似た意味を持つ「双方」(読み方:そうほう)と「両方」(読み方:りょうほう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「双方」と「両方」という言葉は、「二つの物事のどちらも」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
双方と両方の違い
双方と両方の意味の違い
双方と両方の違いを分かりやすく言うと、双方は両方よりも改まった言い方という違いです。
双方と両方の使い方の違い
一つ目の双方を使った分かりやすい例としては、「双方が許容できる妥協点を見出す」「双方ともに不満の残る合併だった」「双方それぞれが代理人を立てる」「事故の内容について当事者双方に説明を求める」などがあります。
二つ目の両方を使った分かりやすい例としては、「両方の鼻から鼻血が出ました」「英語と数学の両方やらなくちゃいけない」「英語も韓国語も両方できるようになりたい」「両方の矢印を繋げたイラストを描く」などがあります。
双方と両方の使い分け方
双方と両方という言葉は、「二つの物事のどちらも」や「二人とも」を表します。二つの言葉はほぼ同義であるため、上記の例文にある「双方が許容できる妥協点」「双方ともに不満の残る」の双方は、両方に置き換えて使っても意味は通じます。
ただし、二つの言葉の使い方には若干の違いがあります。双方は、「当事者双方」のような使い方で物よりも人に対して用いられることが多い言葉です。また、どちらかというと改まった言い方で、話し言葉ではあまり使用されません。
一方の両方は、「英語と数学の両方」のように、基本的には物に対して用いられる言葉です。人に対して使用する時は、話し言葉として用いられます。両方という言葉は口語的であり、双方に比べるとくだけた印象を与えます。
双方と両方の英語表記の違い
双方も両方も英語にすると「both」「both sides」「both parties」となり、例えば上記の「双方が許容できる妥協点」を英語にすると「acceptable compromise to both parties」となります。
双方の意味
双方とは
双方とは、関係するものの両方、あちらとこちらを意味しています。
その他にも、「二つの方形」の意味も持っています。
双方の読み方
双方の読み方は「そうほう」です。誤って「そうかた」「ふたかた」などと読まないようにしましょう。
双方の使い方
「Zoomによる双方向授業を実施します」「双方向性のあるコンテンツの例を挙げてください」「双方代理の禁止規定への抵触を避ける」「米中双方ともに首脳会談を望んでいる」などの文中で使われている双方は、「関係するものの両方」の意味で使われています。
一方、「奈良県天理市の櫛山古墳は双方中円墳です」「双方中円墳は古墳の形式の一つです」「双方が融合した器に魅了される」などの文中で使われている双方は、「二つの方形」の意味で使われています。
双方とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、一般的には「関係するものの両方、あちらとこちら」の意味で用いられています。双方の「双」は訓読みで「ふた」と読み、二つや二つ並ぶことを表し、「方」はいくつかある物事のうちの一つや、直線で組み立てた形を表す漢字です。
「双方代理」の意味
双方と用いた日本語には「双方代理」(読み方:そうほうだいり)があります。双方代理とは、一人が同時に当事者双方の代理人となって契約を結ぶことを意味します。民法は原則として双方代理を禁止していますが、あらかじめ本人の許諾がある場合には例外として双方代理を認めています。
双方の対義語
双方の対義語・反対語としては、二つあるうちの一つを意味する「一方」、二つのもののもう一方を意味する「他方」などがあります。
双方の類語
双方の類語・類義語としては、両方の人や二人を意味する「両人」、あれとこれと両方を意味する「両々」、ふたとおりや二つの様式を意味する「両様」、情報伝達の方向が一方向でなく受信側からも発信できる方式を意味する「双方向」などがあります。
両方の意味
両方とは
両方とは、二つの方向や方面を意味しています。
その他にも、「二つあるものの二つとも」の意味も持っています。
両方の読み方
両方の読み方は「りょうほう」です。古くは「りょうぼう」とも読まれていましたが、今では「りょうほう」とのみ読みます。
両方の使い方
「右と左の両方をちゃんと見てください」「道が両方に分かれていた」「南北両方に縁側を設けました」「先生は東西両方の美術文化に明るい」などの文中で使われている両方は、「二つの方向や方面」の意味で使われています。
一方、「液体と気体の両方の性質を併せ持つ素材を開発する」「インド人の彼は日本語と英語の両方とも話せます」「和食も洋食も両方とも好きです」などの文中で使われている両方は「二つとも」の意味で使われています。
両方とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているので、文脈により意味を捉える必要があります。両方の「両」は訓読みで「ふたつ」と読み、二つで一組みとなるものの双方を表し、「方」はいくつかある物事のうちの一つを表します。
「両方綱」の意味
両方を用いた日本語には「両方綱」(読み方:りょうほうづな)があります。両方綱とは、和船の帆の両側につける数本の細い綱を意味し、風向きに応じて帆のふくらみを適当に加減し帆走性能を向上させるものです。略して「両方」とも言います。
両方の対義語
両方の対義語・反対語としては、対になっているものの一方を意味する「片方」、両面あるうちの一方の側を意味する「片側」などがあります。
両方の類語
両方の類語・類義語としては、両方の者や双方を意味する「両者」、両方の人や二人を意味する「両名」、相対する二つの側や両方の側を意味する「両側」、両方のはしを意味する「両端」などがあります。
双方の例文
この言葉がよく使われる場面としては、関係するあちらとこちら、二つの方形を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の双方は、「あちらとこちら」の意味で用いられています。例文5にある双方は、「二つの方形」の意味で使われています。
両方の例文
この言葉がよく使われる場面としては、二つの方面や方向、二方、二つの物事のどちらもを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある両方は、「二つの方面や方向」の意味で用いられています。例文2から例文5の両方は、「二つの物事のどちらも」の意味で使われています。
双方と両方という言葉は、「二つの物事のどちらも、二人とも」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、より改まった言い方をしたい時は「双方」を使うようにしましょう。