【一部】と【一分】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「いちぶ」という読み方の「一部」と「一分」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「一部」と「一分」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。




一部と一分の違い

一部と一分の意味の違い

一部と一分の違いを分かりやすく言うと、一部とは全体の中のある部分や書籍の一冊を表し、一分とは単位やごくわずかであることを表すという違いです。

一部と一分の使い方の違い

一つ目の一部を使った分かりやすい例としては、「家賃の一部を経費として計上しています」「内輪ネタは一部の人にしかウケない」「一部のicloudデータは同期していません」「車載カメラが事件の一部始終をとらえていた」などがあります。

二つ目の一分を使った分かりやすい例としては、「一分一厘のミスが致命傷になります」「一分は約何ミリかご存知でしょうか」「スランプのバッターは打率一割一分八厘で苦しんでいる」「慶長の一分は大変珍しく価値があります」などがあります。

一部と一分の使い分け方

一部と一分という言葉は、どちらも「いちぶ」と読みますが、意味や使い方には大きな違いがあります。

一部とは、「家賃の一部」「一部の人」のような使い方で、全体の中のある部分やある一箇所を意味し、全体をいくつかに分けた一つを表します。また、「英語のテキストを一部ずつ配布」のような使い方で、書物などのひとまとまりや一冊を指す言葉です。

一分とは、「一分は何ミリ」「打率一割一分」のような使い方で、単位や十分の一を表す言葉です。長さの単位である一分は3.03ミリを意味します。また、「一分のミス」「一分の隙」のような使い方で、ごくわずかであることのたとえとしても用いられています。

つまり、一部とは全体の中のある部分や書物の一冊を意味し、一分とは単位やほんの少しであることを意味します。二つの言葉は同じ読み方をしますが、意味が全く違う同音異義語なので互いに置き換えて使うことはできません。

一部と一分の英語表記の違い

一部を英語にすると「part」「portion」「section」となり、例えば上記の「家賃の一部」を英語にすると「a part of the rent」となります。

一方、一分を英語にすると「one tenth」「one percent 」「slight」となり、例えば上記の「一分一厘のミス」を英語にすると「slight error」となります。

一部の意味

一部とは

一部とは、全体の中のある部分、一部分を意味しています。

その他にも、「書物や新聞などのひとまとまり、ひとそろい、また、書物の一冊」「高校・大学などで、夜間部をさす二部に対して昼間部のこと」の意味も持っています。

一部の使い方

「英語のプリントの一部が差し換えになりました」「一部の設定は組織によって管理されています」「一部事務組合は法人格が認められています」「アンケートより一部抜粋しております」の文中で使われている一部は、「全体の中のある部分」の意味で使われています。

一方、「リーフレットを一部から印刷します」「資料を一部ずつ配る」の文中で使われている一部は「書物などのひとまとまり」の意味で、「二部学生は一部学生と同様に高い就職実績を挙げています」の文中で使われている一部は「大学などで昼間部のこと」の意味で使われています。

一部とは、上記の例文にあるように三つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。一部の「一」はある一つ、ひとまとまりを表し、「部」は全体をいくつかの範囲に分けたうちの一つを表す漢字です。

「一部上場企業」の意味

一部を用いた日本語には「一部上場企業」があります。一部上場企業とは、日本の株式市場の一つである東京証券取引所の市場第一部において、株式の取引をしている企業を意味します。企業が東証一部に上場するメリットは、社会的信用が向上することや資金が調達しやすいことなどが挙げられます。

一部の対義語

一部の対義語・反対語としては、ある物事のすべてや全冊を意味する「全部」などがあります。

一部の類語

一部の類語・類義語としては、全体をいくつかに分けたものの一つを意味する「部分」、わずかな部分や全体の中のある部分を意味する「一部分」、全体の中のある限られた部分を意味する「局所」全体の中の限られた一部分を意味する「局部」などがあります。

一分の意味

一分とは

一分とは、重さ・長さや割合などの単位を意味しています。

その他にも、「ごくわずかであることのたとえ」「一分金および一分銀の略」の意味も持っています。

一分の読み方

一分の読み方は「いちぶ」の他に「いちぶん」「いっぷん」の三通りあり、読み方によって意味が異なるので注意してください。

一分の使い方

「長さ二尺一寸一分の掛け軸が我が家の家宝です」 「一分はメートル法に換算すると何センチですか」「のび太の打率はたったの一分らしい」などの文中で使われている一分は、「重さや割合などの単位」の意味で使われています。

一方、「英語の先生は一分の隙も見せません」「一分一厘の違いを敏感に感じ取る」の文中で使われている一分は「ごくわずかであること」の意味で、「一分の買取相場価格をチェックする」「この一分は偽物かもしれない」の文中で使われている一分は「一分金や一分銀の略」の意味で使われています。

一分とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断しなくてはいけません。一分の「一」はあるひとつや少しを表し、「分」はあるものを幾等分かした一つや単位を表す漢字です。

「一分一厘」の意味

一分を用いた日本語には「一分一厘」があります。一分一厘とは、ごくわずかであることのたとえとして使用されている四字熟語です。「一分一厘の狂いもない」のような使い方で、多くは打消しの語を伴って用いられています。

一分の対義語

一分の対義語・反対語としては、満ち足りて不足のないさまを意味する「十分」などがあります。

一分の類語

一分の類語・類義語としては、歩合の単位で10分の1を意味する「割」、1割の100分の1を意味する「厘」、ごくわずかであることを意味する「一縷」、非常に少ないさまを意味する「寡少」、ほんの少しやごくわずかであることのたとえを意味する「一分一厘」などがあります。

一部の例文と使い方

1.もはや英語は、一部の人のためのコミュニケーションツールではありません。
2.今年度より、英語の検定試験は一部新たな形式での出題が加えられました。
3.一括または一部繰上返済のシミュレーションは、どのくらい正確なのでしょうか。
4.パンフレットは数種類ご用意しておりますが、郵送は各パンフレット一部ずつとなります。
5.第二部から第一部への転部は可能ですが、試験や取得単位数などの一定の要件があります。

この言葉がよく使われる場面としては、全体の中の半分より少ないような部分、書物の数え方、ひとそろい、一冊、大学で夜間部に対する昼の部を表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文3の一部は、全体の中のある部分の意味で用いられています。例文4の一部は書籍の一冊、例文5の一部は大学における昼の部を表しています。。

一分の例文と使い方

1.一尺は30.3センチで一寸は3.03センチですが、さて一分は何センチでしょう。
2.注目の日本人メジャーリーガーは、打率三割一分八厘と調子を取り戻しています。
3.一分一厘の狂いもなく精巧に作られた三味線は、美しい音色を奏でることができます。
4.今年の桜の開花は遅く、三月末でもまだ一分咲きといった感じでした。
5.メルカリで状態の良い甲州一分を購入することができたので、とても嬉しいです。

この言葉がよく使われる場面としては、重さや長さの単位、全体の十分の一、一割の十分の一、ごくわずかであること、一分金や一分銀の略を表現したい時などが挙げられます。

例文5にある一分は「一分金」のことであり、甲州一分金は武田信玄の甲斐国で、戦国時代から江戸時代末期まで流通していた金銭です。

一部と一分という言葉は、どちらも「いちぶ」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、全体のうちのある部分や書物の一冊を表現したい時は「一部」を、単位やごくわずかであることを表現したい時は「一分」を使うようにしましょう。

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