同じ「きじく」という読み方の「基軸」と「機軸」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「基軸」と「機軸」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
基軸と機軸の違い
基軸と機軸の意味の違い
基軸と機軸の違いを分かりやすく言うと、基軸とは「物事の基準」の意味で用いられることが多く、機軸とは「物事の中心や方法」の意味で用いられることが多いという違いです。
基軸と機軸の使い方の違い
一つ目の基軸を使った分かりやすい例としては、「戦後から世界の基軸通貨は米ドルになっています」「基軸通貨の発行国は存在感が大きい」「人材育成に基軸を置くべきです」「本校は文武両道を基軸としています」などがあります。
二つ目の機軸を使った分かりやすい例としては、「スマートウォッチの新機軸を打ち出す」「車輪の中央に機軸があります」「特定の機軸方向を2つのパラメータで示す」「ジェンダー問題を機軸に論文を書く」などがあります。
基軸と機軸の使い分け方
基軸と機軸という言葉は、どちらも「きじく」と読み、「物事の中心」を意味します。上記例文にある「人材育成に基軸を置く」「ジェンダー問題を機軸に論文を書く」の基軸と機軸は、この意味で使用されているため、互いに置き換えても意味は変わりません。
さらに基軸という言葉には、「物事の基準や根本」という意味を持っています。機軸にはこの意味がないため、「基軸通貨」の基軸は、機軸という言葉に置き換えることはできません。
また、機軸には、「車輪などの心棒」「仕組みや方法」の意味があり、これらの意味で使用されている「車輪の中央に機軸がある」「スマートウォッチの新機軸」の機軸は、基軸という言葉に置き換えられません。
つまり、二つの言葉は意味が重なる部分がありますが、それぞれ異なる意味も持ちます。一般的には、基準は「物事の基準」で使用されることが多く、機軸は「物事の中心」「物事の仕組み」の意味で使用されることが多くなっています。
基軸と機軸の英語表記の違い
基軸を英語にすると「standard」「key」「basis」となり、例えば上記の「基軸通貨」を英語にすると「key currency」となります。一方、機軸を英語にすると「axis」「device」「contrivance」となり、例えば上記の「新機軸」を英語にすると「new device」となります。
基軸の意味
基軸とは
基軸とは、思想や組織などの根本・中心・基準となるものを意味しています。
基軸の読み方
基軸の読み方は「きじく」です。同じ読み方をする熟語に「機軸」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。
基軸の使い方
基軸を使った分かりやすい例としては、「高速道路は物流の基軸をなすものです」「現場に基軸を置く経営を目指しています」「義理と人情が私の人生の基軸です」「信念や価値観が基軸となっている」などがあります。
その他にも、「基軸通貨はポンドからドルに移り変わりました」「基軸通貨の歴史を振り返る」「自国の通貨が基軸通貨になるメリットは何ですか」「基軸通貨としてのドルの権威が崩壊するかもしれない」などがあります。
基軸の「基」は訓読みで「もと」と読み、物事の土台や根拠となるものを表し、「軸」は物事の中心や大切なところを表す漢字です。基軸とは、いろいろあるうちの中心として基本的な働きをするものを意味します。
「基軸通貨」の意味
基軸を用いた日本語には「基軸通貨」があります。基軸通貨とは、「基準通貨」とも呼ばれ、国際間の決済に広く用いられる通貨を意味します。歴史的には、1920年代まではイギリスのポンドが基軸通貨でしたが、第2次世界大戦後は完全に米ドルが基軸通貨となり現在に至っています。
基軸の対義語
基軸の対義語・反対語としては、さして重要ではない些細ささいなことを意味する「枝葉末節」などがあります。
基軸の類語
基軸の類語・類義語としては、判断や方法などのよりどころとなる大もとを意味する「基本」、物事の中心や核心を意味する「核」、物事の最も基本となるものを意味する「大本」、物事を成り立たせる大もとの部分を意味する「基礎」などがあります。
機軸の意味
機軸とは
機軸とは、機関や車輪などの心棒を意味しています。
その他にも、「物事の中心となるところ、活動の中心」「根本的な仕組み、構想、方法」「地球の自転の回転軸、地軸」の意味も持っています。
機軸の読み方
機軸の読み方は「きじく」です。同じ読み方をする熟語に「基軸」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意してください。
機軸の使い方
「航空機胴体を貫く機軸周りの回転を制御する」の文中で使われている機軸は「車輪などの心棒」の意味で、「政党を機軸にした政治が展開されている」の文中で使われている機軸は「物事の中心となるところ」の意味で使われています。
一方、「自閉症の子に機軸行動発達支援法を施す」などの文中で使われている機軸は「根本的な仕組み、方法」の意味で、「地球は機軸を中心として回転しています」などの文中で使われている機軸は「地球の自転の回転軸」の意味で使われています。
機軸とは、上記の例文にあるよう複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため文脈により意味を捉える必要があります。機軸の「機」は物事の大事なところや要を表し、「軸」は回転するものの中心となる棒を表す漢字です。
「新機軸」の意味
機軸を用いた表現には「新機軸」があります。新機軸とは、それまでのものとは違った新しい工夫や計画などを意味します。「新機軸を打ち出す」などの言い回しで、ビジネスシーンで使用される言葉です。
機軸の対義語
機軸の対義語・反対語としては、重要でない小さなことであるさまを意味する「瑣末」、取るに足らないさまを意味する「些細」、主要でない部分を意味する「枝葉」などがあります。
機軸の類語
機軸の類語・類義語としては、中心や重要な部分を意味する「中核」、物事の最も大切なところを意味する「枢機」、物事の中心部分を意味する「枢軸」、最も大切な部分や要点を意味する「要」、物事全体の中心となるものを意味する「柱」、物の中心を貫く軸を意味する「中軸」などがあります。
基軸の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、物事のもととなり中心となるところ、中軸を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、基軸の慣用的な言い回しには「基軸を置く」「基軸にした」「基軸として」などがあります。「基軸を置く」とは、主要なものと見なして取り扱うさまを意味します。
機軸の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、車輪や機関の軸、物事の中心になるところ、しくみや方法、地球の自転の中心となる軸を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある機軸は車輪の軸を意味し、例文2の機軸は物事の中心になるところを意味しています。例文3や例文4の機軸は方法の意味で、例文5の機軸は地軸の意味で用いられています。
基軸と機軸という言葉は、どちらも「きじく」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、物事の基準を表現したい時は「基軸」を、物事の中心や仕組みを表現したい時は「機軸」を使うようにしましょう。