似た意味を持つ「納品」(読み方:のうひん)と「納入」(読み方:のうにゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「納品」と「納入」という言葉は、どちらも「納めること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
納品と納入の違い
納品と納入の意味の違い
納品と納入の違いを分かりやすく言うと、納品とは品物にしか使えない、納入とは品物だけでなく金銭にも使えるという違いです。
納品と納入の使い方の違い
一つ目の納品を使った分かりやすい例としては、「インボイスとして納品書を発行する」「納品書の保管期間は何年ですか」「納品書の書き方を教えてもらえますか」「納品の遅れによりご迷惑をおかけしております」などがあります。
二つ目の納入を使った分かりやすい例としては、「納入品リストを作成して管理する」「発注した航空機の納入が遅れています」「納入先の住所を登録する」「保育料の納入義務者は子どもの保護者です」などがあります。
納品と納入の使い分け方
納品と納入という言葉は、どちらも渡すべき金銭や物品などを受け取る側に渡すことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
納品とは、渡すべき品物や商品などを、受け取るべき人や受け取るべき場所などへ渡すことを意味します。おもに売買契約に関するビジネスシーンで使用される言葉です。商品やサービスを取引先に納品する際に発行する書類を「納品書」と言います。
納入とは、渡すべき金銭や品物を、受け取るべき人や受け取るべき場所などへ渡すことを意味します。「飛行機の納入」のような使い方で物品に対して使うことも、「保育料の納入義務者」のような使い方で金銭に対して使うこともできる言葉です。
つまり、納品とは物品にのみ使える言葉であり、金銭に使用することはできません。一方の金銭とは、物品だけでなく金銭にも用いることができる言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
納品と納入の英語表記の違い
納品を英語にすると「delivery of goods」「delivered goods」となり、例えば上記の「納品書」を英語にすると「a statement of delivery」となります。
一方、納入を英語にすると「payment」「delivery」「supply」となり、例えば上記の「納入品」を英語にすると「goods for supply」となります。
納品の意味
納品とは
納品とは、品物を納入すること、その品物を意味しています。
納品の使い方
納品を使った分かりやすい例としては、「納品物と納品書を同時に送付する」「ビジネス英語のテキストを納品する」「納品日は商品を受け取った日付です」「発注書を受け取ったら納品書を用意しましょう」などがあります。
その他にも、「納品書は領収書の代わりになりません」「納品のお礼メールを送りました」「納品書のテンプレートをエクセルで作成する」「納品書によるインボイス対応についてご説明いたします」などがあります。
納品の「納」は訓読みで「おさめる」と読み、渡すべき金や物を受け取る側に渡すことを表します。品物や商品を表す「品」と結び付き、納品とは、注文を受けた商品を発注元まで納入することを意味します。ビジネスシーンで使用される言葉です。
「納品書」の意味
納品を用いた日本語には「納品書」があります。納品書とは、商品を届けたりサービスを提供したりする際に、その明細を記載して購入者に渡す書類のことです。インボイス制度において、要件を満たした納品書は適格請求書として活用できます。
納品の対義語
納品の対義語・反対語としては、物や金を受け取ることを意味する「受領」、いったん仕入れた品物を返すことを意味する「返品」などがあります。
納品の類語
納品の類語・類義語としては、物で小作料や租税などを納めることを意味する「物納」、納めるべきものをすべて納めることを意味する「全納」、期限の前に納めることを意味する「前納」、商品などを指定された宛先へ届けることを意味する「配達」などがあります。
納入の意味
納入とは
納入とは、品物や金銭を納めることを意味しています。
納入の使い方
納入を使った分かりやすい例としては、「納入日変更のお知らせをメールで送る」「英語の教材の代金を納入しました」「市場ニーズや相場を考慮して納入価格を決定する」「納入仕様書を英語に翻訳する」などがあります。
その他にも、「使用水量に応じた料金の納入通知書を送付します」「一部製品の納入仕様書を公開しております」「納入告知書による納付方法を教えてください」「納入済通知書に必要事項を記載してください」などがあります。
納入とは、金銭や物品などを受け取るべき人や、受け取るべき場所などへ渡すことを意味します。納入の「納」は支払うことや差し出すことを表し、「入」は外側にあるものを内側の場所に移すことを表す漢字です。
「納入通知書」の意味
納入を用いた日本語には「納入通知書」があります。納入通知書とは、自治体が歳入を収入するときに、納入義務者に対して納入すべき金額や納期限また納入の請求事由等を通知する受領書のことです。自治体によっては、ふるさと納税の受付を納入通知書で行っていることがあります。
納入の対義語
納入の対義語・反対語としては、金銭などを取り立てることを意味する「徴収」などがあります。
納入の類語
納入の類語・類義語としては、官公庁などの公的機関に金品を納めることを意味する「納付」、金銭を納めることやその金銭を意味する「納金」、金銭を払い込むことを意味する「入金」、何回かに分けて納めることを意味する「分納」、前もって納めることを意味する「予納」などがあります。
納品の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、売買契約において商品を納める行為を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「電子納品」とは、文書・図面・写真・資料などを電子データで納品することを意味します。電子データには標準規格CALS/ECが用いられています。
納入の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、金品を納め入れることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「特別徴収納入書」とは、給与所得者に対する市民税や県民税を毎月の給与から差し引きし、納入するための用紙です。例文5の「納入仕様書」とは、納入する製品が、どんな仕様で作られたものであるかを知らせる書類を意味します。
納品と納入という言葉は、どちらも「納めること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、品物を納めることを表現したい時は「納品」を、金銭や品物を納めることを表現したい時は「納入」を使うようにしましょう。