似た意味を持つ「打診」(読み方:だしん)と「相談」(読み方:そうだん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「打診」と「相談」という言葉は、どちらもビジネスの調整や依頼の場で使われる言葉という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
打診と相談の違い
打診と相談の意味の違い
打診と相談の違いを分かりやすく言うと、打診とは相手の考えを探ることを表し、相談とは問題解決や物事を決めることを表すという違いです。
打診と相談の使い方の違い
一つ目の打診を使った分かりやすい例としては、「新しい企画を上司に打診をする」「打ち合わせの日程などを打診する」「医療従事者向けの先行接種を打診する」「胸部打診で異物があるか判断する」などがあります。
二つ目の相談を使った分かりやすい例としては、「ご相談の内容の秘密は厳守いたします」「不登校やいじめの悩みに対応する相談窓口です」「職場になじめない新入社員の相談に乗る」「会長を退任し相談役に就任する」などがあります。
打診と相談という言葉は、ビジネスにおいて依頼や調整をする際に用いられる言葉ですが、意味や使い方には違いがあります。
打診と相談の使い分け方
打診とは、相手の意向を確かめるために前もって話を持ちかけることを意味します。上記の例文の「日程を打診する」とは、日程を決定する前に相手側の意向を知る目的で、こちら側が考えている日程について話をすることを表します。
相談とは、問題を解決したり物事を決めるために、話し合うことや人の意見を聞くことを意味します。「日程を相談する」とは、日程をいつにするのか話し合うことや、いつが良いのか意見を集めることを表します。
つまり、打診は相手の考えを探ることが目的であり、相談は問題解決や物事を決めることが目的になるという違いがあります。
打診と相談の英語表記の違い
打診を英語にすると「sounding out」「tapping」「percussion」となり、例えば上記の「上司に打診する」を英語にすると「sound out one’s boss」となります。
一方、相談を英語にすると「consultation」「advisement」「discussion」となり、例えば上記の「相談の内容」を英語にすると「the contents of a consultation」となります。
打診の意味
打診とは
打診とは、相手の意向を確かめるために、前もって様子をみることを意味しています。
その他にも、「医者が患者の胸や背などを指先や打診器でたたき、その音で診察すること」の意味も持っています。
表現方法は「打診する」「打診を受ける」「打診を断る」
「打診する」「打診を受ける」「打診を断る」などが、打診を使った一般的な言い回しです。
打診の使い方
「コーチ就任を打診する」「承諾されやすい打診理由を考える」「日程変更の打診を受ける」「英語を使う部署への異動を打診された」「打診買いで市場の反応を探る」などの文中で使われている打診は、「意向を確かめるために前もって様子をみること」の意味で使われています。
一方、「聴診や触診、打診によって病気を見立てる」「打診をする手の動きにはコツがあります」「打診音の違いを確認する」「打診棒で柱の劣化具合を調べる」などの文中で使われている打診は、「打診器でたたき、その音で診察すること」の意味で使われています。
打診は医療用語がビジネス用語になった言葉
打診とは、もともと医療用語であり、指先や打診器で胸や背などをたたき、その音で内臓の診察をすることを意味する言葉です。この意味が比喩的に使われ、相手に少し働きかけ、その反応で相手の意向などを判断することを表すようになりました。
「打診買い」の意味
上記の例文にある「打診買い」とは、株の投資で使われる言葉であり、相場が停滞している状態の時などに市場の反応を探る目的で小口の買い注文を出すことを意味します。
「打診棒」の意味
打診という言葉を用いた日本語には「打診棒」があります。打診棒とは、コンクリートやモルタルなど塗装面が、下地から剥離しているのかを叩いて調査するための棒のことです。パルハンマーとも呼ばれています。
打診の類語
打診の類語・類義語としては、目上の人などに指示を仰ぐことを意味する「伺い」、そうであることをはっきり確かめることを意味する「確認」、医師が患者の体内で発生する音を聴き取り診断することを意味する「聴診」などがあります。
相談の意味
相談とは
相談とは、問題の解決のために話し合ったり、他人の意見を聞いたりすることを意味しています。
表現方法は「相談をする」「相談を受ける」「相談があります」
「相談をする」「相談を受ける」「相談があります」などが、相談を使った一般的な言い回しです。
相談の使い方
相談を使った分かりやすい例としては、「相談に乗っていただきありがとうございます」「友人の相談に乗ることが多い」「暮らしの相談窓口に電話をかける」「先生に英語留学について相談する」などがあります。
その他にも、「相談支援専門員の資格を取る」「障害者のための相談支援事業所を訪ねる」「相談支援従事者初任者研修に参加する」「父は取締役を退任し相談役となりました」「物は相談なんだけど、お金を貸してくれないか」などがあります。
相談という言葉の「相」とは双方が同じようなことをしあうさまを表し、「談」とは話すことや語ることを表します。相談とは、どうすれば良いかなどについて意見を述べ合ったり、何らかの議題について話し合うことを意味する言葉です。
「物は相談」の意味
上記の例文にある「物は相談」とは、人に頼み事や提案を持ちかける時の言葉です。何事もまずは相談してみよう、うまくことが運ぶかもしれないという気持ちで用いられています。
「相談役」の意味
相談という言葉を用いた日本語には「相談役」があります。相談役とは、会社の経営に関する事項について助言し、紛議の調停などにあたる役職のことです。その会社の社長や会長が退任した後に、名誉職として相談役に就くこともあります。
相談の対義語
相談の対義語・反対語としては、自分ひとりで物事を決断することを意味する「独断」、自分だけの考えで勝手に物事を決めて行うことを意味する「専断」などがあります。
相談の類語
相談の類語・類義語としては、前もって相談することを意味する「打ち合わせ」、ある話題について考えを交換し合うことを意味する「話し合い」、話し合うことを意味する「談合」、額をつきあわせて相談することを意味する「鳩首」、話し合いで決めることを意味する「示談」などがあります。
打診の例文
この言葉がよく使われる場面としては、交渉する際などに事前に相手の反応を伺うこと、身体表面をたたいた音や振動によって内部の様子を診断することを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の文中にある打診は、「相手の意向を確かめるために前もって様子をみること」の意味で使われています。例文5の文中にある打診は、身体表面を指先や打診器でたたき音で診察することの意味で使われています。
相談の例文
この言葉がよく使われる場面としては、どうするかを決めるために話し合うことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「法律相談」とは、弁護士や行政職員など法的な知識を有する者が一般市民に対して無料または有料法的助言などを提供する活動のことです。例文5の「相談支援専門員」とは、障害のある人や、その家族が必要な支援を適切に受けられるよう支援する専門職です。
打診と相談という言葉は、どちらもビジネスの調整や依頼の場で使われています。どちらの言葉を使うか迷った場合、相手の考えを探ることを表現したい時は「打診」を、問題の解決や物事を決めることを表現したい時は「相談」を使うようにしましょう。