似た意味を持つ「忽然」(読み方:こつぜん)と「突然」(読み方:とつぜん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「忽然」と「突然」という言葉は、どちらも「急なさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
忽然と突然の違い
忽然と突然の違いを分かりやすく言うと、忽然とは急な出現や消失を表し、突然とは予期せぬことが急におこるさまを表すという違いです。
一つ目の忽然を使った分かりやすい例としては、「彼らは忽然と姿を消してしまった」「霧の中から人影が忽然と現れた」「幽霊らしきものは忽然と消えた」「巨体が忽然として現れた」「忽然目の前が明るくなった」などがあります。
二つ目の突然を使った分かりやすい例としては、「腰の痛みで突然歩けなくなりました」「突然ネットが繋がらなくなってしまった」「この教材を使えば突然英語がしゃべれるようになります」「突然のメールで失礼いたします」などがあります。
忽然と突然という言葉は、どちらも非常に短い時間のうちに行われるさまや、思いがけなく事態が発生するさまを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
忽然とは、だしぬけであるさまを意味します。「忽然と消えた」「忽然として現れた」のような使い方で、特に物事の出現や消失が急におこるさまを表す言葉です。「忽然目の前が明るくなった」のような使い方も可能ですが、実際にはあまり使用されていません。
突然とは、だしぬけであるさまを意味します。「突然歩けなくなる」「突然のメール」のような使い方で、さまざまな予想していなかった物事や事象に使用されています。「突然のメールで失礼いたします」のように、ビジネスシーンでも使用される言葉です。
つまり、忽然とは物事が出現あるは隠れるときに使われ、突然とはいろいろな予期せぬ物事に用いられる言葉です。二つの言葉を比べると、忽然は使い方が限定的であり、突然は汎用性がある言葉だと言えるでしょう。
忽然も突然も英語にすると「sudden」「suddenly」「all at once」となり、例えば上記の「忽然と姿を消す」を英語にすると「suddenly disappear」となります。
忽然の意味
忽然とは、物事の出現・消失が急なさま、忽如を意味しています。
その他にも、「にわかに、突然」の意味も持っています。
「猫は忽然と姿を消す習性があります」「巨大な物体が忽然として現れた」「要らなくなった物が忽然と消えることがあります」などの文中で使われている忽然は、「物事の出現や消失が急なさま」の意味で使われています。
一方、「忽然思い立って旅の計画を立てる」「忽然声をかけられて驚きました」「忽然中国語が話せるようになればいいのに」などの文中で使われている忽然は、「にわかに、突然」の意味で使われています。
忽然の読み方は二通りあり、「こつぜん」の他に「こつねん」とも読みますが、一般的には「こつぜん」と読まれています。
忽然とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、どちらかと言うと「物事の出現・消失が急なさま」の意味で用いられることが多くあります。忽然の「忽」は訓読みで「たちまち」と読み、非常に短い時間を表す漢字です。
「忽然と姿を消す」とは、人や動物などが急にいなくなることを表現する言い回しです。ほんの一瞬で見失ってしまったり、急に消息不明になった場合に使用されています。
忽然を用いた誤った表現には「忽然とした態度」があります。正しくは「毅然とした態度」であり、意志が強くて何事にも動じない姿勢を表します。
忽然の対義語・反対語としては、物事の程度や状態が少しずつ変化するさまを意味する「次第に」、だんだんや次第にを意味する「漸次」などがあります。
忽然の類語・類義語としては、にわかに走り出すことや不意なさまを意味する「唐突」、突然に物事を行うさまを意味する「藪から棒」、予期しないことが起こることを意味する「出し抜け」、思いがけなくそのことが起きるさまを意味する「ひょっこり」などがあります。
突然の意味
突然とは、予期しないことが急に起こるさま、だしぬけであるさま、突如を意味しています。
突然を使った分かりやすい例としては、「突然のご連絡失礼いたします」「突然の死の原因はストレスですか」「突然できる水ぶくれに困っています」「突然ですが占ってもいいですか」「突然ペラペラと英語が話せるようにならないかな」などがあります。
その他にも、「どうして突然変異は起きるのでしょうか」「突然ですが明日結婚します」「突然の痛みを和らげる飲み薬があります」「突然死を防ぐために生活習慣を見直す」「突然のお手紙失礼いたします」などがあります。
突然の読み方は「とつぜん」です。誤って「とつねん」「つくぜん」などと読まないようにしましょう。
突然の「突」は、つき出たもの、だしぬけであることを表します。状態を表す「然」と組み合わさり、突然とは、思いがけずに物事がいきなり起こるさまを意味します。予想していなかったことが起こる状況に使う言葉です。
突然を用いた日本語には「突然変異」があります。突然変異とは、生物のもつ遺伝物質が量的あるいは質的に変化することを意味します。変化の生じる単位の違いによって、ゲノム突然変異、染色体突然変異、遺伝子突然変異の3つに分けらます。生物の進化の一大要因であると考えられるものです。
突然の対義語・反対語としては、動きがゆったりしてのろいことを意味する「緩慢」、順を追ってゆっくりと変化してゆくさまを意味する「だんだん」などがあります。
突然の類語・類義語としては、急に物事が行われるさまを意味する「急遽」、にわかなさまや突然ある状態が生じるさまを意味する「俄然」、思いがけないことを意味する「不意」、何の前触れもなく急に事が起きるさまを意味する「いきなり」などがあります。
忽然の例文
この言葉がよく使われる場面としては、たちまちにおこるさま、にわかなさまを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、忽然の慣用的な表現には「忽然と現れる」「忽然として」「忽然たる」などがあります。「忽然たる」とは、前触れもなく急であるさまを表しています。
突然の例文
この言葉がよく使われる場面としては、にわかであるさま、物事が急におこるさまを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、突然という言葉は、副詞として用いられることが多くあります。
忽然と突然という言葉は、どちらも「急なさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、急に出現したり消失するさまを表現したい時は「忽然」を、物事が急におこるさまを表現したい時は「突然」を使うようにしましょう。