似た意味を持つ「雄々しい」(読み方:おおしい)と「猛々しい」(読み方:たけだけしい)と「女々しい」(読み方:めめしい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「雄々しい」と「猛々しい」と「女々しい」という言葉は、人の雰囲気や性質を表すという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「雄々しい」と「猛々しい」と「女々しい」の違い
「雄々しい」と「猛々しい」と「女々しい」の意味の違い
「雄々しい」と「猛々しい」と「女々しい」の違いを分かりやすく言うと、「雄々しい」は勇ましい様子を表現する時に使い、「猛々しい」は図々しい様子を表現する時に使い、「女々しい」は弱々しい様子を表現する時に使うという違いです。
「雄々しい」と「猛々しい」と「女々しい」の使い方の違い
「雄々しい」という言葉は、「彼の雄々しい姿にはファンも熱狂した」「雄々しい山々の写真が飾られている」などの使い方で、男らしくて勇ましい様子を意味します。
「猛々しい」という言葉は、「太鼓の音が非常に猛々しい」「繊細さと猛々しさが同時に成立する風景に心を打たれる」などの使い方で、勇ましい様子や凛々しい様子を意味します。
「女々しい」という言葉は、「幼馴染の女々しさに嫌気が差してきた」「彼は女々しいと言われているが自分の意見は持っている」などの使い方で、態度や気性が弱々しくしっかりしていない様子を意味します。
「雄々しい」と「猛々しい」と「女々しい」の使い分け方
「雄々しい」と「猛々しい」はどちらも勇ましい様子を意味する言葉ですが、前者は凛々しい様子を表し、後者は「盗人猛々しい」などの使い方で図々しい様子を表すため、付与される印象が大きく変わります。
一方、「女々しい」という言葉は、気が弱い様子を意味する言葉で、「雄々しい」の対義語に当たる言葉で対象にマイナスイメージを与えます。
これが、「雄々しい」、「猛々しい」、「女々しい」の明確な違いです。
「雄々しい」の意味
「雄々しい」とは
「雄々しい」とは、男らしく勇ましい様子を意味しています。
「雄々しい」の読み方
「雄々しい」は「男々しい」や「男男しい」とも書き、どちらも「おおしい」と読みます。「ゆうゆうしい」「おすおすしい」など他の読み方はしません。
表現方法は「雄々しい男」「雄々しい人」「雄々しい女」
「雄々しい男」「雄々しい人」「雄々しい女」などが、「雄々しい」を使った一般的な言い回しです。
「雄々しい」は山などの風景や絵画にも使う
人や動物などに使うことで勇ましい様子を意味しますが、山などの風景や絵画の画風などに対しても使うことができます。その際は、勇ましいだけではなく、凛々しさや力強さを表します。
そのため、人間であれば男性に使われることが多い言葉ではありますが、危険や困難などを恐れない様子、果敢に立ち向かう様子であれば、女性に使われることもある言葉です。
「雄々しい」の類語
「雄々しい」の類語・類義語としては、男性の持つべきと考えられている特質を備えていることを意味する「男らしい」、きりっと引き締まっていることを意味する「凛々しい」、度胸があって恐れを知らないことを意味する「大胆不敵」などがあります。
「猛々しい」の意味
「猛々しい」とは
「猛々しい」とは、勇ましくて強そうな様子を意味しています。
「猛々しい」の読み方
「猛々しい」は「たけだけしい」という読み方をしますが、「もうもうしい」といった読み方はしません。
表現方法は「猛々しい動物」「猛々しい山」「猛々しい記憶」
「猛々しい動物」「猛々しい山」「猛々しい記憶」などが、「猛々しい」を使った一般的な言い回しです。
「盗人猛々しい」の意味
「猛々しい」を使った言葉として、「盗人猛々しい」(読み方:ぬすびとたけだけしい)があります。「盗人猛々しい」は「盗人猛々し」とも書き、盗人は「ぬすっと」とも読むことができます。
これは、悪事を働いた人が平然としている様子や、悪事を指摘されて開き直ったりする様子を表す慣用表現です。
この「猛々しい」という言葉の使い方から、勇敢であるという意味だけではなく、図々しい様子や図太い様子も意味するようになりました。
「猛々しい」の類語
「猛々しい」の類語・類義語としては、思いあがっていることを意味する「不遜」、自分の年齢や能力を考えず出過ぎた言動をすることを意味する「生意気」、決断力に富んで物事を思い切ってする様子を意味する「果敢」などがあります。
「女々しい」の意味
「女々しい」とは
「女々しい」とは、態度や気性が弱々しくしっかりしていない様子を意味しています。
意気地がないこと様子も意味しますが、女性に対してではなく主に男性に対して使われる言葉です。
「女々しい」の読み方
「女々しい」は、「めめしい」と読みますが、「おんなおんなしい」という読み方はしません。「女」(読み方:め)は、女性一般を意味していましたが、平安時代以降は「をんな」が使われ、「め」は女性の蔑称として使われるようになりました。
表現方法は「女々しい男性」「女々しい女性」「女々しい言葉」
「女々しい男性」「女々しい女性」「女々しい言葉」などが、「女々しい」を使った一般的な言い回しです。
「女々しい」と「女らしい」は違う
似た言葉に、女性特有のしなやかさや愛嬌がある様子を表す「女らしい」があります。時代や社会によって「女らしさ」は変化しますが、「女らしい」と、相手を悪く言う「女々しい」は同義ではありません。
「女々しい」の類語
「女々しい」の類語・類義語としては、態度などがしっかりしていないことを意味する「軟弱」、度胸が無いことを意味する「小胆」、ちょっとしたことにも怖がったりする様子を意味する「臆病」、臆病で積極性のない様子を意味する「強弱」などがあります。
「雄々しい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、男らしくて勇ましい様子を意味する時などが挙げられます。
例文2のように山などに「雄々しい」を使う場合は、「凛々しい」などの言葉に置き換えて使うこともできます。
「猛々しい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、勇ましくて強そうな様子や、図々しい様子や図太い様子を意味する時などが挙げられます。
例文2の「盗人猛々しい」とは、悪事を働いた人が平然としている様子や、悪事を指摘されて開き直ったりする様子を表す慣用表現です
「女々しい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、態度や気性が柔弱な様子を意味する時などが挙げられます。
「女々しい」という言葉は男性中心社会で多く使われていたことから、女性ではなく男性に決定権があるような状態を望んでいたという背景があり、今日でいう「女らしさ」のように使われていましたが、「女々しい」は相手を悪く言う言葉です。
「雄々しい」と「猛々しい」と「女々しい」どれを使うか迷った場合は、勇ましい様子を表す場合は「雄々しい」を、図々しい様子を表す場合は「猛々しい」を、弱々しい様子を表す場合は「女々しい」を使うと覚えておけば間違いありません。