同じ「きかい」という読み方の「機会」と「機械」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「機会」と「機械」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
機会と機械の違い
機会と機械の意味の違い
機会と機械の違いを分かりやすく言うと、機会とは物事をするのに適当なタイミング、機械とは動力によって一定の動きをするマシンという違いです。
「機会」と「機械」の使い方の違い
一つ目の機会を使った分かりやすい例としては、「せっかくの機会を逃してしまった」「じっくり話し合う機会を設ける」「闇バイトから抜け出す機会を伺っている」「機会があればまたよろしくお願いします」などがあります。
二つ目の機械を使った分かりやすい例としては、「熱エネルギーを利用して機械を動かす」「機械保全技能士2級の資格を取得する」「機械工学とはどんな学問ですか」「7月の機械受注は四半期ぶりのマイナスとなりました」などがあります。
機会と機械の使い分け方
機会と機械という言葉は、どちらも「きかい」と読みますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
機会とは、「絶好の機会」「機会を逃す」どの言い回しで、何かをするのに最も都合の良いタイミングや適切なチャンスを意味する言葉です。「別の機会に参加します」のように副詞句を作って使うこともあります。
機械とは、動力によって一定の運動を起こし有用な仕事をするものを意味します。「機械工学」とは、機械の設計や運転などに関する研究を行う工学の一分野であり、生活や産業に役立つマシンの仕組みを研究する学問です。
つまり、機会とは何かをするのに適当なタイミングのことであり、機械とは動力によって一定の運動をするマシンを意味します。二つの言葉は同じ読み方をしますが、意味が全く違う同音異義語なので互いに置き換えて使うことはできません。
機会と機械の英語表記の違い
機会を英語にすると「opportunity」「chance」「occasion」となり、例えば上記の「機会を逃す」を英語にすると「lose a chance」となります。
一方、機械を英語にすると「machine」「machinery」「works」となり、例えば上記の「機械を動かす」を英語にすると「set a machine in motion」となります。
機会の意味
機会とは
機会とは、事をするのに最も都合のよい時機、ちょうどよい折、チャンスを意味しています。
機会の使い方
機会を使った分かりやすい例としては、「子どもが成長する機会を奪ってはいけません」「機会があるならチャレンジしてみよう」「外国人と英語を話す機会がありません」「またの機会にお会いできることを楽しみにしています」などがあります。
その他にも、「機会損失を最小限にとどめる」「年頃の女性と話す機会がありません」「異業種間交流の機会を設ける」「機会があれば飲みに行きましょう」「また機会がありましたら宜しくお願いします」などがあります。
機会の「機」は訓読みで「きざし」「おり」と読み、物事の起こるきっかけを表します。何かにめぐりあう時を表す「会」と結びつき、何かを始めたり何かを行うための適切な時期や状況、ちょうどよいタイミングを意味します。
「機会損失」の意味
機会を用いた日本語には「機会損失」があります。機会損失とは、売り上げを伸ばす機会があったにもかかわらず、商品そのものが不足しているために、本来得られたはずの利益を逃すことを意味します。「チャンスロス」とも言います。
機会の類語
機会の類語・類義語としては、何かを行うのによい機会を意味する「時機」、時のめぐりあわせを意味する「機運」、物事をするのにちょうどよい機会を意味する「好機」、よい潮時やを適当な時機意味する「頃合い」、ある物事をするのに最も適した時機を意味する「タイミング」などがあります。
機械の意味
機械とは
機械とは、動力を受けて、目的に応じた一定の運動や仕事をするものを意味しています。
その他にも、「実験・測定・運動競技などに使う装置や道具」「自分の意思を失ったように、指令どおりに動いたり、物事を繰り返したりすること」の意味も持っています。
機械の使い方
「機械式駐車場の仕組みを教えてもらった」「機械式時計をオーバーホールに出す」「機械学習の基礎を学べる入門書を注文する」「機械設計技術者試験の合格率はどれぐらいですか」などの文中で使われている機械は、「動力を受けて一定の運動や仕事をするもの」の意味で使われています。
一方、「物体の穴径を測定する機械をレンタルする」の文中で使われている機械は「実験・測定などに使う装置や道具」の意味で、「たまった雑用を機械的に処理する」の文中で使われている機械は「指令どおりに動いたりすること」の意味で使われています。
機械は「器械」とも書きますが、一般的には「機械」と表記されています。ただし、比較的小さな装置や道具類に関しては「器械」を使用する傾向があります。
機械とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。機械の「機」と「械」は訓読みで「からくり」と読み、精密な細工や仕掛けによっていろいろなものを動かすことを表します。
「機械学習」の意味
機械を用いた日本語には「機械学習」があります。機械学習とは、人工知能の一分野であり、コンピュータによる学習を意味します。コンピュータが大量のデータを分析し、規則性を見つけ出すことで、予測や意思決定の精度を向上させる技術です。
機械の対義語
機械の対義語・反対語としては、動力を用いないで手で動かすことを意味する「手動」、機械を用いずに人の手で行う作業を意味する「手作業」などがあります。
機械の類語
機械の類語・類義語としては、器具や機械の総称を意味する「機器」、機械と器具の総称を意味する「機具」、便利な機械や器具を意味する「利器」、ある目的のために機械や道具などを備えつけることを意味する「装置」、機械や自動車を意味する「マシン」などがあります。
機会の例文
この言葉がよく使われる場面としては、それをするのに丁度よい具合の時機を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「機会費用」とは、「オポチュニティーコスト」とも言い、択一的な選択を迫られる場面で、一方を選んだために逃した利益を指す言葉です。
機械の例文
この言葉がよく使われる場面としては、動力装置をつけて作業をするもの、 実験や測定などに使う道具、他人に使われて自分の意思を持たないで働くことを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある「工作機械」とは、金属素材を切削工具によって切削して所要の形状につくり上げる機械類を意味します。例文5の「機械的」とは、機械が動くように意思をもたずに決まった動作を行うさまを意味する言葉です。
機会と機械という言葉は、どちらも「きかい」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、物事をするのに適当な時機を表現したい時は「機会」を、動力によって一定の動きや働きをするものを表現したい時は「機械」を使うようにしましょう。