似た意味を持つ「水際」(読み方:みずぎわ)と「瀬戸際」(読み方:せとぎわ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「水際」と「瀬戸際」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
水際と瀬戸際の違い
水際と瀬戸際の意味の違い
水際と瀬戸際の違いを分かりやすく言うと、水際とは上陸する直前、瀬戸際とは勝負や成否などの分かれ目という違いです。
水際と瀬戸際の使い方の違い
一つ目の水際を使った分かりやすい例としては、「水際のトンネルは危険物を積載する車両の通行を禁止したり制限することができる」「政府は感染症対策として水際作戦を行った」「日本政府は水際対策強化に係る新たな措置を発表した」などがあります。
二つ目の瀬戸際を使った分かりやすい例としては、「彼は生きるか死ぬかの瀬戸際にいる」「感染症の感染拡大を防ぐ瀬戸際にいる」「瀬戸際政策にどう対応するか悩んでいる」「瀬戸際からの生還を果たした」などがあります。
水際と瀬戸際は似ている言葉なのですが、意味が違うと覚えておきましょう。また、どちらの言葉もテレビの報道や新聞で見かけるので混同しやすいですが、間違わないように注意してください。
水際は上陸する直前を意味しています。上記の例の「政府は感染症対策として水際作戦を行った」は、感染症が日本で流行しないように、空港で検疫や入国制限を設けて国内に感染症を持ち込まないようにするという意味になっています。
このように、感染症、麻薬、害虫などが国外から日本国内に入る直前を表現したい時に、水際という言葉を使っています。
瀬戸際は勝負や成否などの分かれ目を意味しています。上記の例の「感染症の感染拡大を防ぐ瀬戸際にいる」は、感染症が今後拡大していくか、終息に向かうかの運命の分かれ目という意味になっています。
水際と瀬戸際の英語表記の違い
水際を英語にすると「waterside」となり、水際作戦を英語にすると「shoreline operations」となります。例えば上記の「感染症対策として水際作戦を行った」を英語にすると「Conducted a shoreline operation as a countermeasure against infectious diseases」になります。
瀬戸際を英語にすると「brink」「critical moment」などがあり、例えば上記の「彼は生きるか死ぬかの瀬戸際にいる」を英語にすると「He is on the brink of life and death」となります。
水際の意味
水際とは
水際とは、上陸する直前を意味しています。その他にも、水面が陸地と接している所の意味も持っています。
水際の使い方
「新型ウイルスの侵入を水際で防ぐ」「厚生労働省が水際作戦を指示した」「新型ウイルスの感染拡大防止のために水際対策の強化は必須である」などの文中で使われている水際は、「上陸する直前」の意味で使われています。
一方、「水際の植物を撮影しました」「ヨシという草は水際によく生えている」「水際の草刈り作業を行った」などの文中で使われている水際は、「水面が陸地と接している所」の意味で使われています。
水際は二つの意味を持っているのですが、テレビの報道や新聞でよく使われるのは、上陸する直前の意味になります。国外から国内に入ってくる直前と覚えておけば間違いありません。
「水際作戦」の意味
水際を使った言葉としては、「水際作戦」(読み方:みずぎわさくせん)と「水際対策」(読み方:みずぎわたいさく)があります。どちらの言葉も、新型ウイルス、感染症、、麻薬などが国外から国内に入り込むの防ぐことを意味しています。
表現方法は「水際対策」「水際措置」「水際の攻防」
「水際作戦」の他にも「水際対策」「水際措置」「水際の攻防」などが、水際を使った一般的な言い回しです。
水際の類語
水際の類語・類義語としては、そこまで波が打ち寄せる所を意味する「波打ち際」、海や湖などの波打ち際のことを意味する「渚」、石の多い海岸の波打ち際のことを意味する「磯」、浜の水際のことを意味する「浜辺」、海のほとりのことを意味する「海辺」などがあります。
水際の水の字を使った別の言葉としては、水が物体に及ぼす圧力のことを意味する「水圧」、河川やダムの水面の高さを表すもののことを意味する「水位」、水面上の一定の区域のことを意味する「水域」、水のほとりのことを意味する「水涯」などがあります。
その他にも、湖や川の景色が美しい町や村のことを意味する「水郷」、水の性質や化学的成分のことを意味する「水質」、水の上のことを意味する「水上」、水面から水中の目的物までの距離のことを意味する「水深」、水辺に生える草のことを意味する「水草」などがあります。
瀬戸際の意味
瀬戸際とは
瀬戸際とは、勝負や成否などの分かれ目を意味しています。その他にも、狭い海峡と外海の境の意味も持っています。
瀬戸際の使い方
瀬戸際を使った分かりやすい例としては、「新型ウイルスを防ぐための瀬戸際の攻防が続いている」「瀬戸際政策を行った」「生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされている」「瀬戸際からの復活を成し遂げた」などがあります。
その他にも、「瀬戸際からの逆転勝利で見事優勝した」「感染症の感染爆発を瀬戸際で食い止めた」「極めて厳しい段階への瀬戸際にある」「勝つか負けるかの瀬戸際に立っている」などがあります。
瀬戸際は二つの意味を持っているのですが、主に使われるのは勝負や成否などの分かれ目の意味になります。また、瀬戸際はただの分かれ目では使う言葉ではなく、今後に関わる重要な分かれ目の際に使う言葉です。
瀬戸際の由来
瀬戸際の由来は、「瀬戸」のことを「狭門」と言い、両側の陸地が接近して海が狭くなっていることの意味から来ています。元々はもう一つの意味の狭い海峡と外海の境で使われていました。それが転じて重要な物事の分かれ目のことを「瀬戸際」と言うようになりました。
「瀬戸際の攻防が続いている」の意味
瀬戸際という言葉は、上記の「新型ウイルスを防ぐための瀬戸際の攻防が続いている」のような表現を、テレビの報道や新聞などでよく見かけるはずです。これは、「新型ウイルスが流行するかしないかの運命の分かれ目です」という意味になっています。
「瀬戸際政策」の意味
瀬戸際を使った言葉としては、「瀬戸際政策」(読み方:せとぎわせいさく)があります。瀬戸際政策とは、相手国からの譲歩を引き出すためにあえて緊張を高めるような挑発的な外交をすることを意味してます。また、瀬戸際政策のことを「瀬戸際外交」とも言います。
瀬戸際の類語
瀬戸際の類語・類義語としては、決断を迫られる最後の場面のことを意味する「土壇場」、物事が決着する瀬戸際のことを意味する「土俵際」、事態が極めて差し迫っていることを意味する「間一髪」、1枚の紙の厚さほどのきわめてわずかな違いのことを意味する「紙一重」などがあります。
瀬戸際の瀬の字を使った別の言葉としては、水の流れをせき止めることを意味する「瀬切り」、海峡の入り口のことを意味する「瀬戸口」、岩などが川の瀬に隠れてみえないことを意味する「瀬伏し」(読み方:せぶし)などがあります。
水際の例文
この言葉がよく使われる場面としては、上陸する直前を表現したい時などが挙げられます。その他にも、水面が陸地と接している所を表現したい時に使います。
例文1から例文3は上陸する直前の意味で使われています。テレビ報道や新聞などで水際を使う場合は、上陸する直前の意味になっていることが多いです。また、例文4と例文5は水面が陸地と接している所の意味で使われています。
瀬戸際の例文
この言葉がよく使われる場面としては、勝負や成否などの分かれ目を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文5のようにただの分かれ目ではなく、今後の人生に関わるような重要な場面の分かれ目で使う言葉になります。
水際と瀬戸際どちらを使うか迷った場合は、上陸する直前を表現したい時には「水際」、勝負や成否などの分かれ目を表現したい時には「瀬戸際」を使うと覚えておいてください。