似た意味を持つ「臍を噛む」(読み方:ほぞをかむ)と「砂を噛む」(読み方:すなをかむ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「臍を噛む」と「砂を噛む」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
「臍を噛む」と「砂を噛む」の違い
「臍を噛む」と「砂を噛む」の意味の違い
「臍を噛む」と「砂を噛む」の違いを分かりやすく言うと、「臍を噛む」とはすでに終わったことを後悔すること、「砂を噛む」とは味わいや面白味が全くないことという違いです。
「臍を噛む」と「砂を噛む」の使い方の違い
一つ目の「臍を噛む」を使った分かりやすい例としては、「もっと頑張るべきだったと今になって臍を噛む」「練習サボって結果が出なかったので臍を噛むことになった」「息子に怒鳴りつけてしまったので臍を噛む」「彼女のためになぜ何もしてやらなかったかと臍をかむ思いです」などがあります。
二つ目の「砂を噛む」を使った分かりやすい例としては、「今日の夕飯は砂を噛むような味気ない食事だった」「何をやっても上手く行かず砂を噛むような人生だ」「砂を噛むような人生にはうんざりです」「職場を往復する日々はまるで砂を噛むようだ」などがあります。
「臍を噛む」と「砂を噛む」の使い分け方
「臍を噛む」と「砂を噛む」は似た似た言葉ですが、意味は全く異なっているので間違えないように注意しましょう。「臍を噛む」はすでに終わったことを後悔することを意味しており、「砂を噛む」は味わいや面白味が全くないことを意味しています。
ではなぜ間違えてしまうのかというと、「砂を噛む」の意味を間違って覚えている人が多いからです。
文化庁が発表した平成30年度に行われた国語に関する世論調査では、本来の意味とされる「味わいや面白味が全くないこと」で使う人が32.1%、本来の意味ではない「すでに終わったことを後悔すること」で使う人が56.9%と逆転した結果がでています。
間違った意味で覚えている人が多い「砂を噛む」ですが、正しい意味は「味わいや面白味が全くないこと」なので間違えないようにしましょう。
「臍を噛む」と「砂を噛む」の英語表記の違い
「臍を噛む」を英語にすると「regret bitterly」「very sorry」となり、例えば上記の「彼女のためになぜ何もしてやらなかったかと臍をかむ思いです」を英語にすると「I deeply regret bitterly having done nothing for her」となります。
一方、「砂を噛む」を英語にすると「as tasteless as sawdust」となり、例えば上記の「まるで砂を噛むようだ」を英語にすると「It’s as tasteless as sawdust」となります。
「臍を噛む」の意味
「臍を噛む」とは
「臍を噛む」とは、すでに終わったことを後悔することを意味しています。
「臍を噛む」の読み方
「臍を噛む」の読み方は「ほぞをかむ」です。誤って「へそをかむ」などと読まないようにしましょう。
「臍を噛む」の使い方
「臍を噛む」を使った分かりやすい例としては、「記入漏れがあり確認を怠ったことに臍を噛む」「あとで臍を噛んでももう手遅れです」「彼のために何もしてやれなかったので臍を噛む」「臍を噛む思いは二度としたくありません」などがあります。
「臍を噛む」はすでに終わったことを後悔すること、つまり、自分のしてしまったことをひどく後悔する場合に使う言葉です。
「臍を噛む」の由来
「臍を噛む」の由来は中国の故事の『春秋左氏伝』です。中国の春秋時代に、鄧の国を訪れた楚の文王に対して、鄧の国の鄧侯は篤くもてなしましたが、鄧の臣たちが「いま文王を殺さなければ、あなたは後に臍を噛むだろう」と進言しました。
しかし鄧侯はその進言を聞き入れることはなく、後に鄧の国は文王によって滅ぼされます。このことが転じて、あとになって後悔してもどうしようもないことを、「臍を噛む」と言うようになりました。
「臍を噛む」の類語
「臍を噛む」の類語・類義語としては、怒りや悔しさから歯をかみしめて音を立てることを意味する「歯ぎしり」、失敗したことや十分にできなかったことなどをあとから残念に思うことを意味する「悔やむ」、怒りや悔しさを堪えることを意味する「唇を噛む」などがあります。
「砂を噛む」の意味
「砂を噛む」とは
「砂を噛む」とは、味わいや面白味が全くないことを意味しています。
表現方法は「砂を噛むような日々」「砂を噛むような気持ち」「砂を噛むような仕事」
「砂を噛むような日々」「砂を噛むような気持ち」「砂を噛むような仕事」「砂を噛むような人生」「砂を噛むような味」などが、「砂を噛む」を使った一般的な言い回しになります。
「砂を噛む」の使い方
「砂を噛む」を使った分かりやすい例としては、「毎朝砂を噛むような気持ちで通勤列車に乗っている」「大好きなカレーライスも砂を噛むような味しかしない、どうやら味覚障害が起こっているらしい」「砂を噛むような日々にはもううんざりだ」などがあります。
「砂を噛む」はすでに終わったことを後悔することという間違った意味で覚えている人が多いのが現状です。正しい意味は味わいや面白味が全くないことと覚えておきましょう。
また、「砂を噛む」は「砂を噛むよう」と表現することもあります。
「砂を噛む」の由来
「砂を噛む」の由来は砂を噛んでもまったく味がしないことです。実際に砂を噛んだことがある人は多くないかもしれませんが、砂を美味しいという人はいないでしょう。このことが転じて、味わいや面白味が全くないことを「砂を噛む」と言うようになりました。
「砂を噛む」は実際に食事をして味がしない場合にも使うことができますが、現代では「砂を噛むような人生」「砂を噛むような気持ち」などの物事に対してのつまらなさを表現する場合に使うことが多い言葉です。
「砂を噛む」の類語
「砂を噛む」の類語・類義語としては、面白味や魅力がなくてつまらないことを意味する「味気ない」、飽き飽きして嫌けがさすことを意味する「退屈」、何の味わいや面白みもなくつまらないことを意味する「無味乾燥」などがあります。
「臍を噛む」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、すでに終わったことを後悔することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「臍を噛む」はひどく後悔した気持ちを表す言葉です。
「砂を噛む」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、味わいや面白味が全くないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「砂を噛む」は全く面白くなかったり、つまらない場合に使う言葉になります。
「臍を噛む」と「砂を噛む」は似た言葉ですが、意味は全く異なっています。どちらの言葉を使うか迷った場合、すでに終わったことを後悔することを表現したい時は「臍を噛む」を、味わいや面白味が全くないことを表現したい時は「砂を噛む」を使うと覚えておきましょう。