似た意味を持つ「忠告」(読み方:ちゅうこく)と「警告」(読み方:けいこく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「忠告」と「警告」という言葉は、どちらも「説き勧めること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
忠告と警告の違い
忠告と警告の意味の違い
忠告と警告の違いを分かりやすく言うと、忠告とは相手を思いやって諭すことを表し、警告とは悪い事態にならないよう前もって注意することを表すという違いです。
忠告と警告の使い方の違い
一つ目の忠告を使った分かりやすい例としては、「同じ過ちを繰り返さないよう忠告する」「兄は母親の忠告に従おうとしない」「他人の忠告を素直に受け入れられません」「私の忠告はあまり役に立たなかったようだ」などがあります。
二つ目の警告を使った分かりやすい例としては、「警察官は警告なしで拳銃を発砲した」「警告色の代表格は黄色です」「この製品には警告ラベルが貼られています」「弁護士から警告文を送付してもらう」などがあります。
忠告と警告の使い分け方
忠告と警告という言葉は、どちらも説明して相手にある行動をとらせたり辞めさせたりすることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
忠告とは、真心をもって相手の過ちや欠点などを指摘して諭すことを意味し、個人的な事柄に用いられることが多い言葉です。相手のためを思ってミスや短所などを改めるように言うことですが、それに従うかどうか選択の余地がある言葉です。
警告とは、悪い事態にならないように、前もって相手を注意することを意味します。家電製品に書かれている「警告表示」とは、取り扱いを誤った場合に使用者が死亡または重傷を負うことが想定される危害の程度を表しています。
つまり、忠告とは相手を思いやって諭すことであり、警告とは悪い事態にならないよう前もって注意することを意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
忠告と警告の英語表記の違い
忠告を英語にすると「advise」「counsel」「recommendation」となり、例えば上記の「忠告する」を英語にすると「give out advice」となります。
一方、警告を英語にすると「warning」「admonition」「caution」となり、例えば上記の「警告なしで」を英語にすると「without giving a warning」となります。
忠告の意味
忠告とは
忠告とは、真心をこめて相手の欠点や過ちを、戒め諭すことを意味しています。
忠告の読み方
忠告の読み方は「ちゅうこく」です。誤って「ちゅうごく」「ちょうこく」などと読まないようにしましょう。また、「注告」と書くことは誤りなので注意してください。
表現方法は「忠告する」「忠告ありがとう」
「忠告する」「忠告ありがとう」などが、忠告を使った一般的な言い回しです。
忠告の使い方
忠告を使った分かりやすい例としては、「英語の先生の忠告に従って勉強しています」「お金の使い方について忠告されました」「ご忠告ありがとうございます」「忠告を聞かない人は成長できないでしょう」などがあります。
その他にも、「部活の先輩から忠告を受ける」「忠告を聞かないで悪い結果を招いてしまった」「医者の忠告を無視するなんて理解できません」「言いづらいことだけど彼女のために忠告することにした」などがあります。
忠告の「忠」は訓読みで「まごころ」と読み、誠意を尽くすことを表し、「告」は訓読みで「つげる」と読み、言葉などで伝え知らせることを表します。これらの漢字が組み合わさり、忠告とは、真心をもって、相手の悪い所や間違いなどを指摘して直すように勧めることを意味します。
忠告という言葉は、小さな過ちや欠点などを指摘し、それをやめさせたり直したりするように勧めるものです。その勧めに従うかどうかの判断は当人にまかせるというニュアンスがあり、選択の余地があります。
忠告の対義語
忠告の対義語・反対語としては、あることを目にしていながら放っておくことを意味する「看過」などがあります。
忠告の類語
忠告の類語・類義語としては、助けになるような意見や言葉を言ってやることを意味する「助言」、ある行動をとるように説きすすめることを意味する「勧告」、口頭でさとし告げることを意味する「諭告」、忠告や助言をすることを意味する「アドバイス」などがあります。
警告の意味
警告とは
警告とは、よくない事態が生じそうなので気をつけるよう、告げ知らせることを意味しています。
その他にも、「柔道の反則で、技ありと同等となるもの、禁止事項を犯したり注意が二度目の場合に主審が宣告するもの」の意味も持っています。
表現方法は「警告する」「警告メッセージ」
「警告する」「警告メッセージ」などが、警告を使った一般的な言い回しです。
警告の使い方
「車の警告灯の使い方を知っていますか」「警告灯の種類を確認してください」「センシティブな内容の警告が出ている」「警告マークは世界共通です」などの文中で使われている警告は、「気をつけるように告げ知らせること」の意味で使われています。
一方、「主審によるコーチへの警告がありました」「警告は比較的重い反則判定です」「試合開始直後に警告を取られた」などの文中で使われている警告は、「柔道の反則で、技ありと同等となるもの」の意味で使われています。
警告の「警」は訓読みで「いましめる」と読み、注意を与えて身を引き締めさせることや非常事態に備えることを表す漢字です。告げ知らせることを表す「告」と結び付き、警告とは、好ましくない事態にならないように前もって告げ知らせる注意を意味します。
「警告灯」の意味
警告を用いた日本語には「警告灯」があります。警告灯とは、自動車のメーター付近に表示されるもので、車の異常や故障あるいはドライバーの操作不備などを知らせる場合に点灯します。国際規格で色や記号が定められており、警告灯の色は緊急度を示しています。
警告の対義語
警告の対義語・反対語としては、咎めるはずのことをわざと見逃すことを意味する「目こぼし」などがあります。
警告の類語
警告の類語・類義語としては、気をつけるように傍らから言うこを意味する「注意」、教え告げることを意味する「訓告」、いさめて思いとどまらせることを意味する「諫止」、警告を発して人の迷いをさますことを意味する「警醒」などがあります。
忠告の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、真心をもって他人の過失や欠点を指摘して戒めること、忠言を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、忠告という言葉は、ビジネスシーンよりも日常会話で使用されることが多くあります。
警告の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、前もって告げ知らせる注意を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「警告音」とは、注意を促すために鳴る音であり、車の警告音はセキュリティセンサーが異常を検知した場合に、犯罪者をけん制するため大音量で警告音が鳴り響きます。
忠告と警告という言葉は、どちらも「説き勧めること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、相手を思いやって諭すことを表現したい時は「忠告」を、悪い事態にならないよう前もって戒めることを表現したい時は「警告」を使うようにしましょう。