似た意味を持つ「バリエーション」と「バリュエーション」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「バリエーション」と「バリュエーション」という言葉は、読み方が似ているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
バリエーションとバリュエーションの違い
バリエーションとバリュエーションの違いを分かりやすく言うと、バリエーションは種類を表現する時に使い、バリュエーションは評価を表現する時に使うという違いです。
一つ目のバリエーションを使った分かりやすい例としては、「カラーバリエーションが追加されたらどれを選ぶか迷う」「ランチのバリエーションが増えれば色々なものが食べれる」「表現力の求められるバリエーションは要練習だ」などがあります。
二つ目のバリュエーションを使った分かりやすい例としては、「妥当なバリュエーションだとは思うが価値は高めていきたいところだ」「バリュエーションが高すぎる場合は後が怖い」「バリュエーションの重要性は理解している」などがあります。
バリエーションとバリュエーションは、「リ」と「リュ」の部分以外は全く同じ読み方をしますが、意味は大きく異なります。
バリエーションは、物事の変化や変種を表します。その他にも、変奏曲を意味する言葉でもあり、これが転じて、上記例文の「表現力の求められるバリエーション」などのように「ソロの踊り」を意味するバレエ用語としても用いられています。
一方のバリュエーションは、評価や査定を表し、特に企業価値評価を表すビジネス用語として使われる言葉です。上記例文の「妥当なバリュエーション」「バリュエーションが高すぎる」「バリュエーションの重要性」などのように用いられています。
つまり、バリエーションは物事の変化や種類を表し、バリュエーションは評価や査定を表すという違いがあります。
バリエーションを英語にすると「variation」となり、例えば上記の「カラーバリエーション」を英語にすると「color variation」となります。
一方、バリュエーションを英語にすると「valuation」となり、例えば上記の「妥当なバリュエーション」を英語にすると「a reasonable valuation」となります。
バリエーションの意味
バリエーションとは、物事の変化や種類を意味しています。
バリエーションを使った分かりやすい例としては、「バリエーションに富んだラインナップと言える」「バリエーション豊かな遊び方に子どもたちも満足していた」「宿泊したホテルの朝食は100種以上ものバリエーションがあるビュッフェだった」などがあります。
その他にも、「カラーバリエーションの見本を見せてもらった」「バリエーションが増えることで飽きが来ない」「ネットショップの商品バリエーションが追加されていた」「バリエーションの一部は昨年度の復刻再販商品だ」などがあります。
バリエーションは英語で「変動」「変化」「変異」といった意味を持ちます。日本語でも同じように使われ、「ヴァリエーション」と表記されたり、「バリエ」と省略されることもあります。
上記例文の「バリエーションに富む」「バリエーション豊か」「100種以上ものバリエーション」などのように用いられ、変化そのものよりも、「変化したもの」「別の種類」を表す言葉として使われることが多くあります。
また、「カラーバリエーション」とは、異なる配色や、同製品の別の色、複数の色が用意されている製品ラインナップを指す言葉として使われており、「カラバリ」と省略して使われることもあります。
その他にも、一つの主題を様々な形に変化させて繰り返す曲である変奏曲を意味することもあり、これが転じて、ダンサーがそれぞれの技能を表現できる「ソロの踊り」を表すバレエ用語としても使われるようになります。
バリエーションの類語・類義語としては、変化があることや多様性を意味する「バラエティー」、技術や能力を発揮できる分野や種目を意味する「レパートリー」、普通の物とは異なる種類のものを意味する「変わり種」などがあります。
バリュエーションの意味
バリュエーションとは、評価額や査定額を意味しています。
バリュエーションを使った分かりやすい例としては、「事業のバリュエーションは適切に評価されない場合のリスクがある」「スタートアップのバリュエーションは高くても低くてもいけない」などがあります。
その他にも、「バリュエーションの計算方法について調べたら出てきた」「バリュエーション分析は基本的に専門家に任せる」「バリュエーションが低い場合は内部で反発が起きかねない」「バリュエーションをあえて低くしたいと思っている」などがあります。
バリュエーションは英語で「valuation」と表記され、「評価」「値踏み」「見積もり」といった意味を持ちます。日本語でも同じように使われますが、特に企業価値評価を指す言葉としても使われています。
バリュエーションを含む言葉に「エバリュエーション」があります。この言葉も「評価」「算定」といった意味を持ちますが、バリュエーションとは異なり、「事後評価」という意味も持つ点が若干異なります。
バリュエーションの方法は、企業の純資産から計算する「コストアプローチ」、企業の将来の利益見込みから計算する「インカムアプローチ」、市場価格から評価を行う「マーケットアプローチ」の三つに分かれています。
上記例文の「バリュエーションが高い」とは、これら評価が高いことを示しますが、短期間で急成長するスタートアップ企業はバリュエーションが高すぎると、更なる投資が見込めなくなる、投資者に過度な期待を抱かせるなどのデメリットも発生します。
バリュエーションの対義語・反対語としては、価値を引き下げることや平価切下げを意味する「デバリュエーション」があります。
バリュエーションの類語・類義語としては、査定や事前評価を意味する「アセスメント」、段階や等級による格付けを意味する「レーティング」、その物や事柄がもっている価値を意味する「値打ち」などがあります。
バリエーションの例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の変化や種類を意味する時などが挙げられます。
例文4や5のように、ソロの踊りを表すバレエ用語として使われることもあります。
バリュエーションの例文
この言葉がよく使われる場面としては、評価額や査定額を意味する時などが挙げられます。
例文1の「バリュエーションは高い」や、例文3の「低いバリュエーション」などのように用いられますが、「豊富」「豊か」などの語を伴うことはなく、「バリュエーションが豊富」といった表現は誤りです。
例文4や5の「バリュエーションを行う」のように、「評価すること」を意味する動詞として用いられることもあります。
バリエーションとバリュエーションは、読み方が似ています。どちらを使うか迷った場合は、種類を表す場合は「バリエーション」を、評価を表す場合は「バリュエーション」を使うと覚えておけば間違いありません。