似た意味を持つ「態度」(読み方:たいど)と「行動」(読み方:こうどう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「態度」と「行動」という言葉は、どちらも「外面に現れる動き」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
態度と行動の違い
態度と行動の意味の違い
態度と行動の違いを分かりやすく言うと、態度とは心の動きが表面に現れたもの、行動とは目的をもった身体的な動きという違いです。
態度と行動の使い方の違い
一つ目の態度を使った分かりやすい例としては、「そんな横柄な態度をとる人だと思わなかった」「部下の勤務態度を評価する」「接客態度が悪いカフェに入ってしまった」「今すぐ生活態度を改めるべきです」などがあります。
二つ目の行動を使った分かりやすい例としては、「あの夫婦はいつも行動を共にしている」「従業員に行動指針を示す」「災害時に取るべき行動をイラストにする」「行動経済学の入門テキストを買いました」などがあります。
態度と行動の使い分け方
態度と行動という言葉は、どちらも「強気な態度」「強気な行動」などと同じような表現をとり、周囲が見てとれる動きを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
態度とは、物事に接したときに感じたり考えたりしたことが現れたものを意味し、動作だけでなく言葉や表情として出るものを指します。「おどおどした態度」のように心の動きが無意識に出ることも、「接客態度」「勤務態度」のように意識的な心構えも表します。
行動とは、目的をもって意志的に体を動かしたり、他に働きかけることを意味し、動作として出るものを意味します。上記の例文にある「行動指針」とは、ビジネスにおいて会社の社員がとるべき行動の判断基準を定めたものです。
つまり、態度とは心の動きが外に現れた表情や動作であり、行動とは目的をもって行う身体的な動作を意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
態度と行動の英語表記の違い
態度を英語にすると「attitude」「behavior」「manner」となり、例えば上記の「横柄な態度」を英語にすると「an imperious manner」となります。
一方、行動を英語にすると「act」「action」「behavior」となり、例えば上記の「行動を共にする」を英語にすると「act together」となります。
態度の意味
態度とは
態度とは、物事に対したときに感じたり考えたりしたことが、言葉・表情・動作などに現れたものを意味しています。
その他にも、「事に臨むときの構え方、その立場などに基づく心構えや身構え」「心理学で、ある特定の対象または状況に対する行動の準備状態、また、ある対象に対する感情的傾向」の意味も持っています。
表現方法は「態度が悪い」「態度がでかい」
「態度が悪い」「態度がでかい」などが、態度を使った一般的な言い回しです。
態度の使い方
「そわそわとした態度を見せる」「彼の曖昧な態度に苛立ちを覚えた」「態度変容モデルをマーケティングに活用する」などの文中で使われている態度は、「物事に対したときに感じたことの現れ」の意味で使われています。
一方、「英語の授業を受ける態度がなっていない」「接客態度の悪い店には行きたくありません」の文中で使われている態度は「事に臨むときの構え方」の意味で、「態度を測定し評価する」の文中で使われている態度は「心理学で行動の準備状態や感情的傾向」の意味で使われています。
態度とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているので、文脈により意味を捉える必要があります。態度の「態」は訓読みで「さま」と読み、身や心の構え、ありさまや様子を表します。「度」は示される言動や心の様子を表す漢字です。
「態度変容」の意味
態度を用いた日本語には「態度変容」があります。態度変容とは、「パーセプションチェンジ」とも呼ばれ、意識の変化と行動の変化の両方の意味で使用されています。マーケティングの分野において態度変容は、顧客の認知や意識の変化を意味します。
態度の類語
態度の類語・類義語としては、心構えや態度を意味する「姿勢」、ある物事や情勢に対してとる構えを意味する「態勢」、態度や行動のしかたを意味する「振る舞い」、立ち居振る舞いを意味する「挙動」、表情や態度に現れたようすを意味する「素振り」などがあります。
行動の意味
行動とは
行動とは、あることを目的として実際に何かをすること、行いを意味しています。
その他にも、「心理学で、外部から観察可能な人間や動物の反応」の意味も持っています。
表現方法は「行動する」「行動心理」
「行動する」「行動心理」などが、行動を使った一般的な言い回しです。
行動の使い方
「彼は行動力のある人です」「英語圏でのNG行動を教えます」「行動変容ステージを評価する」「強度行動障害の特徴を解説します」「行動援護ヘルパーとして働いています」などの文中で使われている行動は、「あることを目的として実際に何かをすること」の意味で使われています。
一方、「人の行動や仕草を観察して研究する」「大学で行動心理学を専攻していました」「行動経済学をビジネスに活かす」などの文中で使われている行動は、「心理学で、外部から観察可能な反応」の意味で使われています。
行動とは、一般的には、ある意志のもとに実際に体を動かして何かを行うことを意味します。自ら考えたことを実行に移せる力を「行動力」と言います。また、心理学において、外部から観察可能な刺激に対する人間や動物の反応も意味します。
「行動変容」の意味
行動を用いた日本語には「行動変容」があります。行動変容とは、人の意識が変わって行動や習慣が変わることを意味します。行動変容には5つのステージがあり、無関心期、関心期、準備期、実行期、維持期という段階を経ると考えられています。これを行動変容ステージモデルと言います。
行動の対義語
行動の対義語・反対語としては、あれこれと頭を働かせることを意味する「思考」、あれこれと考えめぐらすことを意味する「思案」などがあります。
行動の類語
行動の類語・類義語としては、ある意思をもってする行いを意味する「行為」、何かをしようとして身体を動かすことを意味する「動作」、ある動きや働きをすることを意味する「活動」、人前で言ったりしたりすることを意味する「言動」などがあります。
態度の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事に対して感じたり考えたりしたことが現われたもの、心構えや身構え、心理学で行動への構えや感情的傾向を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「態度が悪い」とは、偉そうだったり不真面目だったり、周りの人に感じられる素振りが良くないことを意味します。例文5の「態度測定」とは、ある特定の対象に対する態度を測定することを意味する心理学用語です。
行動の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人や動物が目的をもって意志的に体を動かすこと、他に働きかけること、心理学で客観的に測定できる刺激に対する反応の仕方や状態を表現したい時などが挙げられます。
上記5にある「行動心理学」とは、人間の行動から心理を分析し研究していく学問を意味します。アメリカの心理学者ワトソンが提唱しました。
態度と行動という言葉は、どちらも「外面に現れる動き」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、心の動きが外に現れるものを表現したい時は「態度」を、意識的に何かを行う動作を表現したい時は「行動」を使うようにしましょう。