【後任】と【後釜】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「後任」(読み方:こうにん)と「後釜」(読み方:あとがま)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「後任」と「後釜」という言葉は、どちらも「前の人に代わってその地位に就くこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




後任と後釜の違い

後任と後釜の意味の違い

後任と後釜の違いを分かりやすく言うと、後任とは前の人に代わってその地位に就くことのみを表し、後釜とは前の人に代わってその地位に就くことだけでなく後妻も表すという違いです。

後任と後釜の使い方の違い

一つ目の後任を使った分かりやすい例としては、「私は彼女の後任として雇われました」「後任者へ引き継ぎを行う」「来週、後任の者とご挨拶に伺います」「後任が見つからないので辞められません」などがあります。

二つ目の後釜を使った分かりやすい例としては、「事業部長の後釜に座るのはだれだろう」「英語の先生の後釜が見つかりません」「父の財産を後釜に半分も取られるのは許せない」「後釜の子どもに相続権はありますか」などがあります。

後任と後釜の使い分け方

後任と後釜という言葉は、どちらも「前の人に代わってその地位や任務に就くこと」を意味します。この意味で用いられている「彼女の後任」「部長の後釜」の後任と後釜は、互いに置き換えても意味は変わりません。

さらに、後釜という言葉は、妻と死別もしくは離別した男がそのあとで結婚した妻、すなわち後妻の意味も持っています。この意味は後任にはないため、「財産を後釜に取られる」「後釜の子ども」の後釜は、後任という言葉に置き換えることはできません。

また、後釜は「後釜を狙う」などの言い回しで、文脈によっては悪い意味で使用されることがあります。これらが、後任と後釜という言葉の明確な違いになります。

後任と後釜の英語表記の違い

後任も後釜も英語にすると「successor」「replacement」となり、例えば上記の「彼女の後任として」を英語にすると「as her successor」となります。

後任の意味

後任とは

後任とは、前の人に代わって任務に就くことを意味しています。

後任の読み方

後任の読み方は「こうにん」です。同じ読み方をする熟語に「降任」や「公認」などがありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。

表現方法は「後任を務める」「後任を立てる」

「後任を務める」「後任を立てる」などが、後任を使った一般的な言い回しです。

後任の使い方

後任を使った分かりやすい例としては、「社長の後任には副社長が就任するようです」「メールで簡単に後任の紹介をしました」「後任者は英語が得意だそうです」「後任の挨拶をメールで受け取りました」などがあります。

その他にも、「すでに後任選びに着手しています」「監督の後任候補をリストアップしています」「後任はまだ決まっていません」「後任の覚えが悪くて困っています」「後任者への引継ぎのタイミングを見計らっています」などがあります。

後任の「後」は訓読みで「あと」と読み、時間的あるいは空間的にうしろの方であることを表します。引き受けた役目を表す「任」と組み合わさり、後任とは、前の人に代わって任務や地位に就くことを意味します。

後任はビジネスシーンで使う言葉

後任という言葉は、基本的にビジネスシーンで使用され、会社の人事異動や担当者の変更を表します。前の人に代わってその任に就く人のことを「後任者」と言い、反対に以前にその任務についていた人を「前任者」と呼びます。

後任の対義語

後任の対義語・反対語としては、以前にその任務に就いていたことを意味する「前任」などがあります。

後任の類語

後任の類語・類義語としては、前任者などから事業や地位などを引き継ぐことを意味する「後継ぎ」、先代の地位を継ぐことを意味する「跡目」、受け継ぐ人や後継者を意味する「継承者」などがあります。

後釜の意味

後釜とは

後釜とは、前の人に代わって、その地位に就く人、後任者を意味しています。

その他にも「のち添いの妻、後妻」の意味も持っています。

後釜の読み方

後釜の読み方は「あとがま」です。誤って「こうふ」などと読まないようにしましょう。

表現方法は「後釜になる」「後釜に座る」

「後釜になる」「後釜に座る」などが、後釜を使った一般的な言い回しです。

後釜の使い方

「息のかかった後輩を自分の後釜に据える」「彼の後釜に誘われるなんて失礼な話です」「このビジネスの後釜を狙うマフィアが暗躍している」などの文中で使われている後釜は、「後任者」の意味で使われています。

一方、「ようやく後釜を迎えることができました」「財産はすべて後釜のものになるだろう」「先妻の子と後釜の子の遺産相続はどうなりますか」などの文中で使われている後釜は、「後妻」の意味で使われています。

後釜とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。後釜の「後」は時間的にそれよりあとを表し、「釜」は煮たきに使う金属製の器を表す漢字です。

後釜の語源

後釜という言葉の語源は、かまどに前の人が起こした火が残っているうちに、次の釜をかけることに由来します。江戸時代からある俗語ですが、現代では、次の釜に交換する様子を人の交代にかけて使用されています。

後釜の対義語

後釜の対義語・反対語としては、先にその任務や地位に就いていることを意味する「先任」などがあります。

後釜の類語

後釜の類語・類義語としては、前任者に続いてその地位に就くことを意味する「跡継ぎ」、家督や家業などを継ぐ人を意味する「継ぎ手」、事業や地位、財産などを受け継ぐ人を意味する「後継者」などがあります。

後任の例文と使い方

1.担当者が病気療養のため長期休暇に入ったので、後任を立てることにしました。
2.人気アナウンサーの後任を務めるとは、さぞかしプレッシャーがあることだろう。
3.産休に入る英語教師の後任は誰か、生徒のあいだで話題になっています。
4.着任早々、後任者は取引先や顧客への担当変更の挨拶をメールで送っていました。
5.後任者の挨拶まわりが落ち着いてから、社内システムの使い方を教えることにしました。

この言葉がよく使われる場面としては、前の人を受け継いで任務につく人を表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、後任の慣用的な言い回しには「後任を立てる」「後任を務める」「後任者」などがあります。

後釜の例文と使い方

1.彼は我が子を後釜に据えるべく、自分が引退して地位を譲ろうとした。
2.社長は、これまでのビジネス戦略を踏襲してくれる後釜を探しているようだ。
3.課長の後釜はいい意味で放任主義なので、仕事がやりやすくなりました。
4.一人娘がバツイチ男性の後釜になるつもりなので、親として心配しています。
5.妻を亡くした資産家の老人の周りには、恋愛感情ぬきで後釜を狙う女性がたくさんいるようです。

この言葉がよく使われる場面としては、やめた人に代わって就く地位、後妻を表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文3の後釜は、やめた人に代わって就く地位の意味で用いられています。例文4や例文5の後釜は、後妻を意味しています。

後任と後釜という言葉は、どちらも「前の人に代わってその地位に就くこと」を意味します。さらに後釜という言葉には、「後妻」の意味もあることを覚えておきましょう。

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