算とは、掛け算、乗法を意味しています。
乗算の読み方
乗算の読み方は「じょうざん」です。誤って「じょうさん」「じょざん」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「乗算レイヤー」「乗算記号」
「乗算レイヤー」「乗算記号」などが、乗算を使った一般的な言い回しです。
乗算の使い方
乗算を使った分かりやすい例としては、「エクセルで乗算する方法を習った」「英語で乗算のやり方を説明する」「CSSで乗算をかける方法を教えてください」「乗算レイヤーを使ってイラストに影を付ける」などがあります。
その他にも、「アスタリスクは乗算記号として使用されている」「大学で4ビット乗算器を作成しました」「四則演算で乗算は加算より優先されます」「エクセルで乗算を実行する計算式を作成する」などがあります。
乗算とは、「掛け算」「乗法」とも呼ばれ、ある数を他の数の表す回数だけ加えた合計を求める計算を意味します。乗算は「2×4」のように「×」を使って表記され、これは「2+2+2+2」を表し、答えは「8」となります。
「乗算器」の意味
乗算を用いた日本語には「乗算器」があります。乗算器とは、二つの数について乗算を行うための電子回路のことで、「アナログ乗算器」と「デジタル乗算器」があります。
乗算の対義語
乗算の対義語・反対語としては、割り算や除法を意味する「除算」などがあります。
乗算の類語
乗算の類語・類義語としては、1から9までの数を互いに掛け合わせた数の一覧表を意味する「九九」、二つ以上の数を掛け合わせることを意味する「相乗」、二つ以上の数や式を掛け合わせて得られる数や式を意味する「積」などがあります。
加算の例文
この言葉がよく使われる場面としては、足し算や寄せ算、加えて勘定することを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある加算は、四則演算の一つで、二つ以上の数を足して和を求める「足し算」の意味で用いられています。例文2から例文5の加算は、ある数量を加えて勘定することの意味で使用されています。
乗算の例文
この言葉がよく使われる場面としては、乗法や掛け算を表現したい時などが挙げられます。
例文3や例文4にあるように、乗算という言葉は、イラストなどの色の合成方法を表すことがあります。「乗算レイヤー」とは、下にあるレイヤーの色を掛け合わせながら影色を表示する効果があります。
加算と乗算という言葉は、どちらも「計算方法」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、足し算を表現したい時は「加算」を、掛け算を表現したい時は「乗算」を使うようにしましょう。