似た意味を持つ「もっと」と「さらに」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「もっと」と「さらに」という言葉は、どちらも以前の状態より程度が増すことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「もっと」と「さらに」の違い
「もっと」と「さらに」の意味の違い
「もっと」と「さらに」の違いを分かりやすく言うと、「もっと」は同種のものを追加する場合に使う、「さらに」は同種のものだけではなく別種のものを追加する場合にも使えるという違いです。
「もっと」と「さらに」の使い方の違い
一つ目の「もっと」を使った分かりやすい例としては、「もっと早く歩いてくれませんか」「もっと長いロープをください」「狭いのでもっとこっちへ寄ってください」「これからの時期はもっと寒くなるだろう」「もっとみかんをください」などがあります。
二つ目の「さらに」を使った分かりやすい例としては、「この料理は隠し味のこのソースを使うとさらに美味しくなります」「先週よりさらに寒くなったと思います」「混んでいる駐車場にさらに車が入ってきました」「私たちはさらに検討する必要があります」などがあります。
「もっと」と「さらに」の使い分け方
「もっと」と「さらに」はどちらも以前の状態より程度が増すことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「もっと」は事物の程度や状態がさらにその度を強めることを意味しており、「8月になるともっと暑くなるよのように、同種のものを追加する場合に使います。
一方、「さらに」は今までよりも程度が増すことを意味しており、「さらにこのような問題が出てきました」のように、同種のものだけではなく別種のものを追加する場合にも使えるというのが違いです。
そのため、「もっと」は「さらに」に置き換えることができますが、「さらに」は「もっと」に置き換えることができない場合もあると覚えておきましょう。
「もっと」と「さらに」の英語表記の違い
「もっと」を英語にすると「more」となり、例えば上記の「もっとみかんをください」を英語にすると「May I have some more orange」となります。
一方、「さらに」を英語にすると「still more」「furthermore」「in the least」となり、例えば上記の「私たちはさらに検討する必要があります」を英語にすると「We need to study the matter further」となります。
「もっと」の意味
「もっと」とは
「もっと」とは、以前の状態より程度が増すことを意味しています。
「もっと」の使い方
「もっと」を使った分かりやすい例としては、「もっと大きい袋が欲しいです」「もっと頑張れば良かったと後悔しています」「もっと働けと妻に言われました」「事態はもっと悪くなってしまいました」「もっと美味しい料理を食べにいこう」などがあります。
「もっと」は以前の状態より程度が増すことを意味する副詞です。副詞とは、品詞の一つであり、他の言葉を修飾して説明を加えるという役割を担っています。
「もっと」の特徴
「もっと」は別のものではなく、同質のものの程度が高まる場合に使うのが特徴です。そのため、「来月はもっと寒くなるだろう」のような使い方をすることはできますが、「もっと2名追加でお願いします」のような使い方をすることはできません。
その場合は類語である「さらに」に置き換えて、「さらに2名使いでお願いします」のような言い回しを使うようにしましょう。
「もっと」の類語
「もっと」の類語・類義語としては、程度が一層はなはだしくなることを意味する「ますます」があります。
「さらに」の意味
「さらに」とは
「さらに」とは、同じことが重なったり加わったりすることを意味しています。その他にも、今までよりも程度が増すことや打消しの語を伴って完全な否定を表すことの意味も持っています。
「さらに」の漢字表記
「さらに」を漢字にすると「更に」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限りひらがなの「さらに」を使うようにしましょう。
「さらに」の使い方
「さらにこういう問題も増えてきました」「あれからさらに5年の月日が経ちました」などの文中で使われている「さらに」は、「同じことが重なったり加わったりすること」の意味で使われています。
一方、「彼はさらにかっこよくなっていました」「反省する様子がさらにありません」などの文中で使われている「さらに」は、「今までよりも程度が増すことや打消しの語を伴って完全な否定を表すこと」の意味で使われています。
「さらに」は複数の意味を持つ副詞ですが、一般的に使われているのは同じことが重なったり加わったりすることと、今までよりも程度が増すことの二つの意味になります。
「さらに」以外の副詞を挙げると、「ちょっと」「とても」「ひたすら」「だいぶ」「かなり」「しばらく」「すぐに」などがあります。
「さらに」の特徴
「さらに」はある段階から次の段階へと程度が進むことを表現する場合に使うのが一般的です。また、「反省する気はさらにない」のように、否定を伴って少しを強める場合にも使うことができます。
「さらに」の類語
「さらに」の類語・類義語としては、事物の程度や状態がさらにその度を強めることを意味する「もっと」、程度が一層甚だしくなることを意味する「ますます」、程度が一段と進むことを意味する「一層」などがあります。
「もっと」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、以前の状態より程度が増すことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、様々な場面で使うことができる言葉です。
「さらに」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、同じことが重なったり加わったりすることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、今までよりも程度が増すことや打消しの語を伴って完全な否定を表すことを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「さらに」は同じことが重なったり加わったりすること、例文3から例文5の「さらに」は今までよりも程度が増すことの意味で使っています。
「もっと」と「さらに」はどちらも以前の状態より程度が増すことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、同種のものを追加する場合に使うのが「もっと」、同種のものだけではなく別種のものを追加する場合にも使えるのが「さらに」と覚えておきましょう。