似た意味を持つ「最後」(読み方:さいご)と「最終」(読み方:さいしゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「最後」と「最終」という言葉は、どちらも「物事の最も終わり」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
最後と最終の違い
最後と最終の意味の違い
最後と最終の違いを分かりやすく言うと、最後とはあらゆる物事の最も終わりを表し、最終とは繰り返す物事の最も終わりを表すという違いです。
最後と最終の使い方の違い
一つ目の最後を使った分かりやすい例としては、「高校生最後の夏は部活に明け暮れていました」「今大会最後のレースは雨のなか行われました」「ミケランジェロの最後の審判はどこにありますか」「ほとんどの人は病院で最後を迎えます」などがあります。
二つ目の最終を使った分かりやすい例としては、「公務員試験の最終面接で聞かれることは何ですか」「戦艦ヤマトは日本海軍の最終兵器でした」「大学を中退したら最終学歴は高校卒業です」「ぎりぎり電車の最終に間に合いました」などがあります。
最後と最終の使い分け方
最後と最終という言葉は、どちらも最も終わりであることや一番終わりであるさまを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
最後とは、物事の一番終わりや終末を意味します。「最後の力を振り絞る」のような使い方で、もうこれ以上はないことを表す言葉です。また、「最後を迎える」のような使い方で、命の終わる間際も意味します。
最終とは、最も終わりであることを意味し、定期的に繰り返される物事の一番後ろを表すことが多い言葉です。「最終便」とは、鉄道や路線バスなど定期運行を行う公共交通機関の当日最終の便のことです。
つまり、最後とはあらゆる物事の一番終わりを指し、最終とは定期的に繰り返す物事の一番終わりを指す言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
最後と最終の英語表記の違い
最後も最終も英語にすると「the last」「the end」「final」となり、例えば上記の「最後の夏」を英語にすると「the last summer」となります
最後の意味
最後とは
最後とは、物事の一番あと、または後ろ、一番終わり、最終を意味しています。
その他にも、「それで終わりで、あとはどうにもならないこと」「最期」の意味も持っています。
表現方法は「最後の最後」「これが最後」
「最後の最後」「これが最後」などが、最後を使った一般的な言い回しです。
最後の使い方
「旅先で最後に見た街が印象に残りました」「転勤する先生の最後の授業で花束を贈りました」「リタイアせずに最後まで行くつもりですです」などの文中で使われている最後は、「物事の一番あとや後ろ、一番終わり」の意味で使われています。
一方、「契約したら最後、解約できませんよ」「食べ出したら最後、止まらない美味しさです」などの文中で使われている最後は「それで終わり」の意味で、「父は最後まで立派な人でした」「ペットの最後を家族で看取る」などの文中で使われている最後は「最期」の意味で使われています。
最後とは、上記の例文にあるよう複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。最後の「最」は訓読みで「もっとも」と読み、程度が他のどれよりもまさることを表し、「後」は空間的あるいは時間的にあとであることを表します。
「最後の晩餐」の意味
最後を用いた日本語には「最後の晩餐」があります。最後の晩餐とは、イエス・キリストが十字架につけられる前の晩に12人の弟子たちとともに行った晩餐のことです。古くから多くの美術作品に描かれ、レオナルド・ダ・ビンチのテンペラ画は特に有名です。
最後の対義語
最後の対義語・反対語としては、一番はじめであることを意味する「最初」などがあります。
最後の類語
最後の類語・類義語としては、最後の締めくくりを意味する「結末」、長くつながっているものなどのいちばん後ろを意味する「最後尾」、物事の最後や果てを意味する「終極」、最後や最終を意味する「ラスト」などがあります。
最終の意味
最終とは
最終とは、最も終わりであること、一番終わりを意味しています。
その他にも「その日、最後に運行されるバス・電車・汽車・飛行機など」の意味も持っています。
最終の読み方
最終の読み方は「さいしゅう」です。同じ読み方をする熟語に「採集」や「採収」などがありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。
最終の使い方
「最終面接では逆質問をしましょう」「清の最終皇帝の生涯は映画になりました」「そろそろ最終回発情期に入るだろう」「楽しみにしていたアニメが終わって最終回症候群になっています」などの文中で使われている最終は、「いちばん終わり」の意味で使われています。
一方、「バスの最終便に乗り込む」「最終電車を逃して野宿しました」「最終の新幹線で新大阪まで行きました」などの文中で使われている最終は、「その日、最後に運行されるバスや電車など」の意味で使われています。
最終とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。最終の「終」は訓読みで「おわり」と読み、物事が終わることや終わろうとするところを表す漢字です。
「最終回発情期」の意味
上記例文にある「最終回発情期」とは、最終回近くになると急にカップルが登場しだす現象のことです。元ネタは漫画「銀魂」のセリフであり、最終回発情期の読み方は「さいしゅうかいはつじょうき」ではなく「ファイナルファンタジー」と読みます。このワードはインターネットで流行しました。
最終の対義語
最終の対義語・反対語としては、物事の一番初めを意味する「最初」などがあります。
最終の類語
最終の類語・類義語としては、物事が最後に行きつくところを意味する「終末」、物事の終わりの部分や最後を意味する「終い」、物事がすっかりおわることを意味する「終了」、物事が終わることや決着がつくことを意味する「終結」、物事の終わりを意味する「エンディング」などがあります。
最後の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事のいちばん終わり、それをしたらそれですべて終わり、命の終わる時期を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「最後の最後」とは、物事の終わりを意味する「最後」をさらに強調した表現です。「とどのつまり」「詰まるところ」などと言い換えることができます。
最終の例文
この言葉がよく使われる場面としては、最も終わりであること、その日最後の運転系統を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「最終的」とは、最後の状態であることを意味し、全て終わった時点でのことに言及する際の表現です。例文4の「最終回」とは、反復して行われた物事の最後の回を意味します。
最後と最終という言葉は、どちらも「物事の一番終わり」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、あらゆる物事の一番終わりを表現したい時は「最後」を、繰り返される物事の一番終わりを表現したい時は「最終」を使うようにしましょう。