似た意味を持つ「他界」(読み方:たかい)と「死去」(読み方:しきょ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「他界」と「死去」という言葉は、どちらも「死ぬこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
他界と死去の違い
他界と死去の意味の違い
他界と死去の違いを分かりやすく言うと、他界とは死ぬことの婉曲的な表現、死去とは死ぬことの直接的な表現という違いです。
他界と死去の使い方の違い
一つ目の他界を使った分かりやすい例としては、「三年前に父は病気で他界しました」「他界した母の夢をよく見ます」「夫が私より先に他界するとは思わなかった」「ビジネスパートナーに父の他界をメールで知らせました」などがあります。
二つ目の死去を使った分かりやすい例としては、「祖父は90歳で死去しました」「姉の死去をメールで幼なじみに伝えました」「旧友の死去にあたり弔電を送りました」「いつまでたっても母の死去を受け入れられません」などがあります。
他界と死去の使い分け方
他界と死去という言葉は、どちらも人の命が途絶えて死ぬことを表しますが、使い方には違いがあります。
他界とは、もともと仏教用語で「死後の世界」を指す言葉でしたが、現在では死ぬことを遠回しに表現する言葉として使用されています。「父が他界する」「〇〇さんが他界した」のように、身内にも他人にも用いることができます。
死去とは、人が死ぬことを意味する直接的な表現です。基本的には「姉の死去」「弊社取締役の死去」のように身内に関して用いられますが、ニュース速報や新聞の見出しなどで「○○さん死去」など死亡の事実を淡々と伝える際にも使用されています。
つまり、他界とは死を伝える婉曲的な表現であり、死去とは死を伝える直接的な表現です。二つ言葉は同じ意味を持ちますが、使い方やニュアンスには違いがあるので区別して使うようにしましょう。
他界と死去の英語表記の違い
他界を英語にすると「the next world」「passing away」「die」となり、例えば上記の「父は他界しました」を英語にすると「my father passed away」となります。
一方、死去を英語にすると「death」「passage」「decease」となり、例えば上記の「90歳で死去した」を英語にすると「died at the age of 90」となります。
他界の意味
他界とは
他界とは、自分が属さない世界、よその世界を意味しています。
その他にも、「死後の世界、あの世、また、夢や忘我状態のときに魂がさまよう所」「死ぬことを婉曲にいう語」の意味も持っています。
他界の使い方
「他界で自分の力を試してみたい」「私はジャニオタだけど他界隈の2.5次元にも興味があります」などの文中で使われている他界は、「自分が属さない世界、よその世界」の意味で使われています。
一方、「他界はあるのかないのか永遠の謎です」の文中で使われている他界は「死後の世界、あの世」の意味で、「同級生の他界の連絡がラインで来たので急いで返信しました」の文中で使われている他界は「死ぬことを婉曲にいう語」の意味で使われています。
他界とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、多くは「死ぬことを婉曲にいう語」として用いられています。この意味での「他界」は生命がなくなることを遠回しに表現し、他人だけでなく身内が亡くなった場合にも使用できる言葉です。
他界の語源
他界という言葉の語源は、仏教に由来します。仏教では「死」はこの世とは別の世界へ行くことと信じられており、死後の世界を「他界」と表現しました。亡くなった人は他界で第二の人生を生きると考えられています。
「他界隈」はオタク用語
上記の例文にある「他界隈」(読み方:たかいわい)とは、オタク用語で、ジャンルの違う分野を指す言葉です。例えば「他界隈掛け持ち」とは、ジャニーズとK-POPが好きであるなど違うジャンルについて応援していることを表します。
他界の対義語
他界の対義語・反対語としては、この世や現在の世を意味する「現世」などがあります。
他界の類語
他界の類語・類義語としては、死後に行く次の世を意味する「来世」、永遠の眠りにつくことを意味する「永眠」、人が死ぬことを意味する「物故」、先に死ぬことを意味する「先立つ」、突然死ぬことを意味する「頓死」、死ぬことを意味する「仏になる」などがあります。
死去の意味
死去とは
死去とは、死んでこの世を去ることを意味しています。
死去の読み方
死去の読み方は「しきょ」です。誤って「しこ」「しさ」などと読まないようにしましょう。
死去の使い方
死去を使った分かりやすい例としては、「祖母が静かに自宅で死去しました」「28歳で死去するなんて早すぎます」「今朝、父が病院で死去しました」「死去に伴う手当の一つに慶弔見舞金があります」などがあります。
その他にも、「死去の報に接し、胸が張り裂けんばかりです」「祖父は家族に看取られながら死去した」「人気アナウンサーが脳溢血で死去しました」「弊社取締役が死去いたしましたのでご報告します」などがあります。
死去とは、死んでこの世に居なくなることを意味し、直接的に人の死を表す言葉です。主に家族や身内が亡くなったことを伝える際に使用されますが、ニュースなどで政治家や有名人が亡くなった事実を報じることにも用いられています。
死去の特徴
死去という言葉は、「死」という事実を丁寧に伝える表現ですが、故人への尊敬の意味を持ちません。そのため、身内以外の人が亡くなった場合には、尊敬の意味を持つ「逝去」(読み方:せいきょ)を使用する方がよいでしょう。
死去の対義語
死去の対義語・反対語としては、人が生まれることや出生を意味する「誕生」などがあります。
死去の類語
死去の類語・類義語としては、人が死ぬことを意味する「死亡」、他人を敬ってその死をいう語を意味する「逝去」、死ぬことや永眠を意味する「永逝」、現世を去って仏の浄土に生まれることを意味する「往生」、息が絶えることを意味する「息を引き取る」などがあります。
他界の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自己が属していない他の世界、仏語で死者の世界、死去を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある「他界」は、死去を遠回しに表現しています。例文4の「他界」は、仏教用語で死者の世界を意味しています。
例文5にある「他界」は、特定のアイドルを推すことをやめること、オタクを卒業することを意味するアイドルオタク用語です。
死去の例文
この言葉がよく使われる場面としては、死んでこの世に居なくなることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある死去と逝去の違いは、死去は家族や身内に使用する言葉であり、逝去は身内以外の人が亡くなった場合に敬意を込めて用いる言葉である点です。
他界と死去という言葉は、どちらも「死ぬこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、人の死を遠回しに表現したい時は「他界」を、人の死を直接的に表現したい時は「死去」を使うようにしましょう。