同じ「けいがん」という読み方の「慧眼」と「炯眼」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「慧眼」と「炯眼」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
慧眼と炯眼の違い
慧眼と炯眼の意味の違い
慧眼と炯眼の違いを分かりやすく言うと、慧眼とは物事を見抜く洞察力を意味し、炯眼とは洞察力のほかに鋭い目つきも意味するという違いです。
慧眼と炯眼の使い方の違い
一つ目の慧眼を使った分かりやすい例としては、「彼は優れた慧眼の持ち主である」「彼女の知識とその慧眼には驚かされる」「開拓者の慧眼と情熱に敬服する」「人材発掘の慧眼を発揮した」などがあります。
二つ目の炯眼を使った分かりやすい例としては、「先人の炯眼に学ぶことは多い」「その炯眼に私は脱帽したものである」「時流の炯眼を養いたい」「一目で見抜くとは、さすが炯眼の士だ」「相手を射抜くような炯眼」をなどがあります。
慧眼と炯眼の使い分け方
慧眼と炯眼という言葉は、どちらも「けいがん」と読み、物事の本質や真偽を見抜く力という共通する意味を持っています。この意味では、二つの言葉は互いに置き換えて使うことができ、上記の例の「先人の炯眼」は「先人の慧眼」と言い換えることができます。
さらに、炯眼は、鋭く光る目や鋭い目つきの意味も持っています。上記の例の「相手を射抜くような炯眼」はこの意味で使われ、この文の炯眼は慧眼に置き換えることはできません。これが、慧眼と炯眼という言葉の明確な違いになります。
慧眼と炯眼の英語表記の違い
慧眼も炯眼も英語にすると「perceptive」「keen insight」「wisdom eye」となり、例えば上記の「彼は慧眼の持ち主だ」を英語にすると「he has a keen insight」となります。
慧眼の意味
慧眼とは
慧眼とは、物事の本質を鋭く見抜く力を意味しています。
表現方法は「慧眼の持ち主」「慧眼を得る」「慧眼の士」
「慧眼の持ち主」「慧眼を得る」「慧眼の士」などが、慧眼を使った一般的な言い回しです。
慧眼の使い方
慧眼を使った分かりやすい例としては、「逆境を生きてきた彼は慧眼の持ち主だ」「まさに慧眼の士と崇めたくなるお方だ」「様々な経験から慧眼を得たのだろう」「先人たちの慧眼には感心させられる」などがあります。
その他にも、「誠に慧眼の至りと心から感服いたします」「慧眼な社長は事の顛末を見抜いていた」「マネージャーの慧眼には脱帽する」「創業者の慧眼に敬意を表さずにはいられない」などがあります。
慧眼の読み方
慧眼は「けいがん」と読みます。「えげん」という読み方もありますが、この場合、仏教用語で「一切の事物を空であると見通す智慧の目」を意味する別の言葉になります。
慧眼の語源
慧眼という言葉の「慧」とは、仏教において真理を明らかに知る力を表し、気がきいて賢い、さといことを表します。慧眼とは、物事の本質を見抜くさとい眼力や鋭い洞察力、また、それをもつことを意味する言葉です。
四字熟語「慧眼無双」の意味
慧眼を用いた四字熟語には「慧眼無双」があり、物事の真偽や善悪など、本質を見抜く眼力が比類なく優れていることを意味します。無双とは、世の中に肩を並べるものがないほど優れていることを表す言葉です。
慧眼の対義語
慧眼の対義語・反対語としては、凡人の眼や平凡な眼識を意味する「凡眼」、平凡な才能や素質またはその人を意味する「凡骨」などがあります。
慧眼の類語
慧眼の類語・類義語としては、物事の道理や本質をよく見分ける眼識を意味する「活眼」、才知がすぐれ悟りの早いことを意味する「穎悟」(読み方:えいご)、美を的確に見極める能力を意味する「審美眼」などがあります。
慧眼の慧の字を使った別の言葉としては、利口で反応がすばやいことを意味する「慧敏」、才知にすぐれることを意味する「聡慧」、物事の道理を判断し処理していく心の働きを意味する「智慧」などがあります。
炯眼の意味
炯眼とは
炯眼とは、物事をはっきりと見抜く力、眼力が備わっていることを意味しています。
その他にも、鋭く光る目、鋭い目つきの意味も持っています。
表現方法は「炯眼の士」「炯眼の持ち主」「炯眼を身に付ける」
「炯眼の士」「炯眼の持ち主」「炯眼を身に付ける」などが、炯眼を使った一般的な言い回しです。
炯眼の使い方
「炯眼の士に高く評価された作品だ」「炯眼の持ち主である彼女の前で嘘はつけない」「人間観察により炯眼を身に付けた」「炯眼をもって判断する」などの文中で使われている炯眼は、「物事をはっきりと見抜く力」の意味で使われています。
一方、「炯眼人を射すくめる」「炯眼で見つめていた」「人を寄せ付けない炯眼の持ち主だ」「容疑者に炯眼を向ける」などの文中で使われている炯眼は、「鋭く光る目、鋭い目つき」の意味で使われています。
炯眼の語源
炯眼という言葉の「炯」は、訓読みで「ひかり」「あきらか」と読み、光り輝くさまを表します。炯眼は鋭く光る目や眼光を意味し、転じて、真偽や本質を見抜く鋭い眼力、また、眼力が備わっていることを意味するようになりました。なお、「炯」の異体字に「烱」があり、烱眼とも表記されます。
「炯眼人を射る」の意味
炯眼という言葉を用いた慣用句には、「炯眼人を射る」があります。鋭い目つきで人を射抜くことを意味し、人を貫くほどの鋭く光る目であることを表しています。同じ意味の慣用句に「眼光人を射る」があります。また、「眼光炯炯」は目がきらきらと鋭く光るさまを表す四字熟語です。
炯眼の対義語
炯眼の対義語・反対語としては、見る能力のない目を意味する「節穴」、知恵や学問がなく愚かなさまを意味する「無知蒙昧」などがあります。
炯眼の類語
炯眼の類語・類義語としては、物事の深奥を見通す鋭い眼力を意味する「達眼」、物事の本質を見抜き判断する見識をもっていることを意味する「具眼」、物事のよしあしや真偽などを見分ける能力を意味する「眼識」などがあります。
炯眼の炯の字を使った別の言葉としては、目などが鋭く光るさまを意味する「炯炯」、光り輝くさまや明るいさまを意味する「炯然」などがあります。
慧眼の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の本質を見抜くさとい眼力・鋭い洞察力を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「慧眼の士」とは、慧眼の持ち主の意味であり、「炯眼の士」と言い換えることができます。例文2にある「慧眼を得る」とは、物事の本質を鋭く見抜く力を努力して手に入れること意味します。例文4にある「慧眼の至り」とは、洞察力が最高に達している状態を表しています。
炯眼の例文
この言葉がよく使われる場面としては、真偽や本質を見抜く力、眼光を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある炯眼は、物事の真偽や本質を見抜く力の意味で使われています。例文1にある「炯眼の士」とは、真偽や本質を見抜く洞察力を持つ人物を表します。「慧眼の士」とも言います。例文5にある炯眼は、鋭い目つきや眼光の意味で使われています。
慧眼と炯眼という言葉は、どちらも「けいがん」と読み、物事の本質を鋭く見抜く力を意味する言葉です。さらに炯眼には、鋭く光る目や鋭い目つきの意味もあることを覚えておきましょう。