似た意味を持つ「採算度外視」(読み方:さいさんどがいし)と「利益度外視」(読み方:りえきどがいし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「採算度外視」と「利益度外視」という言葉は、どちらも「商売のもうけを考えないこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
採算度外視と利益度外視の違い
採算度外視と利益度外視の意味の違い
採算度外視と利益度外視の違いを分かりやすく言うと、採算度外視とは赤字を容認するニュアンスがあり、利益度外視とは赤字を容認するニュアンスはないという違いです。
採算度外視と利益度外視の使い方の違い
一つ目の採算度外視を使った分かりやすい例としては、「採算度外視の経営では立ち行かなくなるだろう」「採算度外視の食べ飲み放題が話題となっています」「お客様に喜んでもらいたくて採算度外視でやっています」などがあります。
二つ目の利益度外視を使った分かりやすい例としては、「利益度外視の値付けで客を呼び込む」「利益度外視で飲食店を経営しています」「マグロてんこ盛りの海鮮丼を利益度外視で提供します」などがあります。
採算度外視と利益度外視の使い分け方
採算度外視と利益度外視という言葉は、どちらもビジネスの場で使用され、事業や商売による利潤を無視するさまを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
二つの言葉の違いとなる「採算」と「利益」に着目すると、「採算」は収支のバランスを意味し、採算度外視は収支のバランスが崩れることを問題にしないことを表します。一方の「利益」は商売のもうけ分を意味し、利益度外視はもうけ分がいくらになるかを問題視しないことを意味する言葉です。
つまり、採算度外視は赤字を許容する意味合いがあり、利益度外視は利益の多少は気にしませんが赤字をよしとするニュアンスはありません。二つの言葉はとてもよく似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
採算度外視と利益度外視の英語表記の違い
採算度外視を英語にすると「Ignoring profitability」「without thought of profit」となり、例えば上記の「採算度外視の経営」を英語にすると「management without thought of profit」となります。
一方、利益度外視を英語にすると「Ignoring gain」「without thought of gain」となり、例えば上記の「利益度外視の値付け」を英語にすると「pricing without thought of gain」となります。
採算度外視の意味
採算度外視とは
採算度外視とは、収支のつり合いを問題にしないことを意味しています。
採算度外視の読み方
採算度外視の読み方は「さいさんどがいし」です。誤って「さいさんとげし」「さいさんどがえし」などと読まないようにしましょう。
採算度外視の使い方
採算度外視を使った分かりやすい例としては、「ランチは採算度外視で営業しています」「採算度外視でご提供させて頂いております」「採算度外視の朝食ブッフェが自慢のビジネスホテルです」などがあります。
その他にも、「採算度外視のキャンペーンを実施中です」「採算度外視した運賃設定となっています」「毎日、採算度外視で低価格で販売しています」「採算度外視の値段設定は競合店にとって迷惑です」などがあります。
採算の「採算」は、収支を計算すること、商売や事業の収支のつりあいを表し、「度外視」は問題にしないことや無視することを表します。この二つの熟語が組み合わさり、採算度外視とは、収支のバランスを考慮していないことを意味し、赤字もいとわないことを表しています。
例えば、1パック200円で仕入れた卵を集客の目的で1パック100円で販売することは、客寄せのために採算度外視の値段に設定したことになります。
採算度外視の対義語
採算度外視の対義語・反対語としては、何事をするにも損得を考えて行うさまを意味する「打算的」などがあります。
採算度外視の類語
採算度外視の類語・類義語としては、不当に安い価格で商品やサービスを提供することを意味する「不当廉売」、損を承知で安値で売ることを意味する「投げ売り」、採算を無視して商品を安売りすることを意味する「ダンピング」などがあります。
利益度外視の意味
利益度外視とは
利益度外視とは、事業のもうけ分を考えないことを意味しています。
利益度外視の読み方
利益度外視の読み方は「りえきどがいし」です。誤って「りえきとげし」「りえきどがえし」などと読まないようにしましょう。また、「利益度返し」とは書かないことにも注意してください。
利益度外視の使い方
利益度外視を使った分かりやすい例としては、「まさに利益度外視の破格値である」「利益度外視でお弁当を販売しています」「利益度外視で社員の英語教育に力を入れています」「利益度外視で営業する飲食店がテレビで取り上げられた」などがあります。
その他にも、「利益度外視の姿勢が客をひきつける」「アマゾンは利益度外視でシェアを拡大しています」「経営者が利益度外視の受注に走る」「利益度外視で安全対策を充実させることにしました「利益度外視のビジネスモデルでよいのだろうか」などがあります。
利益度外視の「利益」は、事業などをして得るもうけ、いわゆる利潤を表します。考える対象からはずすことを表す「度外視」と結びつき、利益度外視とは、事業や商売のもうけを考慮しないことを意味します。
例えば、お弁当を作って販売する時に、質の良く高コストの食材を使用しているのに客が買いやすいように低価格に設定するなど、売上額からコストを差し引いたもうけ分を気にしないことを「利益度外視」と言います。
利益度外視の対義語
利益度外視の対義語・反対語としては、物事を行うときに効果や利益のみを重視するさまを意味する「功利的」などがあります。
利益度外視の類語
利益度外視の類語・類義語としては、普通より安い値段で売ることを意味する「安売り」、大安売りや投げ売りを意味する「たたき売り」、商品を安い値段で売ることを意味する「廉売」、商品の価格を下げて行う売り出しを意味する「バーゲンセール」などがあります。
採算度外視の例文
この言葉がよく使われる場面としては、採算を考慮しないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、採算度外視という言葉は、おもにビジネスシーンで使用されています。
利益度外視の例文
この言葉がよく使われる場面としては、利益を考えないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、利益度外視とはビジネスシーンで用いられることが多い言葉です。
採算度外視と利益度外視という言葉は、どちらも「商売や事業のもうけを考慮しないこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、赤字を容認しているさまを表現したい時は「採算度外視」を、赤字を容認していないさまを表現したい時は「利益度外視」を使うようにしましょう。