似た意味を持つ「陰謀」(読み方:いんぼう)と「謀略」(読み方:ぼうりゃく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「陰謀」と「謀略」という言葉は、どちらも「人をあざむくはかりごと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
陰謀と謀略の違い
陰謀と謀略の意味の違い
陰謀と謀略の違いを分かりやすく言うと、陰謀とは裏で密かに企てた人をあざむくはかりごと表し、謀略とは人をあざむくはかりごと全般を表すという違いです。
陰謀と謀略の使い方の違い
一つ目の陰謀を使った分かりやすい例としては、「これには陰謀が潜んでいるのではないか」「反ワクチン団体がコロナ陰謀論を唱えている」「根拠に基づかない陰謀論は嘘だらけです」「刑法78条には内乱陰謀罪が規定されています」などがあります。
二つ目の謀略を使った分かりやすい例としては、「次々と悪質な謀略をめぐらす」「謀略渦巻く王宮を舞台にした推理小説です」「真田幸村は戦国時代屈指の謀略家でした」「スパイによる謀略活動について調査しています」などがあります。
陰謀と謀略の使い分け方
陰謀と謀略という言葉は、どちらも事を成し遂げるために相手を騙そうとするはかりごとを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
陰謀とは、秘密裏にたくらむはかりごとを意味します。誰にも知られないように計画を練り、自分の目的を成し遂げるために人を弄する策を表します。「陰謀論」とは、容易に理解できない出来事を「背後に何者かの企みがある」と捉える考え方のことです。
謀略とは、人をたぶらかしたり騙したりするようなはかりごとを意味します。自分の望んでいる方向にもっていくために、人を陥れる悪質な計画を表す言葉です。「謀略家」とは、思う通りに事を運ばせるために巧みにはかりごとをする人のことであり、「策略家」「策士」とほぼ同義で使われています。
つまり、陰謀には密かにたくらむというニュアンスがあり、謀略にはそのようなニュアンスがない点に明確な違いがあります。二つの言葉を比べると、陰謀よりも謀略の方が広い意味を持ち、幅広く使える言葉だと言えるでしょう。
陰謀と謀略の英語表記の違い
陰謀も謀略も英語にすると「conspiracy」「plot」「scheme」となり、例えば上記の「陰謀を企てる」を英語にすると「concoct a plot」となります。
陰謀の意味
陰謀とは
陰謀とは、密かにたくらむ悪事、そのたくらみを意味しています。
その他にも「法律で、二人以上の者が一定の犯行行為について計画・相談すること」の意味も持っています。
表現方法は「陰謀を企てる」「陰謀をはかる」「陰謀が渦巻く」
「陰謀を企てる」「陰謀をはかる」「陰謀が渦巻く」などが、陰謀を使った一般的な言い回しです。
陰謀の使い方
「大統領暗殺の陰謀を企てる 」「同僚の陰謀により解雇されてしまった」「さまざまな陰謀論が世界中に存在しています」「陰謀論を信じる人が少なからずいるのです」などの文中で使われている陰謀は、「密かにたくらむ悪事」の意味で使われています。
一方、「陰謀は露見して犯人らは逮捕されました」「他国の戦争に参加することは陰謀罪に当たる可能性があります」「内乱の予備又は陰謀をした者は禁錮に処する」などの文中で使われている陰謀は、「犯行行為について計画すること」の意味で使われています。
陰謀は「陰」を「隠」に変えて「隠謀」とも書きますが、「陰謀」と表記されることがほとんどです。
陰謀とは、一般的には人に知られないように計画する悪いはかりごとを意味します。また、法律用語として、複数の者が犯行の計画や相談を行うことの意味でも用いられています。陰謀の「陰」は人目につかないこと、「謀」は悪事をたくらむことを表す漢字です。
四字熟語「陰謀詭計」の意味
陰謀を用いた四字熟語には、「陰謀詭計」(読み方:いんぼうきけい)があります。陰謀詭計とは、人を騙そうとして考えられた悪だくみのことです。「詭計」は、ある目的のために、人をだましてそれを達成しようとする計略を意味します。
陰謀の対義語
陰謀の対義語・反対語としては、小細工や戦略を抜きにして正面からぶつかり合う勝負を意味する「真っ向勝負」、正直すぎて融通がきかないことを意味する「馬鹿正直」などがあります。
陰謀の類語
陰謀の類語・類義語としては、相手をだまそうとするたくらみを意味する「計略」、物事を進めていくうえでのはかりごとを意味する「作戦」、物事がうまくゆくように前もって考えた手段や方法を意味する「謀」(読み方:はかりごと)などがあります。
謀略の意味
謀略とは
謀略とは、人をあざむくようなはかりごとを意味しています。
謀略の読み方
謀略の読み方は「ぼうりゃく」です。誤って「ほうりゃく」「むりゃく」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「謀略を巡らす」「謀略戦」「謀略に乗る」
「謀略を巡らす」「謀略戦」「謀略に乗る」などが、謀略を使った一般的な言い回しです。
謀略の使い方
謀略を使った分かりやすい例としては、「楽して金儲けできないかと謀略をめぐらす」「決戦の裏で繰り広げられた激しい謀略戦がありました」「戦時中の日本には謀略は誠なりの精神がありました」などがあります。
その他にも、「敵の謀略にかかるとは嘆かわしい」「ひとまず相手の謀略に乗るふりをすることにした」「天才謀略家の波乱万丈の人生を描いたドラマです」「貧しい出自の秀吉は巧みな謀略によって成り上がりました」などがあります。
謀略という言葉の「略」は訓読みで「はかる」「はかりごと」と読み、筋道を立てた計画を表す漢字です。悪事をたくらむことを表す「謀」と組み合わさり、謀略とは、人を陥れるような悪い計画を意味する言葉です。
四字熟語「権謀術数」の意味
謀略の意味を持つ四字熟語には、「権謀術数」(読み方:けんぼうじゅっすう)があります。権謀術数とは、相手を巧みにあざむくはかりごとや、種々の計略をめぐらすことであり、謀略と同じ意味を持ちます。「権」「謀」「術」「数」は、いずれも手段や企みを表わす漢字です。
謀略の対義語
謀略の対義語・反対語としては、奇計などを用いない正々堂々とした攻め方を意味する「正攻法」などがあります。
謀略の類語
謀略の類語・類義語としては、自分の目的達成のために相手を陥れるはかりごと「策略」、悪い計画を意味する「悪だくみ」、悪いはかりごとを意味する「奸計」、計画を立てることを意味する「企て」、計画や企てを意味する「目論見」(読み方:もくろみ)などがあります。
陰謀の例文
この言葉がよく使われる場面としては、密かに企画されるはかりごと、特定の犯罪を実行する目的で2人以上の者が謀議をすることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3の文中にある陰謀は、密かに企画されるはかりごとの意味で用いられています。例文4や例文5の陰謀は、法律用語で、特定の犯罪を実行する目的で複数人が謀議することを意味します。
謀略の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人をあざむくはかりごと、計略を表現したい時などが挙げられます。
例文1の文中にある謀略と策略の違いは、謀略は人を陥れてだますというニュアンスが強く、策略は物事を進めていくうえでの手段というニュアンスが強い点にあります。
陰謀と謀略という言葉は、どちらも「人をあざむくはかりごと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、裏で密かに企てるさまを表現したい時は「陰謀」を使うようにしましょう。